胸に手を置かれたら、朋也くんのことしか考えられないじゃん。ー無気力系後輩がグイグイ来るのは想定外でしたー

茜琉ぴーたん

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6…胸を張る

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「だって、こんな、イキやすくて良いカラダ、元カレに開発されたんじゃ、ないんすか?」

「いやいや、朋也くんが、開発したんだって…んあ♡…エッチで、イッたこと無かったし、こんなに、愛されたこと、無かったし、」

「ガチで?」

「マジのガチ、朋也くんが、今の私にしてくれたんだよ」

 ここに嘘は無い。

 体つきに関してのコンプレックスは消えないけれど、対朋也くんでの絶頂達成率は100パーセントに近い。

 たくさん褒めてくれて、たくさん愛でてくれて。

 愛される実感と自信をくれた、朋也くんの功績だ。

「…嬉しいすね」

「ついでに、私も聞いちゃうけど、」

「はい?」

「澤條さんとは、どんなエッチしてたのさ?」

「………」

 これは都合が悪いのか、朋也くんはだんまりになって部屋にはソファーの脚と床が擦れる音だけが響いた。

「朋也くーん?」

「萎えるから、あんまり」

「私には聞いたのに」

「それは燃えるんで」

「あの感じだと、澤條さんはおっぱいは大きめだったよ?経験としてどうだった?」

 淡々とした主観なら答えやすいかな、変な気遣いをしながらも私は退かない。

 朋也くんは私を責めながらも勢いはやはり衰えて、しおしおと張りが弱くなっていった。


「…すんません、一旦抜きます」

「ごめん」

「いえ……風呂、入ってから仕切り直しさせて下さい」

「じゃあ、お風呂しながら聞かせてもらお」

「何で聞きたがるかな…」


 もう私は嫉妬はしていない。

 彼女を思い出しただけでこんなに萎えるということを体感してしまったからだ。

 なのでとことん澤條さんの悪いイメージを体に心に刻み付けてやろうか、なんて意地悪な考えが出てしまった。


 思えば私は澤條さんとは直接対決で勝った訳ではない。

 レンタル彼氏さんの暴露と朋也くんの塩対応によって彼女の素顔が明るみになっただけ、勝手に彼女が恥をかいただけだ。

 まるで虎の威を借る狐、レンタル彼氏でリア充感を演出していた澤條さんと私も同じようなものだ。

 私は彼女に勝てるものを持っていなかった。

 彼女が未練を残す朋也くんに愛されているという「威」を盾に優位に立っただけだ。

 もう私の声は彼女には届かないから、過去の彼女と今の私を比べることで溜飲を下げるしか勝てる方法が無い。

 朋也くんの精力と引き換えにはなるが。
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