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6…胸を張る
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しおりを挟む朋也くんはスポンジを私の股間にスポンとはめ込んで、
「そっすね、若かったんで」
とガシガシ擦る。
「あひゃひゃ」
「聞いてどーすんすか、澤條の方が良かったとか言われたらどーすんすか」
「悲しいかな」
「自分が勝ってると思ってんでしょ、自己評価の上げ方が性格悪いっす」
「えへへ…ごめんね、もう聞かないから」
何回したかとか、どんなルーティーンだったかはもう聞かない。
私より多かったり、私と同じ進行だったらムカつくから。
「……」
ボディーソープの泡が消えてヌルヌルの液体だけが体に残る。
朋也くんはそれを私の全身に塗りたくって、自身にも移した。
「当時から、アイツは打算的というか恋人の肩書きで成り上がりを目論んでる感じが噂になってて。ジブンは人の噂に疎くて、告白された後に知って……でも、肩書きとかスペックでしか男を選ばない女に選ばれた男、って…ちょっとしたステータスかなとも思いました。ジブンも若かったんで」
「確かにね」
「でも話も合わないし性格悪いし…客観視した時に交際してることが恥ずかしく感じるくらいに…『コイツと付き合っても何の得も無いな』って思いましたね」
性格が「合う」・「合わない」ではなく、損得で語るなんて朋也くんらしくない。
それほどに当時の澤條さんはやりたい放題だったらしい。
「そっか…いや、ごめん。人のこと悪く言わせるのは私も性格悪い。もう澤條さんの話はやめとくね」
「そっすね」
「…私のこと嫌いになった?」
「今んとこ、なってないです」
あの子は駄目でも私は許される、そんな特別感を少し貰って私は澤條さんを忘れることにした。
SNSに本性を暴くコメントを書いてあげても良いくらいのdisは受けたけれど…歳上の余裕というものを見せてやろうと思う。
もっとも、彼女は朋也くんに執着していたのであって、私のことは記憶にも残してないかもしれない。
次にどこかで遭遇しても気付かれないくらい、揉め事にならないくらいが都合が良いか。
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