今宵も、麗しのボスとパーティーを。

茜琉ぴーたん

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5月

32

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 アパートに着くまでに昼食を何にするかを話し合い、結果奈々の部屋で粗食で済ませることになった。
 松井は自宅から作り置きの惣菜を持ち寄り、奈々も漬物などお決まりのおかずセットを出して仲良く摘む。

 そして食後に待望ではないが奈々の新しい下着お披露目…いくらなんでも直には見られないのでウェアの上から見せてもらうことにした。
「じゃーん、どう?」
「…あれ、小さく…なってる?」
「押さえつけてるの。苦しいけどね、これくらいだとどうかしら」
「どうって…」
「それでも大きいですよ」、松井は喉まで出かかった言葉をゴクリと生唾と一緒に飲み込む。
 デコルテからぷっくりと膨らみが始まってなだらかな丘があって盛り下がっていって。押し付けた分裾野が広がって、結果乳房の見た目の面積が大きくなったような、そんな印象だった。
「ねぇ旭くん、触ってみて?」
「ハァ⁉︎嫌ですよ」
「あら失礼」
「嫌って、そういうことじゃない、自分の意思で今は触りたくないって言ってるんです」
「触らせたい、触ってもらいたい私の意思は無視するのね?そうなんだ、ふーん」
 大人しめになった自身の胸を見下ろした奈々はしょぼんと伏せたまつ毛がいじらしく、厚い唇に指を置いてじぃと瞳が男へ向けられるとたちまち松井は動けなくなる。
「えぇぇ…」
「私たち、付き合ってるわよね」
「ハイ、ソウデス」
「抱けとは言わないわ、でも触れて、『触れたい』ってちっとも思わないの?私って魅力無い?」
「んなわけないでしょう、僕の問題ですって…ナナさんは魅力的ですよ、すごく…あの、」
ソファーに掛ける松井へじりじりと近付くピンクのウェア、張り詰めた胸部に釘付けの松井は眉間に皺を寄せて降伏ポーズを取った。
「分かりました、触ります」
「うん、無理にとは言わないけど」
「今更…もう……失礼します」
松井は奈々も掛けさせて、上体をしっかり彼女へ向けて両手を伸ばす。
「どーぞ、」
笑顔を取り戻したメデューサは聖母の如く「むふ」と口角を上げて待ち構えた。
「………」
まずは側面から、頬を触るように指先から手の平で肉を感じる。
 次に上部、通常のブラジャーならここまで膨らまないのだろうが押さえ付けた肉が盛り上がっていた。
 最後に正面、おそらく乳首がある辺りに手の平を当てて、軽く押せば奈々は肩をぴくんと上げて「んッ」と小さく声を漏らす。
「どう?」
「…感触は硬い…ですね。いえ、けなしてるわけじゃないんです。そういう効果の下着なんでしょう?」
「でしょうね…待って、外すから」
 これでも日々のケアは怠ってはいない。奈々は長年付き合って最早アイデンティティとなった自身の胸のプライドを守るべく、背中に手を回してホックを外した。
 すぅと息を吸えば途端にウェアの張りが強くなり、本来の大きさと丸さ、その立体感が浮き彫りになる。
「え、いや、」
「垂れる前に触ってよォ…ね、服の上からならいいでしょう?」
「あ…」
 「待て」をする犬のように両手は膝へ、「撫でて」と言わんばかりに目と眉毛は赤面した松井を責め立てた。
 渋々、本当に渋々松井は手を伸ばせばその手を奈々は捕まえ、下から持ち上げるように触り方をレクチャーする。
「んッ♡」
「柔らか、い…」
「でしょ、触りたい時は言って?ね…」
「はい…ぅわー……重そう…ですね…」
「重いわよ、実際肩凝るし…今度、肩に乗せてあげるわね」
「いえ…」
 ぽよぽよとしばらく触らせてもらうも松井が脂汗をかき始めたので奈々は手を解放してやり、前屈みになり背中に手を差して、アンダーを緩めにブラジャーを着け直した。
 そして顔を上げると松井も前屈みになっているのに気付き、
「ふふっ♡じゃ、食器片付けちゃおうかな…どうしたの?」
と明らかにわざと声をかける。
「ごめん、お手洗い借ります」
「あら♡元気ね」
「誰のせい…いえ、」
 たかぶった松井はサカサカと早足でトイレに入り、手をグーパーしてその感触が消えるまで、興奮が治るまでしばらく篭っていた。


 その後はそれぞれで好きに過ごし、松井は近くのスーパーへ夕飯の買い出しに出るなどして夕方に彼の部屋で共に食事をした。
 落ち着いたら一緒にジムへ向かい、奈々はトレーナーと打ち合わせをしてとりあえず胸筋を鍛えて将来的な胸の垂れを予防するような…そんなメニューを組んでもらう。
 松井はその様子を近くで眺めながら、改めて彼女の体を持て余していることを歯痒く思った。
「(デカい…背も、胸も、脚も長いしムチムチ…)」
 体型にフィットした上のウェアと緩い足首までのパンツ、今はそんなものだが慣れてくれば彼女は腹を出したりピタッとしたラッシュガードなどを着るだろうか。そうなればいよいよ松井の手に負えない。今日この時でさえ新顔ということで常連の視線が注がれているのに、器具を使ってトレーニングを始めればウェアのシワさえも艶かしく…男性陣はついつい目を奪われてしまうのだ。
 奈々は軽く準備運動をしてからチェストプレスやバタフライマシンなど胸と肩を重点的に攻め始める。
 力を入れて「ふん」と押し出したり腕を曲げたり、確かに締め付けられた胸は派手に揺れはしないが、呼吸は苦しくないだろうかとハラハラしながら松井はエアロバイクを漕ぎ続けた。

「ふー…疲れたァ……旭くん、それ楽しい?」
「楽しいですよ、ランニングマシンより僕は好きです」
 このフィットネスジムは建物の2階にあり、ガラス張りの窓際にランニングマシンがずらと並べられていて道路や隣のモールの利用者から丸見えになっている。空の様子や人の行き来を眺めるのは飽きなくて面白いが見世物のようで恥ずかしい、まだそれほど体に自信の無い松井は1列奥まったこのエアロバイクがお気に入りなのだ。
「もう自由にしていいって言われたの。私もやってみようっと…旭くんは、トレーナーさん付けてないの?」
「最初は付いてもらいましたよ。使い方とか分からないし…ひと通り覚えたらあとは好きにさせてもらってます。僕は筋肉というより全体的に絞りたかったので」
「知らないこと始めるの、勇気要ったでしょ」
ゆっくりペダルを踏みながら、奈々は横目で松井を窺った。
「そう…ですね、だから同僚と一緒に始めました…いかにも『付き添いです』みたいな雰囲気で斜に構えて……今考えるとダサいですね…」
「それを思い返してそう思えるのが進歩じゃない…成長よ、一緒にマッチョ目指しましょ♡」
「ナナさんはマッチョになりたいの?」
「違うけど…でも胸筋とか肩とか鍛えると、肩凝りも解消できるって…立ち仕事だと何かしら体のメンテナンスしとかなきゃ…ふぅ、汗かくの気持ちいいわね、」
「はい、」
 それから数種類のマシンを試して体をいじめ、シャワーを借りてクールダウンする。

 休日前の会社帰りに来るのも開放感があって爽快だが、ここを出て奈々が待っていてくれると思うと…この上なく松井の筋トレへのモチベーションは上がるのだった。
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