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信頼を吹っ飛ばしたのはキミ
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しおりを挟む年度が変わって初夏の候…下校しようと思ったら校門の前で懐かしの彼が待ち伏せていた。
「先輩、お久しぶりです」
「うわっ…なに?」
あれほど好きだった顔も、不審者だと思えば途端いやらしく感じる。
「きちんと謝りたかったんです。本当に、すみませんでした」
彼はきちんと両足を揃えて、頭を下げた。
しばらく見ないうちに大人になったのか、彼はジャストサイズの長袖Tシャツが様になっている。
「もう良いよ」
「あの、それで…これ、」
彼はゴソゴソと、手提げからクリアファイルを取り出して掲げる。
署名か何かかな、
「なに?」
と尋ねると
「形成外科の診療明細です。骨、折れてたみたいで」
と言われあの日の光景が蘇った。
「えっ」
「正確には深いヒビなんですけど。直後から痛くはあったんですけど、打撲だと思ってて。翌日のあのサークルの日も結構辛くて、歩くのも痛くて。それで、威嚇されて尻もち付いたじゃないですか、あの衝撃で完全に逝っちゃったみたいで。病院に行ったんです。そしたらほぼ折れてるよって…」
「あ、それで連絡……ご、ごめん‼︎あの、治療費、」
「いえ、そういうのは大丈夫なんで」
「…そ、それで、それを見せてどうしろっての」
まさかそれを盾に何か要求して来るんじゃないの、学生生活や就職活動など先々の見通しに暗雲が掛かる。
逮捕とかされる?土下座で許してくれるかな?髪の生え際から汗がじわじわ吹き出した。
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