僕たちが幸せを知るのに

茜琉ぴーたん

文字の大きさ
16 / 37
Capitolo5…Miniere

16

しおりを挟む

「……!」
「いわゆる不妊ってやつ。体質よ、排卵異常とか複合的な問題…調べてみて分かったの…だから離婚されたの。バツイチだって言ったでしょう?相手は跡取りが欲しかったから」
「そう、なの」
「当時で最先端の治療もしたわ、痛い思いも沢山した。知らないでしょう?…男は射精するだけだってのに……仕事も制限されて辛かったわ、そして…出来ないと分かって離婚された。もう20年近く前の話よ…子供が作れる体ならそんな思いせずに済んだのに…ただのセックスで簡単に出来るんならね…何歳になっても何度だって挑戦したかった、でも無理だった。レオくん、普通にセックスで子供が出来るって私にとって奇跡なのよ、羨ましいことよ……それをあなたは『面倒』って言った。私の地雷を踏んだのよ…せめて愛とか恋とか上手く言ってくれれば考えたかもしれないけど…ただの馬鹿なガキにしか見えなくなったわ…ううん、それ以下かも。脳みそまで海綿体なチャラ男、きっと女が妊娠しちゃったら逃げちゃうんでしょうね、あなたみたいな人って」
そう言って、シラトリさんはまた困惑する僕の顔のデッサンを再開する。

 僕が軽々しく求めたセックスは彼女にとっては崇高な生殖行為であり太古の昔から多くの皆が成していること、けれど彼女は成せなかったこと。
 能力がありながら遊興のために精を消費してあまつさえ懐妊を「面倒」「余計」と表した僕はシラトリさんにとっての敵だ。馬鹿な僕だってそれくらい分かる。
「ごめんなさい、そんな…知らなくて」
「知らなくて当然よ、言わないもの。だからこそあの信条は君の本音でしょう?遊びのために体をむさぼられるなんて御免よ、汚されたくない…分かるわよ、カップルのコミュニケーション、イチャイチャするのが楽しいって…それは双方の気持ちが揃っていればの話。私、本当セックスに良い思い出が無いの、最初から子作りの事務的なものしかしてもらえなかったから…今さら価値観が変わらないの。想像もできないしスるつもりも無いわ…あと数年で生理も上がっちゃう、そうしたら私、やっと呪縛から解放されるのかも」
「あの」
「ごめんなさいね、お子ちゃまなレオくんには難しい話だったかしら」
 馬鹿にするなと言い返したいけど馬鹿なのは僕だ。
 こんな時に丸裸な自分が情けないし心の奥底ではまだチャンスがあるんじゃないかと思ってさえいた。
 黙りこくったまま僕は彫像みたいにじっとして、けれどシラトリさんの顔を見られず目線は天井だったり自分の鼻先だったりと終始落ち着かない。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

お父さんのお嫁さんに私はなる

色部耀
恋愛
お父さんのお嫁さんになるという約束……。私は今夜それを叶える――。

秘事

詩織
恋愛
妻が何か隠し事をしている感じがし、調べるようになった。 そしてその結果は...

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

離婚した妻の旅先

tartan321
恋愛
タイトル通りです。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

処理中です...