14 / 27
2・めぐめぐプロポーズ
14
しおりを挟む「萌、可愛い…マジ袴みたいだな、これは脱がさずシよう」
「破れたら、やだなぁ…」
「気を付けるから…おっぱい見して」
口では「やだぁ」なんて言いつつも、袖から腕を抜くために肩をベッドから浮かせる。
滑稽な姿だなぁと自嘲しながら乳を吸われた。
「(こういうの、可愛いんだよなぁ)」
ガルガルと私を欲する周が、赤ちゃんのように乳に吸い付く姿は愛らしくていけない。
私の手はついつい周の頭を撫でてしまい、うっとり顔の彼に睨まれてしまう。
「あんだよ」
「ううん、気持ち良いなって」
「おっぱい吸って、悪いかよ」
「悪くない悪くない、可愛いって思っちゃっただけ、」
照れ隠しにわざと大きな音を立てて乳首を舐められる。
悲鳴をあげる直前くらいの痛さで乳頭を噛まれる。
凶暴性に腰は引ける、でも女の乳房に齧り付いている大の男が可愛らしくて…愛しくて仕方ない。
「男に可愛いはやめてよね…男は誰しも、こうなるよ…きっとタケ兄だってこんななってる」
「…どうだろうね」
セックス中に他の男性像を描かされ、興が冷める。
確かにおっぱいを前にしたら誰しもそうなるのかもしれないが、私の中で猛さんは無骨でムッツリなイメージなので頭がぐちゃぐちゃになった。
私と周は幼馴染みではあるが、学区は別だったので彼の兄弟たちとはそこまで打ち解けてはいない。
学生からの付き合いだし家にお邪魔した際に会ってはいるが、猛さんは我々が高校生の時には東京にいた。
女性慣れしていないらしく、今でも私は挨拶程度の仲である。
なので私は猛さんを異性としてどうこうなんて考えたことも無い。
「あ、駄目、僕に抱かれてんのにタケ兄のこと考えないで」
「周が言い出したんじゃん…安心して、想像もつかないから」
「ん…やだよ、兄弟間で寝取られとか」
「私だって想像したくないよ……あ、周は…菜穂さんについてはどうなの?」
人に聞くくらいだから自分も思い当たるのでは、胸を弄られながら他の女性の話題を出してみる。
周のことだから「興味無い」で済むかと思いきや、彼は乳首から口を離して
「細い、あれじゃ戦えない」
と首を振った。
「…一般の人は戦わないよ」
「とにかく細過ぎ。体質だろうけど、僕は健康的な萌の体つきが好み」
「そういう守りたい感じが、猛さんに刺さったのかもよ?」
「まぁ、タケ兄が盾になれば大抵の矢は貫通しないだろうね」
「…敵は飛び道具なんだ」
「当たり前じゃん、タケ兄の間合い広いんだから!僕は剣で互角…いや、構えが遅れたらやられちゃうね」
「確かにね」
長身の兄弟の中でも、猛さんは横幅もあり恰幅が良い。
華奢な菜穂さんの前に立てば、すっぽり収まりあらゆる敵から彼女を守れることだろう。
「…萌は、ちぃ兄のことはどう思う?」
「翔さん?は…私とは合わないよ」
翔さんは次兄で、190センチと兄弟の中でも最高身長を誇る。
細身で物腰は柔らかく、現在は我々も勤める熊学園の附属大学の事務をされている。
つまりは私の直属の先輩職員に当たる。
翔さんは既に結婚されており、お相手・多香子さんは大学の学友の方で、翔さんが一目惚れして猛アタックしたとかなんとか。
滅多に会うことは無いが、2年前の身内だけの結婚披露パーティーには私も参列させてもらった。
とにかく賢くて博士号まで取得した才女、未来の日本を担う研究者であり一児の母でもある。
翔さんは奥さまを溺愛しているし、そうでなくとも穏やか過ぎて勝気な私とは合いそうにない。
「そ、っか…いや、聞いたこと無かったから」
「気にしてたの?」
「ううん、奥さんにぞっこんだから寝取られる心配はしてないけど」
「ついでだから全部言っとこうか、傑くんもタイプじゃないよ」
傑くんは末の弟さんで、なんと前橋から東京の大学へと通っている。
こちらに彼女がいるから離れたくないのだと、そう聞いている。
兄弟の中では最も接触機会が多かったが、周の弟としか思ったことは無い。
ちなみに翔さんも傑くんも、いずれは学校の運営に携わる予定なのだとか。
周は教員として採用されているが、経験を積んで学内で上り詰めて学校長になったりするのかもしれない。
「ふーん…別に、ヤキモチとかじゃないんだけどね」
「嫌なら聞かなきゃ良いのに」
「一気に親族に会ったから、なんか意識の中にあったんだよ…兄貴の奥さんたちも充分綺麗だったけど、やっぱ萌が一番可愛い。すげぇ…勃つ」
「知ってる、」
話が済めば、周の頭はスススと下に戻って行く。
ちぱちぱと乳を吸い、満足気だ。
そして右手はこっそりと自身を扱いている。
マルチタスクが苦手だから、胸は疎かになってきた。
「(この人、私のこと好きなんだなぁ)」
私しか知らず、私で興奮して私に尽くしてくれる。
強くて守ってくれて、たまに負けてもくれる。
そんな彼がやはり愛しくて、癖っ毛の髪を撫でてしまう。
「…可愛がんなって」
「お礼、誠意だよ…愛しくて」
「…もー挿れる、ナデナデなんてさせない」
「うん、抱かれてあげる」
「…ん?強気じゃん」
若干の上から態度が気に障ったのか、周は目を細めて不遜に笑う。
1
あなたにおすすめの小説
病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜
来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。
望んでいたわけじゃない。
けれど、逃げられなかった。
生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。
親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。
無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。
それでも――彼だけは違った。
優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。
形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。
これは束縛? それとも、本当の愛?
穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている
井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。
それはもう深く愛していた。
変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。
これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。
全3章、1日1章更新、完結済
※特に物語と言う物語はありません
※オチもありません
※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。
※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。
6年分の遠回り~いまなら好きって言えるかも~
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
私の身体を揺らす彼を、下から見ていた。
まさかあの彼と、こんな関係になるなんて思いもしない。
今日は同期飲み会だった。
後輩のミスで行けたのは本当に最後。
飲み足りないという私に彼は付き合ってくれた。
彼とは入社当時、部署は違ったが同じ仕事に携わっていた。
きっとあの頃のわたしは、彼が好きだったんだと思う。
けれど仕事で負けたくないなんて私のちっぽけなプライドのせいで、その一線は越えられなかった。
でも、あれから変わった私なら……。
******
2021/05/29 公開
******
表紙 いもこは妹pixivID:11163077
私と彼の恋愛攻防戦
真麻一花
恋愛
大好きな彼に告白し続けて一ヶ月。
「好きです」「だが断る」相変わらず彼は素っ気ない。
でもめげない。嫌われてはいないと思っていたから。
だから鬱陶しいと邪険にされても気にせずアタックし続けた。
彼がほんとに私の事が嫌いだったと知るまでは……。嫌われていないなんて言うのは私の思い込みでしかなかった。
記憶を無くした、悪役令嬢マリーの奇跡の愛
三色団子
恋愛
豪奢な天蓋付きベッドの中だった。薬品の匂いと、微かに薔薇の香りが混ざり合う、慣れない空間。
「……ここは?」
か細く漏れた声は、まるで他人のもののようだった。喉が渇いてたまらない。
顔を上げようとすると、ずきりとした痛みが後頭部を襲い、思わず呻く。その拍子に、自分の指先に視線が落ちた。驚くほどきめ細やかで、手入れの行き届いた指。まるで象牙細工のように完璧だが、酷く見覚えがない。
私は一体、誰なのだろう?
【完結済】25億で極道に売られた女。姐になります!
satomi
恋愛
昼夜問わずに働く18才の主人公南ユキ。
働けども働けどもその収入は両親に搾取されるだけ…。睡眠時間だって2時間程度しかないのに、それでもまだ働き口を増やせと言う両親。
早朝のバイトで頭は朦朧としていたけれど、そんな時にうちにやってきたのは白虎商事CEOの白川大雄さん。ポーンっと25億で私を買っていった。
そんな大雄さん、白虎商事のCEOとは別に白虎組組長の顔を持っていて、私に『姐』になれとのこと。
大丈夫なのかなぁ?
初恋だったお兄様から好きだと言われ失恋した私の出会いがあるまでの日
クロユキ
恋愛
隣に住む私より一つ年上のお兄さんは、優しくて肩まで伸ばした金色の髪の毛を結ぶその姿は王子様のようで私には初恋の人でもあった。
いつも学園が休みの日には、お茶をしてお喋りをして…勉強を教えてくれるお兄さんから好きだと言われて信じられない私は泣きながら喜んだ…でもその好きは恋人の好きではなかった……
誤字脱字がありますが、読んでもらえたら嬉しいです。
更新が不定期ですが、よろしくお願いします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる