お嬢の番犬 ピンク

茜琉ぴーたん

文字の大きさ
15 / 17
ピンク

15

しおりを挟む

「……和久わく、誰にも言いなや…ロリコンや思われる」

「その通りやがな…けど言わへんよ、親父さんと旦那さんが荒れるの見た無いもん」

和久は顎を摩って、ニヤニヤと波打つ口元を隠す。

「……ほな言うなて」 

「ふふ」


 母がみやびから離れてすぐ、垣内かいちと和久は若役という事で子守を任されるうちにいつの間にか専属になってしまっていた。

 オムツ替えからミルク作り、授業参観や運動会にも積極的に参加してきたし、子供好みの料理も勉強した。

 先日などは遂に赤飯も自作して皆に振る舞ったほどだ…雅はなんだかえらく怒ってはいたが。


「可愛いよ…見合いなんかさせへん…絶対や…俺が育ててん、俺のお嬢や」

「垣内、くれぐれも手は出すなよ、案件や」

「当たり前やろ、ヤりたいとかそういう好きとちゃうねん…んー…」

酔い始めた垣内は更に意識を遣ろうと頭をぐるんぐるんと振って乱れた髪を掻き毟る。

 幼い少女は身体つきも心も「女性」に育ち始めている、成熟した大人になるまで見届ける気持ちはあるが、この先は自身の衝動を抑えるのに苦労するだろう。

「わかるよ、大切やねんな、ぽっと出の若造になんかやりたないわな、それは同感や。知らんやつに嫁がせるくらいなら俺もお前に任せたいわ」

「せやろ…ほんま…エスカレーター式の女子校に入れて良かったわ…悪い虫が付いたら困るからな……とりあえず大学までは安心や…」

「溺愛やなぁ、報われるとええな、ふふ、よし…部屋帰るわ…嫁が待っとる。コレは置いてくから、好きに呑みや」

残ったグラスの酒をあおり、ウィスキーの瓶を座卓に置き直して和久は立ち上がる。

「なんで、貰うてええの?」

「んー、お前の志も聞けたしな、ご褒美や」

「いや…わからんけど…ほな、おおきに…」

 アルコールでほわほわとした垣内へ振り返ることなく、和久は妻が待つ部屋へと帰って行った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

今宵、薔薇の園で

天海月
恋愛
早世した母の代わりに妹たちの世話に励み、婚期を逃しかけていた伯爵家の長女・シャーロットは、これが最後のチャンスだと思い、唐突に持ち込まれた気の進まない婚約話を承諾する。 しかし、一か月も経たないうちに、その話は先方からの一方的な申し出によって破談になってしまう。 彼女は藁にもすがる思いで、幼馴染の公爵アルバート・グレアムに相談を持ち掛けるが、新たな婚約者候補として紹介されたのは彼の弟のキースだった。 キースは長年、シャーロットに思いを寄せていたが、遠慮して距離を縮めることが出来ないでいた。 そんな弟を見かねた兄が一計を図ったのだった。 彼女はキースのことを弟のようにしか思っていなかったが、次第に彼の情熱に絆されていく・・・。

有名俳優の妻

うちこ
恋愛
誰もが羨む結婚と遺伝子が欲しかった そこに愛はいらない

雪の日に

藤谷 郁
恋愛
私には許嫁がいる。 親同士の約束で、生まれる前から決まっていた結婚相手。 大学卒業を控えた冬。 私は彼に会うため、雪の金沢へと旅立つ―― ※作品の初出は2014年(平成26年)。鉄道・駅などの描写は当時のものです。

人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている

井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。 それはもう深く愛していた。 変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。 これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。 全3章、1日1章更新、完結済 ※特に物語と言う物語はありません ※オチもありません ※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。 ※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。

橘若頭と怖がり姫

真木
恋愛
八歳の希乃は、母を救うために極道・橘家の門を叩き、「大人になったら自分のすべてを差し出す」と約束する。 その言葉を受け取った橘家の若頭・司は、希乃を保護し、慈しみ、外界から遠ざけて育ててきた。 高校生になった希乃は、虚弱体質で寝込んでばかり。思いつめて、今まで養ってもらったお金を返そうと夜の街に向かうが、そこに司が現れて……。

子持ち愛妻家の極悪上司にアタックしてもいいですか?天国の奥様には申し訳ないですが

霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
胸がきゅんと、甘い音を立てる。 相手は、妻子持ちだというのに。 入社して配属一日目。 直属の上司で教育係だって紹介された人は、酷く人相の悪い人でした。 中高大と女子校育ちで男性慣れしてない私にとって、それだけでも恐怖なのに。 彼はちかよんなオーラバリバリで、仕事の質問すらする隙がない。 それでもどうにか仕事をこなしていたがとうとう、大きなミスを犯してしまう。 「俺が、悪いのか」 人のせいにするのかと叱責されるのかと思った。 けれど。 「俺の顔と、理由があって避け気味なせいだよな、すまん」 あやまってくれた彼に、胸がきゅんと甘い音を立てる。 相手は、妻子持ちなのに。 星谷桐子 22歳 システム開発会社営業事務 中高大女子校育ちで、ちょっぴり男性が苦手 自分の非はちゃんと認める子 頑張り屋さん × 京塚大介 32歳 システム開発会社営業事務 主任 ツンツンあたまで目つき悪い 態度もでかくて人に恐怖を与えがち 5歳の娘にデレデレな愛妻家 いまでも亡くなった妻を愛している 私は京塚主任を、好きになってもいいのかな……?

課長と私のほのぼの婚

藤谷 郁
恋愛
冬美が結婚したのは十も離れた年上男性。 舘林陽一35歳。 仕事はできるが、ちょっと変わった人と噂される彼は他部署の課長さん。 ひょんなことから交際が始まり、5か月後の秋、気がつけば夫婦になっていた。 ※他サイトにも投稿。 ※一部写真は写真ACさまよりお借りしています。

月の後宮~孤高の皇帝の寵姫~

真木
恋愛
新皇帝セルヴィウスが即位の日に閨に引きずり込んだのは、まだ十三歳の皇妹セシルだった。大好きだった兄皇帝の突然の行為に混乱し、心を閉ざすセシル。それから十年後、セシルの心が見えないまま、セルヴィウスはある決断をすることになるのだが……。

処理中です...