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しおりを挟むそれから和樹は真綾をきちんと家の前まで送り、在宅していた父と母へ挨拶をさせてもらった。
「…という訳で、角田のことを片付けるまでは身辺に注意をして欲しいんです」
「まぁ、そうですか…」
「あと、うちの商店街に暴走族が出るんですが、最近酷いんです。もしかしたら角田が関係してるかもしれなくて。バイクのフカし方が同じで、真綾を探し回ってたのかもと…僕は考えてます。うちに寄るなって言いたいんですけど、真綾さんがどうしても来たがるので…ご家族間で、出勤や帰宅の確認を密にしてもらいたいんです。真綾が予定通りに帰らなかったら僕にも連絡を下さい」
「分かりました」
和樹は両親とも連絡先を交換し、体制を整えた。
ところで角田のことは保護者である真綾の両親の役目だと言われたが、
「真綾さんがうちに来たから見つかったので、原因みたいなもんなんです。交際して日も浅いですが、僕は真綾さんに責任を取りたいと思ってます。なので、僕が窓口として動きます。これは僕の覚悟なので…見守って下さい」
と固辞した。
さらには
「初めてのご挨拶がこんな話題で申し訳ないです。解決したら、改めて参りますので。その時は、良いご報告が出来るかと思います」
と締めくくり、真綾と両親をいたく感動させた。
和樹は社会人としてふた周りほど張り切り、良い大人を演じた。
対比される角田と真綾の幼稚さが際立ってしまったが、本人たちの行いのせいなので致し方ない。
真綾は縮こまっていたが、和樹の最後の口上を聞けばその表情は晴れやかになっていた。
帰宅後のメッセージによると、真綾は両親からチクチクと嫌味を言われて参っているそうだ。
「あんなに立派な萩原さんを困らせるんじゃない」などと。
和樹はその連絡を読んで「ふは」と笑った。
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