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しおりを挟むこの日から、歩夢嬢は高梁くんとのデート前とデート後に俺に「抱いてちょうだい」と命令するようになった。
単純な快感を求めるのも本心、高梁くんと比較して気持ちを確かめているのも嘘ではないらしい。
年度が変わって2年生になって、夏が来て春が来て彼女が二十歳になっても俺たちの関係は変わらなかった。
俺は送迎ついでにご用命があれば抱いて帰る。
歩夢嬢は都度複雑な表情を見せつつも俺とのセックスを愉しんでいるようだ。
このまま阿婆擦れに成り下がるのかと思いきやそうでもなくて、むしろ慎み深くなりガードは固くなっている。
最中は艶っぽく鳴くが日常生活では必要以上に引っ付いたりはしない。
気安く雑談くらいは交わすが「恋仲なのか」と疑われるような馴れ合いは決して見せない。
いつからだろう、俺はその腕の中だけで見せる淫らな主の姿に興奮を覚えるようになった。
セックスに乱れる様ではなく、表と裏のギャップにだ。
こうなってくると本命・高梁くんの存在はもうどうでもよくなってきていて…成人式前に別れていたなんて事実も、後から聞いてえらく驚いたのだった。
つづく
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