備後の神の縁結び

茜琉ぴーたん

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番外編・5

イトウ、ぼちぼち。

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「イトウさん、これ見て下さい、合うとるか」
「……ん、マル。上手」
「おし、おーし…」
「なんじゃ、元気じゃの」
「そう?ふふ、慣れてきたけぇな、ふふ」
「……」
これはヤったな、俺は直感でそう思った。

 ぼんがいつものように休みに千鶴ちづるちゃんとのデートのために出かけて、帰ってきたらなんだか雰囲気が変わっている。
 自信に満ち溢れているというか目がキラキラして堂々としているというか、全知全能の神にでもなったような悟ったような。
「(……脱・ドーテーか、やるねぇ)」
 俺だって覚えはある。何ら境遇が変わるわけでもないのに女とヤっただけで妙に力が湧いて、一人前になったような錯覚を起こした。
 俺の場合は中学の時だったが、同級生の多くに先駆けて経験済みになったことは意味も無く自信になったし、やれゲームだ漫画だと騒いでいるクラスメイトがえらく幼稚に見えたものだ。
「…坊、気持ち良かったか?」
「へ?………何がっすか」
「エッチ、シてきたんじゃろ?誰とかは知らんが」
「いやチィじゃ‼︎……あ、だ、黙っといてくれ、イトウさん」
坊は焼けた顔を真っ赤にして、止まっていた資材加工の手を動かす。
「すぐバレるじゃろ、坊、浮かれとる」
「そ、そうかの…真面目に働いとるつもりじゃが…」
「嬉しさが顔に出とる…まぁ良かったな」
「へへ…」
 ここ倉庫でしくじった時は社長の代わりに殴ってやろうとも思ったが、あれからまともに高校を出て働いて、道を外れずにやっているのだからまぁいいか。
 ゆくゆくはここの社長になり俺の上に立つのか。そして幼馴染みの美人ちゃんと初セックス、おそらく結婚するだろうから羨ましすぎて文句しか出ない。
「坊は恵まれとるの、家業があって美人の嫁がおってよ」
「まだ嫁じゃにゃあて…やることもようけ沢山あるしよ…イトウさんにもまだまだ教えて貰わにゃいけん」
「ふん……ほいでよ、坊、千鶴ちゃんは気持ち良かったか?」
「………ノーコメントじゃ、」
そう言って工具を確認する目は立派な職人のそれだった。
「大人じゃの」
「…イトウさん、『男も初めては痛い』ってあれ、まともに信じて恥かいたど」
「騙される方が馬鹿じゃろ………ええのぉ、坊…俺もぼちぼち結婚しようかの」
「え、イトウさん、彼女おるんすか」
「おるように見えんか」
「い、いや…んなことは」
「おるよ、もう5年は同棲しとる」
 ここで働き出してから交際を始めた彼女・真波まなみとはすぐに一緒に住み始めてずるずる5年が過ぎている。身を固めるキッカケなんてものがあればすぐしても良いのだが、それが無いのでだらだらしている。
「へぇ…いいっすね」
「何がよ…トキメキもねぇ、うるさいだけ。ドーテー捨てた相手と結婚までいける坊が羨ましいね」
「そう…なんかな…そうじゃない人の方が多いっしょ」
「まぁな、じゃけぇお前みたいな…ピュアな奴が羨ましいんよ」
 ちなみに俺の初体験は当時つるんでいた同級生の姉。モロにヤンキーだったが美人だったし「サセてあげようか」のひと言にぶんぶんと頭を縦に振ったのを憶えている。
 場所はその人の部屋だった、穴を間違えそうになり笑われたのも今となっては良い思い出だ。
「メシにするわ、それできたら坊も休憩せぇよ」
「はい」
 予定通りの所まで作業を進めた俺は、奥の休憩スペースへ腰を下ろして真波の作り置きおかずを詰めた弁当を開き茶をすすった。
 彼女は本土の総合病院でナースをしていて、俺と同等か月によってはそれ以上に稼いでくる上玉である。料理も上手いし家庭的、夜の方も積極的で…俺にはもったいないほどのいい女だ。
「結婚…ねぇ、」
 木屑の香りもおかずにしつつ、俺は弁当を美味しくいただき午後からの仕事にも精を出した。



 数時間後、自宅にて。
「あふ♡あ、っ…んあ♡」
「マナ、今日は一段と…エロいの、吸い付きがええ」
「あんッ♡疲れたけぇッ…手術明けって…ハイになっちゃうね、ゔあ♡」
真波は大の字に寝た俺の上へまたがって、自分勝手に動いては俺のムスコをディルド扱いしやがる。
 17時定時で帰ってみれば「おかえり」も無しに身ぐるみを剥がされ襲われたのだ。それでも俺は勃ってしまうのだから男はしようがない。
「ほじゃけぇ裸で待ちよったんか、こんのアバズレが」
「ばぁか、あんたしか知らんわ、んッ♡」
 ならば床に転がっているバイブレーターは何なのか、さしずめ俺の穴兄弟といったところか。ややこしい手術の介助を終えた真波は明日は休みだそうで、気分も性欲も盛り上がりオナニーでもしていたのだろう。
 そして俺が帰ってきて襲ったのだ、道理でローションも使わずスムースに入ったものな。
「そのバイブはッ…新顔かッ⁉︎」
「ん、新製品♡んッ♡あ、ヒロアキ、気持ち良い♡」
「バイブと、どっちがええ?」
「太さはあっちバイブ、でもヒロアキち◯ぽが好き♡人間では1番♡」
 はて俺しか知らないくせに順位が付くのか、生意気だなぁと俺はとろんとした目をした真波の腰を掴む。
「俺しか、知らんじゃろうがッ!あ?」
「あッ♡きゃ、お、お♡」
「アバズレが…セックス狂いめ」
「あは♡んン、そうだよぉ、気持ち良いんだもん、ん♡」
 突き上げれば喜んで、休めば物足りない顔をして。真波の底無しの性欲の相手をするのはなかなかに骨が折れるが…俺も恩恵は受けているので手放す気は無い。

「はぁ、マナ、んあッ…イきそ、出る、出すぞッ」
「かもぉん♡中出しバッチ来ーい♡」
「……」
 なんとムードもへったくれも無い愛の交感だろう。しかしそんな彼女が堪らなくいやらしいので俺も奮い、ご希望通りに膣内へしっかりと種付けしてやった。
「おー……あ、あ、マナ、あー…はらんだろ、あ?」
「ピル飲んでるし」
「あーそう…うん…あー…腹減った」
「ヒロアキ、髪に木屑付いとるよ」
「ん、どうしてもなぁ、うん…あ、マナ、締めんな、勃つ、」
なかなか退かない真波を引っこ抜いて尖らせた唇にキスをして、俺はしぼんだムスコを拭いてパンツを探す。
「はい、どーぞ」
「おう…いやこれマナのじゃ」
「穿いてみ?」
「入らん、はみ出るわ」
「あはは♡」
 どこまでもいかがわしい彼女は布面積が限りなくゼロなその紐を穿いて、大きめのシャツに袖を通し台所へと進んだ。チラと見え隠れする尻がエロくて、事後でなければ1発イっとくのだがなにぶん連発ができずもどかしい。

「ヒロアキぃ、酸っぱいのとマヨネーズとどっちがいい?」
「なに、サラダ?」
「うん。キュウリとワカメ」
「んーーー、酢!」
「おっけー」
 そうして出来上がった晩飯を二人で囲む、今日の出来事やテレビ番組を話題に会話する、ここに既に家庭はある。ぼんに触発された俺は、行動することで何か変わるのか試してみたくなった。
「…マナ、……俺と、結婚せんか?」
 味噌汁の碗から目だけ覗いた真波は細切りの玉ねぎを啜って、
「…………マジ?」
とスレた返答をする。
「嫌ならええけどよ」
「んーーーー…ええよ♡」
「軽いのぅ」
 拍子抜けしてカクッと首を傾げれば、
「言うても今までの生活と変わらんじゃろ?」
と彼女はニッコリ笑い目線を俺に合わせた。
「まぁ、な」
「ふふ、なに、すんごい勇気出した?」
「出したわ」
「かぁわいいねぇ♡ヒロアキぃ、」
「触んな、早よ食え」
「ち◯ぽを?」
「メシじゃ‼︎」



 近いうちに役所へ行って婚姻届を貰おう。
 指輪はお互い仕事に差し支えるからネックレスとかにしてもらおうかな。
 親への報告だとか家はどうするとか、そんなことをタラタラと話しながら、その夜は俺から誘って真波を抱いた。

「ッあ、ヒロ、アキぃ♡…っゔんッ♡」
「声が、デケぇ、」
「だってェ、ッあ♡あ、ん♡」
「あ、もげそう、マナ、」
 俺は元来そこまでセックスが好きとかいうわけでもなくて、真波とはその点では趣向が合わないのだ。だから物足りない彼女は俺を襲ったり玩具おもちゃで性欲処理をしたり、貪欲どんよくに乱れるのだが…こうして俺の方から求めた時は意外やしおらしくて可愛げがある。
「っフぅ、あ、イっ、ちゃ、うゔ♡」
「あー、キツ、イけ、な、」
「ヒロアキぃ、あ、あ♡♡♡」
「おー、お♡♡♡」

 合コンで出会った彼女は俺の見た目から「エッチが巧そう」と思い込み交際を決めて初日に処女までくれたのだが、存外に俺が淡白だったために付き合って数日で別れ話に発展した。
 その理由に唖然とした俺は「なら好きにしろ」と突き放したつもりだった。だが曲解した彼女は俺を襲って「好きにシ」て家に住み着いて、そのままずるずると今日こんにちまでこんな具合なのである。
「抱かれてくれてさぁ、オモチャまで許してくれる男の人って、そんなにおらんと思うんよなぁ」
「ならせめて隠せや。出窓に並んどった時はマジでビビったぞ」
「ごめん♡でもやっぱ、ヒロアキち◯ぽでイカせてくれるのが1番気持ち良い」
「亭主のちんちんをオモチャと同列で語んなや」
「はーい♡夫のち◯ぽっぽがいっちばーん♡」
「下品な女」
 ただの耳年増だった彼女に経験を積ませて俗っぽくしてしまったのは俺の責任なのだろうか。それならば全うせねばならないし更生させねばならないか。

「ヒロアキ、好きよ」
「ん、俺も」
「時期が来たらピルもやめようかね」
「仕事との折り合いじゃな、計画立てようや」
「子作りも頑張ろぉな♡」
「おぅよ」

 結婚を決めた。
 何ら境遇が変わるわけでもないのに妙に力が湧いて、一人前になったような錯覚に俺は酔いしれた。



おしまい

*詳細は、『彼女の欲望に寛容な彼』にて。
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