備後の神の縁結び

茜琉ぴーたん

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初体験編

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「うーん」
「チィ、今日穿いて来たパンツ、あれワシにくれぇ、次に会う時までのお守りにすらぁ」
「やだ、変態じゃん」
「代わりにワシのブーメラン貸したるよ」
「要らないよっ!」
部屋の真ん中に転がるあのテカテカしたブーメランパンツ、確かに芸術性は高いというか造形や色味は美しいのだが、千鶴はそれで興奮する訳も無い。
「…ちゃんと手洗いとかできる?」
 先ほどから何かと手をわずらわせるこの男、家事など母親任せなのだから借り物のパンティを家族が使う脱衣カゴへポイと入れて母に洗濯させてしまうだろう。
 しかしそこはプロというか紳士というか、渉はしれっと
「はぁ?洗わんわ、チィの匂いが薄うなる」
とぬかして、まるで千鶴が非常識人かのように眉をしかめて分かりやすく睨む。
「やだ、変態…」
「チィ、乳首勃ってきた♡デザート代わりにねぶらせぇ」
「プリン買ってる、あ、あ♡」

 その後はもう1回ゆっくりじっくりと交わって、もう一度訪れた賢者タイムには渉は自ら風呂場へエスケープし…収束すれば着衣の上で時間いっぱいまでゆるゆると過ごした。



「じゃあ…またね、体に気を付けてね」
「あぁ、チィも…勉強頑張ってな」
 新幹線のホームで着車ベルを聴いた途端に別れの気分が強くなり、二人は繋いだ手にぎうと力を込める。
「うん、また…年内にまた会おうね」
「ん…チィ、今日はありがとな、なんじゃ…大人になった気がするわ」
「浮気はダメだよ」
「せん、神に違ってせんぞ」
恋人繋ぎの手を持ち上げてちゅっとキスをして、渉は悟ったような面持ちで微笑んだ。
「渉くん、仏教でしょ」
「…口の減らん……あ、ほんなら遺跡、あの神さんに誓うわ、な」
「んー…おかげはあるのかな…まぁいいや…分かった」
 島を見下ろすあの巨岩の遺跡、そこに宿るだろう神様に渉は貞操を守ることを誓い、千鶴も受け入れる。

 轟々と音を立ててホームに入る新幹線の風で二人の髪が揺れて、さっと手を離してそれぞれに乱れた頭を直した。
「あの岩…絶対パワースポットよ…観光客も増えたしな、町がどんどん開発されようる」
「しまなみ海道が繋がってきたからじゃない?全通はまだだけど…もっと人は増えるだろうね」
「遺跡さまさまじゃ…うん、じゃあの、また」
 降車客が居なくなったら渉は乗り込んで、自由席車両の窓から手を振る。
 そして反対のホームにも新幹線が入線して来て目を奪われると、その隙に千鶴は渉へ背を向けて乗車客の列へと並んでいた。
「(寂しいのぅ…)」
 ドアが閉まりゆっくりと動き出す新幹線から渉は手を振り続けるも、千鶴はその後こちらへ振り返ることはなかった。

 地元へ帰ると千鶴へ『無事に着いた』とメールを入れて、本当にお土産に貰った彼女のパンティを胸に抱きベッドでぐふぐふと幸福に浸る。同じく下宿先に着いた千鶴からの返事は『こっちも。おつかれさま』と素っ気ないもので、渉は妙な違和感を覚えつつも移動疲れでこの日は普段より早めに就寝した。
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