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第三話
第四十三節 心身の浄化
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今一度、確認のために言っておこう。これは彼の体調が回復したかどうか、同じ立場の人間として確認するためであって、決して他意はないのだと。
カーサの宿舎は本部アジトに隣接するように建てられており、また階級によって部屋のグレードもそれなりに変化している。一般の戦闘員がワンルームであるならば、最高幹部は2LDKほどの広さとなっているのだ。
ヴァダースはもう一人の最高幹部であるメルダーの部屋まで辿り着くと、呼び鈴を鳴らした。部屋の中から声が聞こえてきたことから、どうやら自分の言いつけを守り部屋で休んでいたようだ。数秒後、ドアを開けたメルダーの表情には驚愕の二文字が張り付いていた。
「ダクターさん!?あの、どうして俺の部屋なんかに?」
「同じ立場の人間として、貴方の様子を確認しに来ただけです。それに、食事を用意すると言ったのは私ですからね」
「でもその、お仕事は?」
「貴方ではないんですから、すべて終わらせてきましたよ。書類仕事は得意な方ですので。とにかく、失礼しますよ」
メルダーの制止も聞かずに彼の部屋に入る。予想していたより部屋は閑散としていることに驚きつつも、まずは彼に体調を尋ねた。
「おかげさまで、だいぶ頭はスッキリしてきました。本当にご迷惑をかけて申し訳ありません」
「別に構わないと言ったでしょう。それで、少しでも何か食べたんですか?」
「えーっと……」
目を泳がせながら苦笑するメルダー。ある程度予想は付いていたが、やはり食べていなかったのだろう。ため息をつきつつ、ヴァダースはキッチンに向かった。
仕事終わりに何かメルダーが食べられるものを見つけようと思ったが、生憎とカーサの本部と宿舎があるヴァーナヘイムには、それほど飲食店があるわけではない。またテイクアウトの類もほとんどされていないのだ。
カーサ本部にいるときは本部の食堂で食事をすることがほとんどのため、料理をする必要もない。しかしそこ以外で食事をするとなると大抵、自炊するしかないのだ。
キッチンを見て、一通りの調理器具があることを確認したヴァダース。仕事帰りに購入した食材を調理台の上に置きながら、彼はメルダーに声をかけた。
「そんなことだろうとは思いましたよ。今から作りますから、出来上がるまで休んでいなさい」
「ダクターさんが作ってくれるんですか!?」
「なにかおかしなことでも?」
「いえ、そうじゃなくて。何から何まで悪いなって……」
「私は私が言ったことを嘘にしたくないだけです。それに碌な食事をとらなかったことでまた倒れられたら、それこそ面倒ですから」
いいから休みなさい、改めて釘を刺したヴァダースに対してメルダーは、リビングにいてもいいかと尋ねてきた。どうも休んでいたのはいいのだが、今まで寝すぎてしまっていたために眠くないのだと。そういうことであるなら仕方ない、とヴァダースもそこは妥協した。
「ところで貴方、何か食物アレルギーはありますか?」
「いえ、大丈夫です。俺なんでも食べれますよ!」
「そうですか」
確認が取れたところでヴァダースは長くなった己の髪を一つにまとめてから、調理を開始した。一応まだメルダーは貧血が治っていないと仮定して、その症状が治まるようなものを作る予定だ。
カーサの戦闘員になって食事を自分で作るようになってから数年。最初こそ失敗ばかりしていたが、慣れというものは怖いもので。ここ最近はある程度のものなら作れるようになっていた。まさか自分が、他人に料理を振る舞うことになるとは思ってはいなかった。しかしこんな風に自分の給料で食材を買うなんてことも久し振りだな、なんて思いながら黙々と調理をしていくのであった。
やがて出来上がったものをテーブルに並べる。完成した料理はアサリと豆乳のクリームパスタと、ホウレンソウのソテーだ。出来立てのそれらを目の前に出されたメルダーは、目をキラキラとさせながら感嘆の息を漏らす。
「なんですかこれ!?めっちゃ美味しそうです!」
「見ての通りです。貴方はまだ一応貧血状態だと思ったので、症状を和らげられそうなものを、と。アサリと豆乳には血液に必要な鉄が多く含まれていますし、ホウレンソウには血液を作るうえで必要になる葉酸があるのでね」
「そうなんですか?それは初耳です!食べてもいいですか?」
「どうぞご勝手に」
後片付けを始めたヴァダースだが、料理を一口食べたメルダーの感動の声がこれでもかというくらいに耳に届く。
「めっちゃくちゃ美味しいですよこれ!こんな美味いのはじめて食べました!」
「そうですか、それは結構」
「お世辞とかじゃないですからね?本当に美味しくて感動してるんです!」
「わかりましたから。食事中はもう少し静かにして食べなさい」
「あはは、すみません。でも本当に美味しいです。それに誰かの手料理を食べるなんて初めてですから、感動しちゃって」
メルダーの言葉を適当に受け流しつつ、どうやらいつも通りの彼が戻ってきたようだと、どこか安心感を覚えてしまった。当のメルダーも幸せそうに、だらしのない表情をしながらパスタとソテーを食べ進めていくのであった。
数分後。満たされたと言わんばかりの表情でメルダーが両手を合わせる。目の前には、綺麗に空になった器。
「ごちそうさまでした」
「お粗末さまでした」
「いやぁ本当に美味しかったです。もっと食べたいって思っちゃいましたよ」
ありがとうございます、と感謝の言葉を述べるメルダーに対して、あくまでも同じ立場の人間としてやったまでだと答える。それでも嬉しいのだと、相変わらず屈託のない笑顔で接してくるメルダーである。
何故その笑顔を見ても、以前感じていたような嫌悪感が浮かんでこないのか。一人考えに耽っていると、メルダーの方から尋ねたいことがあると声をかけられる。
「そういえば、ダクターさんってカーサになる前までは貴族だったんですか?」
彼の言葉に意識が現実に引き戻される。闇オークションでの話を、メルダーも聞いていたのだ。もはや隠す道理がなくなってしまった。どこか達観したように、ヴァダースはメルダーの言葉を肯定する。
「ええ。貴方もあの時の話を聞いていたのでしょう?」
「はい。その……言いにくかったら別に構わないんですけど、どうして貴族だったのにカーサに入ったんですか?」
「何故貴方に言う必要が?」
「ダクターさんのことをもっと知りたいからです。以前も同じようなことを聞いて怒られちゃいましたが、それでも俺はやっぱり同じ最高幹部として、ダクターさんのことをもっと知りたいんです」
ぐい、と迫るメルダーに、これは何度追い返しても諦めてはくれないだろうと、どこか納得してしまう自分がいた。どうしてここまで頑固なのかと問いただしたくもなったが、自分が折れるしかないだろうと判断する。
仕方ない、ため息を一つ吐いてからヴァダースは己のこれまでの経緯を話す。右目のこともそうだが、それがきっかけでボスに拾われて今があるのだと。ヴァダースの話を黙って聞いていたメルダーは、彼の話を最後まで聞き終わると一言呟く。
「……やっぱり、ダクターさんって凄いです」
「はい?」
彼の言葉の真意がわからず、どういうことかと尋ねる。その質問に対してメルダーは己に言い聞かせるかのように、言葉を紡いだ。
「だって、全部を失ったと感じてもそこから必死に努力してのし上がって、今の最高幹部の立場にいらっしゃるんですもん。そりゃあ、ぽっと出の俺にいい感情なんて湧くはずもないですよね」
「そうですね。実際、気に食わないのは確かでしたよ」
「ですよねぇ……。それでも俺はダクターさんのことを尊敬してますし、もっと色んなことを教えてもらいたいです。だからこれからも、よろしくお願いします」
そう言ってから、メルダーは頭を下げる。その素直な態度を前に、ヴァダースはそれ以上彼の言葉を無下にはできなかった。出会った当初に自分がメルダーに対して抱いていた嫌悪感の正体に気付き、そのうえでなお自分を慕おうとする姿を見せられては、ある種の敗北を感じざるを得ない。ここまで愚直に言葉をぶつけられるとは。
「まぁ……最近の貴方の働きも、悪くないものにはなってきましたからね。そこは認めましょう」
「本当ですか!?」
「ただし慢心しないことですね。自分の体調管理もできないだなんて、最高幹部として情けないことこの上ありませんし」
「そこは俺も反省してるので許してくださいよ~!」
「なら鉄剤を飲んで今日はもう寝なさい。明日も仕事があるというのに」
さげます、とメルダーの前の空になっている食器を片付けようとするヴァダース。彼の言葉に多少不満があるのか、拗ねたようにわかりましたと返事をするメルダーである。しかし彼もタダで転ぶつもりはないのか、じゃあと言葉を続けた。
「今度ダクターさんが体調不良にでもなったら、おんなじこと俺も言わせてもらいますからね!」
「私は貴方とは違って自分の体調管理はしっかり行っているので、その必要はありませんね」
「そんなのわからないじゃないですかー!」
「それだけ騒げるのなら、もう心配はないでしょう」
やれやれ、と呆れながら片づけをしていくヴァダースだが、内心メルダーの様子に安堵を覚える自分もいた。それに気付いてしまい、ついでに余計なことまで思い出されてしまう。油汚れみたいにしつこく忘れることができない、彼女の言葉。
──嫉妬が転じて、その人のことを好きだって思うこともあるの。
「だから、違うと言っているでしょう!?」
「へっ!?なんですか!?というか、そこまで怒るだなんて思ってなかったんですごめんなさい!!」
「あ……い、いえ。申し訳ありません。貴方には関係のないことですので……」
脳内に潜り込んできたシャサールに対しての言葉だったが、気付かないうちに叫んでしまっていたらしい。メルダーの慌てた様子の謝罪の言葉に、さすがに申し訳なく感じたヴァダースは、素直に謝罪の言葉を述べる。
その後のメルダーの様子を見て、もう大丈夫だと確信が取れたヴァダースは、己の部屋へと戻るのであった。
カーサの宿舎は本部アジトに隣接するように建てられており、また階級によって部屋のグレードもそれなりに変化している。一般の戦闘員がワンルームであるならば、最高幹部は2LDKほどの広さとなっているのだ。
ヴァダースはもう一人の最高幹部であるメルダーの部屋まで辿り着くと、呼び鈴を鳴らした。部屋の中から声が聞こえてきたことから、どうやら自分の言いつけを守り部屋で休んでいたようだ。数秒後、ドアを開けたメルダーの表情には驚愕の二文字が張り付いていた。
「ダクターさん!?あの、どうして俺の部屋なんかに?」
「同じ立場の人間として、貴方の様子を確認しに来ただけです。それに、食事を用意すると言ったのは私ですからね」
「でもその、お仕事は?」
「貴方ではないんですから、すべて終わらせてきましたよ。書類仕事は得意な方ですので。とにかく、失礼しますよ」
メルダーの制止も聞かずに彼の部屋に入る。予想していたより部屋は閑散としていることに驚きつつも、まずは彼に体調を尋ねた。
「おかげさまで、だいぶ頭はスッキリしてきました。本当にご迷惑をかけて申し訳ありません」
「別に構わないと言ったでしょう。それで、少しでも何か食べたんですか?」
「えーっと……」
目を泳がせながら苦笑するメルダー。ある程度予想は付いていたが、やはり食べていなかったのだろう。ため息をつきつつ、ヴァダースはキッチンに向かった。
仕事終わりに何かメルダーが食べられるものを見つけようと思ったが、生憎とカーサの本部と宿舎があるヴァーナヘイムには、それほど飲食店があるわけではない。またテイクアウトの類もほとんどされていないのだ。
カーサ本部にいるときは本部の食堂で食事をすることがほとんどのため、料理をする必要もない。しかしそこ以外で食事をするとなると大抵、自炊するしかないのだ。
キッチンを見て、一通りの調理器具があることを確認したヴァダース。仕事帰りに購入した食材を調理台の上に置きながら、彼はメルダーに声をかけた。
「そんなことだろうとは思いましたよ。今から作りますから、出来上がるまで休んでいなさい」
「ダクターさんが作ってくれるんですか!?」
「なにかおかしなことでも?」
「いえ、そうじゃなくて。何から何まで悪いなって……」
「私は私が言ったことを嘘にしたくないだけです。それに碌な食事をとらなかったことでまた倒れられたら、それこそ面倒ですから」
いいから休みなさい、改めて釘を刺したヴァダースに対してメルダーは、リビングにいてもいいかと尋ねてきた。どうも休んでいたのはいいのだが、今まで寝すぎてしまっていたために眠くないのだと。そういうことであるなら仕方ない、とヴァダースもそこは妥協した。
「ところで貴方、何か食物アレルギーはありますか?」
「いえ、大丈夫です。俺なんでも食べれますよ!」
「そうですか」
確認が取れたところでヴァダースは長くなった己の髪を一つにまとめてから、調理を開始した。一応まだメルダーは貧血が治っていないと仮定して、その症状が治まるようなものを作る予定だ。
カーサの戦闘員になって食事を自分で作るようになってから数年。最初こそ失敗ばかりしていたが、慣れというものは怖いもので。ここ最近はある程度のものなら作れるようになっていた。まさか自分が、他人に料理を振る舞うことになるとは思ってはいなかった。しかしこんな風に自分の給料で食材を買うなんてことも久し振りだな、なんて思いながら黙々と調理をしていくのであった。
やがて出来上がったものをテーブルに並べる。完成した料理はアサリと豆乳のクリームパスタと、ホウレンソウのソテーだ。出来立てのそれらを目の前に出されたメルダーは、目をキラキラとさせながら感嘆の息を漏らす。
「なんですかこれ!?めっちゃ美味しそうです!」
「見ての通りです。貴方はまだ一応貧血状態だと思ったので、症状を和らげられそうなものを、と。アサリと豆乳には血液に必要な鉄が多く含まれていますし、ホウレンソウには血液を作るうえで必要になる葉酸があるのでね」
「そうなんですか?それは初耳です!食べてもいいですか?」
「どうぞご勝手に」
後片付けを始めたヴァダースだが、料理を一口食べたメルダーの感動の声がこれでもかというくらいに耳に届く。
「めっちゃくちゃ美味しいですよこれ!こんな美味いのはじめて食べました!」
「そうですか、それは結構」
「お世辞とかじゃないですからね?本当に美味しくて感動してるんです!」
「わかりましたから。食事中はもう少し静かにして食べなさい」
「あはは、すみません。でも本当に美味しいです。それに誰かの手料理を食べるなんて初めてですから、感動しちゃって」
メルダーの言葉を適当に受け流しつつ、どうやらいつも通りの彼が戻ってきたようだと、どこか安心感を覚えてしまった。当のメルダーも幸せそうに、だらしのない表情をしながらパスタとソテーを食べ進めていくのであった。
数分後。満たされたと言わんばかりの表情でメルダーが両手を合わせる。目の前には、綺麗に空になった器。
「ごちそうさまでした」
「お粗末さまでした」
「いやぁ本当に美味しかったです。もっと食べたいって思っちゃいましたよ」
ありがとうございます、と感謝の言葉を述べるメルダーに対して、あくまでも同じ立場の人間としてやったまでだと答える。それでも嬉しいのだと、相変わらず屈託のない笑顔で接してくるメルダーである。
何故その笑顔を見ても、以前感じていたような嫌悪感が浮かんでこないのか。一人考えに耽っていると、メルダーの方から尋ねたいことがあると声をかけられる。
「そういえば、ダクターさんってカーサになる前までは貴族だったんですか?」
彼の言葉に意識が現実に引き戻される。闇オークションでの話を、メルダーも聞いていたのだ。もはや隠す道理がなくなってしまった。どこか達観したように、ヴァダースはメルダーの言葉を肯定する。
「ええ。貴方もあの時の話を聞いていたのでしょう?」
「はい。その……言いにくかったら別に構わないんですけど、どうして貴族だったのにカーサに入ったんですか?」
「何故貴方に言う必要が?」
「ダクターさんのことをもっと知りたいからです。以前も同じようなことを聞いて怒られちゃいましたが、それでも俺はやっぱり同じ最高幹部として、ダクターさんのことをもっと知りたいんです」
ぐい、と迫るメルダーに、これは何度追い返しても諦めてはくれないだろうと、どこか納得してしまう自分がいた。どうしてここまで頑固なのかと問いただしたくもなったが、自分が折れるしかないだろうと判断する。
仕方ない、ため息を一つ吐いてからヴァダースは己のこれまでの経緯を話す。右目のこともそうだが、それがきっかけでボスに拾われて今があるのだと。ヴァダースの話を黙って聞いていたメルダーは、彼の話を最後まで聞き終わると一言呟く。
「……やっぱり、ダクターさんって凄いです」
「はい?」
彼の言葉の真意がわからず、どういうことかと尋ねる。その質問に対してメルダーは己に言い聞かせるかのように、言葉を紡いだ。
「だって、全部を失ったと感じてもそこから必死に努力してのし上がって、今の最高幹部の立場にいらっしゃるんですもん。そりゃあ、ぽっと出の俺にいい感情なんて湧くはずもないですよね」
「そうですね。実際、気に食わないのは確かでしたよ」
「ですよねぇ……。それでも俺はダクターさんのことを尊敬してますし、もっと色んなことを教えてもらいたいです。だからこれからも、よろしくお願いします」
そう言ってから、メルダーは頭を下げる。その素直な態度を前に、ヴァダースはそれ以上彼の言葉を無下にはできなかった。出会った当初に自分がメルダーに対して抱いていた嫌悪感の正体に気付き、そのうえでなお自分を慕おうとする姿を見せられては、ある種の敗北を感じざるを得ない。ここまで愚直に言葉をぶつけられるとは。
「まぁ……最近の貴方の働きも、悪くないものにはなってきましたからね。そこは認めましょう」
「本当ですか!?」
「ただし慢心しないことですね。自分の体調管理もできないだなんて、最高幹部として情けないことこの上ありませんし」
「そこは俺も反省してるので許してくださいよ~!」
「なら鉄剤を飲んで今日はもう寝なさい。明日も仕事があるというのに」
さげます、とメルダーの前の空になっている食器を片付けようとするヴァダース。彼の言葉に多少不満があるのか、拗ねたようにわかりましたと返事をするメルダーである。しかし彼もタダで転ぶつもりはないのか、じゃあと言葉を続けた。
「今度ダクターさんが体調不良にでもなったら、おんなじこと俺も言わせてもらいますからね!」
「私は貴方とは違って自分の体調管理はしっかり行っているので、その必要はありませんね」
「そんなのわからないじゃないですかー!」
「それだけ騒げるのなら、もう心配はないでしょう」
やれやれ、と呆れながら片づけをしていくヴァダースだが、内心メルダーの様子に安堵を覚える自分もいた。それに気付いてしまい、ついでに余計なことまで思い出されてしまう。油汚れみたいにしつこく忘れることができない、彼女の言葉。
──嫉妬が転じて、その人のことを好きだって思うこともあるの。
「だから、違うと言っているでしょう!?」
「へっ!?なんですか!?というか、そこまで怒るだなんて思ってなかったんですごめんなさい!!」
「あ……い、いえ。申し訳ありません。貴方には関係のないことですので……」
脳内に潜り込んできたシャサールに対しての言葉だったが、気付かないうちに叫んでしまっていたらしい。メルダーの慌てた様子の謝罪の言葉に、さすがに申し訳なく感じたヴァダースは、素直に謝罪の言葉を述べる。
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