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第三話
第五十六節 未来を切り開く
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ボスの勅命でメルダーが本部を発ってから、今日で7日目が過ぎようとしていた。メルダーの任務は、たかだか襲撃地についての調査だったはず。いつもならば任務が言い渡された翌日には帰投しているはずなのだ。
そうでなくとも、何の音沙汰なしという現状は明らかに異常事態と言わざるを得ない。長期任務であっても、同行した部下を定期報告のために走らせているのに。今回はいまだにその連絡用の部下すら来ていない。
メルダーはもう、自分たちにとってはただの裏切者なのだ。
胸騒ぎの音が耳に煩く木霊する。もう二度と、ここにメルダーが帰ってくることはないのだ。そんな囁きが自分の中で肥大していく。聞きたくない。耳を塞いでもその声はこびり付いて、そのたびにヴァダースの手を止める。
どうしてこんなにも苦しい。自分自身が削られていく感覚に、ヴァダースの精神は日々擦り減っていった。
誰にも聞かれることのない何度目かのため息を吐いた、直後のこと。執務室のドアがノックされる音に、思わず顔を上げた。帰ってきてくれたのだろうか。
「失礼します!ヴァダース様、いらっしゃいますでしょうか!?」
ドアの奥から聞こえてきた声は、求めていた人物とは違う声だった。メルダーが帰投してきたわけではなかった。その事実に落胆しながらも、ヴァダースは最高幹部という仮面を被ってから声の主に対応する。
「どうぞ」
「はっ、失礼いたします!」
ヴァダースの許可を得た部下は恐縮という文字を全身に張り付けたような最敬礼をしながら、報告を上げる。
「申し上げます!メルダー様に同行した人員のうち一名が致命傷を負いつつも帰還いたしました。現在手当てを受けておりますが、すぐにでもご報告を上げたいとのことで自分が使いに参りました!」
「ご苦労様です。帰還した人物はまだ、生きてはいるんですね?」
「ほぼ死にかけでありますが、辛うじてまだ」
「わかりました。では、私自ら向かいましょう。医務室ですね?」
ヴァダースの質問に首を縦に振る部下の案内で、医務室に向かった。
中に入れば、入り口に一番近いベッドで処置を受けていたであろう部下の姿が視界に入る。足は片方が引き千切られ、片腕も二の腕部分から切り落とされている。ギリギリ止血は間に合っているようだが、もうほぼ瀕死の状態だ。
そんな状態であるにも拘らず、部下はヴァダースの姿を見ると顔を上げた。
「……ヴァ、ダースさま……も……申し訳、ございま……せん……」
「余計なことは話さずとも結構です。私に報告したこととは、なんですか?」
「は、い……。率直に申し上げ、ます……。今回の襲撃は世界ほ、ご施設による……ものです。我々の……アジト跡地を、利用……さ、れ……」
部下は何度も吐血しながらも、ヴァダースに例の任務についての報告を上げる。
彼が言うには、今回も含めて今までの襲撃はやはり、世界保護施設によるものだったとのこと。カーサが西のアジトを廃棄処分にした後、いつの間にか彼らがその地下に拠点を構え、密かに実験場にしていたそうだ。
ボスの命を行け襲撃地点に向かったメルダーはそのことを知ると、同行させていた部下の一人を本部に使わそうとした。しかし突如として、巨大な白い化け物による急襲を受けることになったのだ、と。
「メルダー、さまは……自分、を向かわせ、るため……の、こって……この、事実を……必ずヴァダースさまに、おつ……た……え……」
最後の気力を絞り切ったのだろう。その言葉を最後に部下はその場で息を引き取った。沈黙が包み込む医務室の中、見開かれたままだった目を閉ざす。
「報告、ご苦労様でした」
弔いの一言だけ投げかけてから、ヴァダースはすぐに思考を切り替える。
またしてもあの時と同じ状況。間違いない、今回の目的は陽動ではなく、誘い水になり目的の人物を呼び出すことだ。お誂えに西のアジト跡地に白い化け物とは、やってくれる。
「ヴァダース様……」
ここにいる部下たちは、あの時の事件を経験していない。未曾有の事態だと思っているのだろう、不安を声にも張り付けている。
「落ち着きなさい。まずは現状を四天王に伝えねばなりません。今アジトにいる四天王は誰ですか?」
「それが……どうやら皆様出払っているようでして……」
おずおず、といった様子で別の部下が答える。こんな時に限って全員だなんて、なんとタイミングの悪い──。
人知れず舌打ちして、さてどうするかと策を練ろうとしたとき。まるで待ち構えていたかのように医務室の扉が開かれ、ローゲが姿を現す。彼を見たヴァダース含む全員が最敬礼する。
「どうやら、非常事態のようだな」
「……ええ。メルダー・ラフィネ最高幹部の身に、何かあったのでしょう。部下の報告によると、今回のも含め、これまでの襲撃やはり世界保護施設によるものです」
「そうか。ならば話は早い。西のアジト跡地にはお前が行け、ダクター。お前ならあの場所に関しての土地勘もあろう」
いつも目深に被っているフードの奥から、突き刺すような冷たい眼光が向けられる。触れるだけで切り裂かれそうなまでに殺気に満ち満ちたローゲの視線を前に、ヴァダースは大人しく従うしかなかった。
「……、謹んで拝命します」
「現時刻よりこの事態を緊急事態と暫定する。残りの人員は即座に防御陣形を展開、アジト本部防衛に努めろ。指揮は私自らが取る」
「了解!」
それから部下たちは蜘蛛の子を散らすように動き始めた。やがて無人となった医務室で、ローゲが言葉をかける。
「最良の報告を待っているぞ」
それだけ伝えると、部下たちへ指示を出すためローゲは医務室を後にした。
血が滲んでしまうほど強く下唇を噛む。己のあまりの情けなさに怒りがこみ上げた。どうしてこんなことになる前に、事態を止められなかった。
──大丈夫ですよヴァダースさん。すぐ戻ってきますので!
数日前のメルダーの笑顔が、いやに頭に浮かぶ。
約束、していたのに。
「……うそつき……」
誰に聞かれるでもない恨み言を吐いてから、ヴァダースは逃げるように医務室を出た。執務室に戻り任務用のコートを羽織った彼は、そのまま西のアジト跡地に向かった。
******
襲撃地となった西のアジト跡地付近。空間転移の鉱石で空間転送してきたヴァダースが最初に目にしたのは、辺り一帯を包み込む炎の海だった。
襲撃はまだ終息していないのか。とにかく現状を確認するため、ヴァダースはかつての拠点でもあった、西のアジトがあった方角へと向かった。
かつての西のアジトに近付くにつれて、ヴァダースの記憶の中の傷がじくじくと警鐘を鳴らす。遠目からでも、その姿が見えたからだ。かつては退けるのもやっとだった、あの白い化け物たちの姿が。
狼のような口に生えている魔物の牙、白い皮で覆われた巨大な体躯、太ましい手足、その顔の部分には目のない、あの生命体。西のアジトの跡地とその生命体が重なれば、否が応でも過去の襲撃が思い出される。
「ふざけた真似をっ……!」
だがあの時とは違う。自分はもう、ただ蹂躙されるだけの存在ではなくなった。幸いまだ白い化け物たちは、ヴァダースの存在に気付いていない様子。ちょうどいい。どうにもこうにも、八つ当たりがしたい気分なのだ。
藍色のダガーを取り出したヴァダースは、彼らの死角となる場所からそれを投擲。
ダガーたちは邪魔されることなく美しい軌道を描きながら、対象である魔物に命中した。藍色のダガーの能力は、ここからが真骨頂。
「"夜の訪れを知らすは死に導く交響曲"」
ぽつり、告げた後。投擲したダガーに含まれている仕掛けを発動させた。
藍色のダガーにはあらかじめ、ヴァダースのマナが込められている。術を発動してしまえばダガーが詠唱に反応し、内包しているマナを爆発させる仕組みになっている。
命中した相手を強制的に爆弾に変化させてしまえるのだ。弾けたマナは対象の相手の肉体で拡散し、肉体を内側から切り裂いていく。文字通り、当たれば死ぬ絶対的な術。
突然の攻撃に、白い化け物たちは不意を突かれる。内側から切り刻まれる感覚に鳴き声を上げようとする。待っていたのはその瞬間。
「"空間支配するは風の使い"ッ!」
行使したのはドーム型の防御魔術。相手の攻撃を防ぐための術だが、ヴァダースはその術で白い化け物たちのみを折檻するために発動させる。
バリアが張られた直後、痛みに悶えた白い化け物たちが泣き喚いた。
あの当時は、彼らの鳴き声による重力波で身動きが出来なかった。
もしあの時、今のように機転がきけば。そうすれば大切な仲間を、シューラを失わずには──。
「……いや、もう過ぎたことですね」
たらればを言ったところで、過去を変えることはできない。わかっている。
だが、理解することと納得することは、違うのだ。
術を発動させるために掲げた手に力を籠める。いくら喚こうとも、ドーム型のバリアにはヒビ一つ入らない。白い化け物たちは閉じ込められた檻の中で、痛みに悶える自らの鳴き声が発生させる重力波に、為す術もなく押し潰されていく。
最終的に、重力に耐えきれなくなった頭部の部分がひしゃげたことで、彼らの生命活動は幕を閉じたのであった。
そうでなくとも、何の音沙汰なしという現状は明らかに異常事態と言わざるを得ない。長期任務であっても、同行した部下を定期報告のために走らせているのに。今回はいまだにその連絡用の部下すら来ていない。
メルダーはもう、自分たちにとってはただの裏切者なのだ。
胸騒ぎの音が耳に煩く木霊する。もう二度と、ここにメルダーが帰ってくることはないのだ。そんな囁きが自分の中で肥大していく。聞きたくない。耳を塞いでもその声はこびり付いて、そのたびにヴァダースの手を止める。
どうしてこんなにも苦しい。自分自身が削られていく感覚に、ヴァダースの精神は日々擦り減っていった。
誰にも聞かれることのない何度目かのため息を吐いた、直後のこと。執務室のドアがノックされる音に、思わず顔を上げた。帰ってきてくれたのだろうか。
「失礼します!ヴァダース様、いらっしゃいますでしょうか!?」
ドアの奥から聞こえてきた声は、求めていた人物とは違う声だった。メルダーが帰投してきたわけではなかった。その事実に落胆しながらも、ヴァダースは最高幹部という仮面を被ってから声の主に対応する。
「どうぞ」
「はっ、失礼いたします!」
ヴァダースの許可を得た部下は恐縮という文字を全身に張り付けたような最敬礼をしながら、報告を上げる。
「申し上げます!メルダー様に同行した人員のうち一名が致命傷を負いつつも帰還いたしました。現在手当てを受けておりますが、すぐにでもご報告を上げたいとのことで自分が使いに参りました!」
「ご苦労様です。帰還した人物はまだ、生きてはいるんですね?」
「ほぼ死にかけでありますが、辛うじてまだ」
「わかりました。では、私自ら向かいましょう。医務室ですね?」
ヴァダースの質問に首を縦に振る部下の案内で、医務室に向かった。
中に入れば、入り口に一番近いベッドで処置を受けていたであろう部下の姿が視界に入る。足は片方が引き千切られ、片腕も二の腕部分から切り落とされている。ギリギリ止血は間に合っているようだが、もうほぼ瀕死の状態だ。
そんな状態であるにも拘らず、部下はヴァダースの姿を見ると顔を上げた。
「……ヴァ、ダースさま……も……申し訳、ございま……せん……」
「余計なことは話さずとも結構です。私に報告したこととは、なんですか?」
「は、い……。率直に申し上げ、ます……。今回の襲撃は世界ほ、ご施設による……ものです。我々の……アジト跡地を、利用……さ、れ……」
部下は何度も吐血しながらも、ヴァダースに例の任務についての報告を上げる。
彼が言うには、今回も含めて今までの襲撃はやはり、世界保護施設によるものだったとのこと。カーサが西のアジトを廃棄処分にした後、いつの間にか彼らがその地下に拠点を構え、密かに実験場にしていたそうだ。
ボスの命を行け襲撃地点に向かったメルダーはそのことを知ると、同行させていた部下の一人を本部に使わそうとした。しかし突如として、巨大な白い化け物による急襲を受けることになったのだ、と。
「メルダー、さまは……自分、を向かわせ、るため……の、こって……この、事実を……必ずヴァダースさまに、おつ……た……え……」
最後の気力を絞り切ったのだろう。その言葉を最後に部下はその場で息を引き取った。沈黙が包み込む医務室の中、見開かれたままだった目を閉ざす。
「報告、ご苦労様でした」
弔いの一言だけ投げかけてから、ヴァダースはすぐに思考を切り替える。
またしてもあの時と同じ状況。間違いない、今回の目的は陽動ではなく、誘い水になり目的の人物を呼び出すことだ。お誂えに西のアジト跡地に白い化け物とは、やってくれる。
「ヴァダース様……」
ここにいる部下たちは、あの時の事件を経験していない。未曾有の事態だと思っているのだろう、不安を声にも張り付けている。
「落ち着きなさい。まずは現状を四天王に伝えねばなりません。今アジトにいる四天王は誰ですか?」
「それが……どうやら皆様出払っているようでして……」
おずおず、といった様子で別の部下が答える。こんな時に限って全員だなんて、なんとタイミングの悪い──。
人知れず舌打ちして、さてどうするかと策を練ろうとしたとき。まるで待ち構えていたかのように医務室の扉が開かれ、ローゲが姿を現す。彼を見たヴァダース含む全員が最敬礼する。
「どうやら、非常事態のようだな」
「……ええ。メルダー・ラフィネ最高幹部の身に、何かあったのでしょう。部下の報告によると、今回のも含め、これまでの襲撃やはり世界保護施設によるものです」
「そうか。ならば話は早い。西のアジト跡地にはお前が行け、ダクター。お前ならあの場所に関しての土地勘もあろう」
いつも目深に被っているフードの奥から、突き刺すような冷たい眼光が向けられる。触れるだけで切り裂かれそうなまでに殺気に満ち満ちたローゲの視線を前に、ヴァダースは大人しく従うしかなかった。
「……、謹んで拝命します」
「現時刻よりこの事態を緊急事態と暫定する。残りの人員は即座に防御陣形を展開、アジト本部防衛に努めろ。指揮は私自らが取る」
「了解!」
それから部下たちは蜘蛛の子を散らすように動き始めた。やがて無人となった医務室で、ローゲが言葉をかける。
「最良の報告を待っているぞ」
それだけ伝えると、部下たちへ指示を出すためローゲは医務室を後にした。
血が滲んでしまうほど強く下唇を噛む。己のあまりの情けなさに怒りがこみ上げた。どうしてこんなことになる前に、事態を止められなかった。
──大丈夫ですよヴァダースさん。すぐ戻ってきますので!
数日前のメルダーの笑顔が、いやに頭に浮かぶ。
約束、していたのに。
「……うそつき……」
誰に聞かれるでもない恨み言を吐いてから、ヴァダースは逃げるように医務室を出た。執務室に戻り任務用のコートを羽織った彼は、そのまま西のアジト跡地に向かった。
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襲撃地となった西のアジト跡地付近。空間転移の鉱石で空間転送してきたヴァダースが最初に目にしたのは、辺り一帯を包み込む炎の海だった。
襲撃はまだ終息していないのか。とにかく現状を確認するため、ヴァダースはかつての拠点でもあった、西のアジトがあった方角へと向かった。
かつての西のアジトに近付くにつれて、ヴァダースの記憶の中の傷がじくじくと警鐘を鳴らす。遠目からでも、その姿が見えたからだ。かつては退けるのもやっとだった、あの白い化け物たちの姿が。
狼のような口に生えている魔物の牙、白い皮で覆われた巨大な体躯、太ましい手足、その顔の部分には目のない、あの生命体。西のアジトの跡地とその生命体が重なれば、否が応でも過去の襲撃が思い出される。
「ふざけた真似をっ……!」
だがあの時とは違う。自分はもう、ただ蹂躙されるだけの存在ではなくなった。幸いまだ白い化け物たちは、ヴァダースの存在に気付いていない様子。ちょうどいい。どうにもこうにも、八つ当たりがしたい気分なのだ。
藍色のダガーを取り出したヴァダースは、彼らの死角となる場所からそれを投擲。
ダガーたちは邪魔されることなく美しい軌道を描きながら、対象である魔物に命中した。藍色のダガーの能力は、ここからが真骨頂。
「"夜の訪れを知らすは死に導く交響曲"」
ぽつり、告げた後。投擲したダガーに含まれている仕掛けを発動させた。
藍色のダガーにはあらかじめ、ヴァダースのマナが込められている。術を発動してしまえばダガーが詠唱に反応し、内包しているマナを爆発させる仕組みになっている。
命中した相手を強制的に爆弾に変化させてしまえるのだ。弾けたマナは対象の相手の肉体で拡散し、肉体を内側から切り裂いていく。文字通り、当たれば死ぬ絶対的な術。
突然の攻撃に、白い化け物たちは不意を突かれる。内側から切り刻まれる感覚に鳴き声を上げようとする。待っていたのはその瞬間。
「"空間支配するは風の使い"ッ!」
行使したのはドーム型の防御魔術。相手の攻撃を防ぐための術だが、ヴァダースはその術で白い化け物たちのみを折檻するために発動させる。
バリアが張られた直後、痛みに悶えた白い化け物たちが泣き喚いた。
あの当時は、彼らの鳴き声による重力波で身動きが出来なかった。
もしあの時、今のように機転がきけば。そうすれば大切な仲間を、シューラを失わずには──。
「……いや、もう過ぎたことですね」
たらればを言ったところで、過去を変えることはできない。わかっている。
だが、理解することと納得することは、違うのだ。
術を発動させるために掲げた手に力を籠める。いくら喚こうとも、ドーム型のバリアにはヒビ一つ入らない。白い化け物たちは閉じ込められた檻の中で、痛みに悶える自らの鳴き声が発生させる重力波に、為す術もなく押し潰されていく。
最終的に、重力に耐えきれなくなった頭部の部分がひしゃげたことで、彼らの生命活動は幕を閉じたのであった。
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