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最早、混乱が混乱を呼び、……要するに、混乱が混乱なのである!
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ささやかに流れ始めた劇音楽にアンバーは我に帰った。
何故か、目の前で至高の演劇が上演されようとしている。不思議なことに、自らの手にはしっかりとオペラグラスが握られていた。見慣れてしまった一等席にアンバーはいた。後ろにしっかりと侍るジェミーの姿もある。
「やっとお気づきになられましたね」
ふう、とため息をついたジェミーは、温かい飲み物をアンバーに渡した。敢えて、であろう。やや渋めに淹れられた紅茶はアンバーの身体にすっきりと馴染んだ。
「昨日お帰りになってから、ぼやぼやと心ここに在らずでございました。お嬢様がご希望かと思いまして、本日もこちらにお連れいたしましたが、本日は中座いたしましょうか」
流石デキる侍女、ジェミーである。
どうやら昨日のクリオラシュとの、語・ら・い・以降アンバーは放心していたらしい。屋敷に帰り、眠りにつき、起床し、そしてこの劇場に至るまで心ここに在らずであったと。その間ジェミーは食事介助、衣類の着脱介助、入浴介助全てを担当してくれたのだ。
アンバーは目の前の侍女に猛烈にハグしたい気持ちを抑え、しばし逡巡した。
シンキングテーマは勿論、このところ彼女の頭を悩ますとある小デブ事情についてである。最早、混乱が混乱を呼び、……要するに、混乱が混乱なのである!既にこの事態を一人で解決することは困難であるとアンバーは判断した。
出来ることなら、本案件とは関係のない第三者の意見を聞いて頭を整理したかった。こちらは、身も心も翻弄され、非常に歯がゆい思いをしているのだ。そして、ジェミーなら嫌悪せず、憤慨せず、アンバーに寄り添って話を聞いてくれるかも、と考えてしまう。ウダウダと考えたのち、彼女はやっと心を決め、侍女に視線を走らせる。
「……ジェミー。あの、……」
普段の彼女を知る者なら、目を見張るような小さく自信のない声で、アンバーは口を開き、
「……なんてこと!
本日もヒロインが可愛いらしい!!」
舞台袖から優雅に流れ出てきた女性俳優に目を見張った。
先程まで非常に深刻な表情で何かを口にしようとしていた主人の素早い転向に、ジェミーは嘆息した。
しかし、好きなものへ向けるキラキラした主人の顔を眺めて、まあいいか、と思ったのであった。
ここで、少しだけアンバーの混乱を紐解いてみよう。
アンバーがあそこまで放心してしまった理由。それは、前日の語らいの中でじっくりと翻弄され、焦らされ、決定打をもらえなかったことに尽きる。
うずうず、そわそわ、どこか物足りず、かといってそんなことは屋敷の誰にも言えない。水を飲もうとすれば、何故かクリオラシュの手つきや指つきが浮かび、着替えようとすれば、クリオラシュの舌つきが頭に浮かんだ。
全く我慢ならないことに、小・デ・ブ・襲・来・は睡眠時まで及んだ。夢の中でも姿を表した小デブにアンバーは今度こそぶん殴ってやろうと拳を固めた。しかし、それは敵わなかった。今だ、と思ったその瞬間に、目覚めてしまったためだ。
結果として、デキる侍女ジェミーに伝え忘れたことがいくつもある。
公演前に小デブ案件について、相談しようとしたこと。
……いや、それよりも、一番伝えるべきことがありましたのに!!
アンバーが一番伝えたかったこと。それは、公演の三十分後のアレコレである。意識が飛んでしまうからその間は一切話しかけず見守ってほしい、もしくはそのまま馬車まで誘ってほしい。繰り返すがアンバーが一番に伝えるべきことであった。
そして、それは叶わなかった。
今回も生返事により、控室まで歩行介助されたアンバーは非常に後悔している。
どうやら、デキる侍女はクリオラシュとアンバーが非常に仲が良いと勘違いしているようだ。その侍女は勘違いをしたまま、部屋を辞していった。
目の前でニコニコするクリオラシュを眺めたアンバーは、これから葬式でも始めるかのように萎れた声でご挨拶した。
「ヘイザム様、……あの、今日の公演も素晴らしく、」
「ア・ン・バ・ー・、今日も来てくれたんだね。嬉しい」
ゾクゾクゾクゥ♡
ななななな、なんですの!?アンバーは自らの胸の高まり及び、背筋に走った衝撃に、思わず胸を押さえた。
手に伝わる鼓動は跳ね上がり、ゾワゾワとした感覚が体全体を襲う。
「!?!?!?」
毎度おなじみ大混乱に陥ったアンバーの両手をクリオラシュがそうっと握り、これまたお馴染みのカウチソファに案内する。
ーー何!?なぜ敬称をつけないの!?なぜこんなに気安いの!?もしかして、昨日話していた演劇ごっこをしているの!?どういうことですの!?
動揺したアンバーは、されるがままカウチソファに誘われる。クリオラシュの態度も驚きだったが、一番の衝撃はアンバー自身が、その態度に全く嫌悪感を感じなかったことにある。
クリオラシュはアンバーをソファに腰掛けさると、自分も隣に座り、俯いてしまったアンバーの顔を覗き込む。
耳まで真っ赤にしたアンバーはきゅうっと唇を噛み締めて自らの足元を見つめていた。
「昨日は別れてから、とっても寂しかった。アンバーに会いたくてたまらなかったんだ」
クリオラシュは柔らかく目を細めて、アンバーに声をかける。
そ、と頭を撫でられる。髪の毛をすくわれ、そっと口付けられた。
「今日も来てくれてありがとう。アンバーに会えてとっても嬉しい」
ぷよぷよのお腹も、ぱっちりお目目ではない糸目も。明らかにアンバーのタイプではない。
だが。そうなのだが。
今は、なぜか、クリオラシュを小デブ、とは表現し難くなっていた。確かに小デブである彼の、しかし、仕事に真面目に取り組み、
……いや違う!そんなわけない!あるわけない!
多分昨日お預けされたのがガン効きなだけである!
断じて!……断じて!!
この小デブが、かっこいいなどと!
敬称無しで呼ばれることが、嬉しいと思ってしまうなど!
「アンバー、今日はダンマリさんだね。どうしたの?」
あなたの隣にいると動悸がするんですの。
残念ながら本格的な小デブアレルギーかと思われますわ!
そう一言で言い切れて仕舞えばどれだけ楽だろう。
しかしそんなアレルギーなど聞いたことがない。もしかして私が初の発症者かしら!?などと吹っ飛んでいく思考に、会話そっちのけでアンバーは再度首を振った。
今や耳まで真っ赤に染まりきって黙り込むアンバーをクリオラシュは静かに見守った。十中八九、昨日のおあずけが効いていると見たが、恥じらっているのだろう顔は、どこか苦悶に歪んでいるようにも見えなくない。
苦悶、ーー確かに。アンバーには苦痛かもしれないな、とクリオラシュはわずかに頷く。
こんな男に翻弄されているのだ。
この姿の見た目が良くないことは重々承知している。でもしょうがないではないか。今更この見た目は変えようがない。
それにしても、この逢瀬がここまで続くとは思っていなかった、とクリオラシュも過去を思い返す。
彼女はいつだって大声をあげ、あの目つきの鋭い侍女を呼ぶことができるはずなのに。
きっと、クリオラシュのことを考えてそれを耐えているのだ。
彼女のお許しの元にこの不埒で、そして何処かぎこちない逢瀬が続いているのだ。
彼女がこの控え室のドアを叩いてくれなければ、クリオラシュ自ら会いにいくことすら叶わない、そんな関係。
ーー不毛かな
クリオラシュの口から小さく息がこぼれた。私・は・
アンバーの機嫌一つで消えてしまう儚い関係。
そしてアンバーにとって不本意であろうこの関係。
でも。
でも、私・は、
彼の思考は続かなかった。
しゅる、という布擦れの音が聞こえ、膝の上に柔らかな重みが乗り上げてきたからである。
「…!」
アンバー・マーコットは非常に不本意ながらも、考えをまとめた。そして、自・ら・の・欲・を・優・先・し・、相手の男に口付けた。
「……っ、ありがとうございます。私の女神。本当に信じられない!」
感傷に沈んでいたクリオラシュ・ヘイザムは、胸の底から湧き上がった信じられないほどの歓喜を持って、それを受け入れる。
「……私は、なんて幸せ者なんだ!」
わずかにその声が震えていたことに、アンバーが気づくことはなかった。
何故か、目の前で至高の演劇が上演されようとしている。不思議なことに、自らの手にはしっかりとオペラグラスが握られていた。見慣れてしまった一等席にアンバーはいた。後ろにしっかりと侍るジェミーの姿もある。
「やっとお気づきになられましたね」
ふう、とため息をついたジェミーは、温かい飲み物をアンバーに渡した。敢えて、であろう。やや渋めに淹れられた紅茶はアンバーの身体にすっきりと馴染んだ。
「昨日お帰りになってから、ぼやぼやと心ここに在らずでございました。お嬢様がご希望かと思いまして、本日もこちらにお連れいたしましたが、本日は中座いたしましょうか」
流石デキる侍女、ジェミーである。
どうやら昨日のクリオラシュとの、語・ら・い・以降アンバーは放心していたらしい。屋敷に帰り、眠りにつき、起床し、そしてこの劇場に至るまで心ここに在らずであったと。その間ジェミーは食事介助、衣類の着脱介助、入浴介助全てを担当してくれたのだ。
アンバーは目の前の侍女に猛烈にハグしたい気持ちを抑え、しばし逡巡した。
シンキングテーマは勿論、このところ彼女の頭を悩ますとある小デブ事情についてである。最早、混乱が混乱を呼び、……要するに、混乱が混乱なのである!既にこの事態を一人で解決することは困難であるとアンバーは判断した。
出来ることなら、本案件とは関係のない第三者の意見を聞いて頭を整理したかった。こちらは、身も心も翻弄され、非常に歯がゆい思いをしているのだ。そして、ジェミーなら嫌悪せず、憤慨せず、アンバーに寄り添って話を聞いてくれるかも、と考えてしまう。ウダウダと考えたのち、彼女はやっと心を決め、侍女に視線を走らせる。
「……ジェミー。あの、……」
普段の彼女を知る者なら、目を見張るような小さく自信のない声で、アンバーは口を開き、
「……なんてこと!
本日もヒロインが可愛いらしい!!」
舞台袖から優雅に流れ出てきた女性俳優に目を見張った。
先程まで非常に深刻な表情で何かを口にしようとしていた主人の素早い転向に、ジェミーは嘆息した。
しかし、好きなものへ向けるキラキラした主人の顔を眺めて、まあいいか、と思ったのであった。
ここで、少しだけアンバーの混乱を紐解いてみよう。
アンバーがあそこまで放心してしまった理由。それは、前日の語らいの中でじっくりと翻弄され、焦らされ、決定打をもらえなかったことに尽きる。
うずうず、そわそわ、どこか物足りず、かといってそんなことは屋敷の誰にも言えない。水を飲もうとすれば、何故かクリオラシュの手つきや指つきが浮かび、着替えようとすれば、クリオラシュの舌つきが頭に浮かんだ。
全く我慢ならないことに、小・デ・ブ・襲・来・は睡眠時まで及んだ。夢の中でも姿を表した小デブにアンバーは今度こそぶん殴ってやろうと拳を固めた。しかし、それは敵わなかった。今だ、と思ったその瞬間に、目覚めてしまったためだ。
結果として、デキる侍女ジェミーに伝え忘れたことがいくつもある。
公演前に小デブ案件について、相談しようとしたこと。
……いや、それよりも、一番伝えるべきことがありましたのに!!
アンバーが一番伝えたかったこと。それは、公演の三十分後のアレコレである。意識が飛んでしまうからその間は一切話しかけず見守ってほしい、もしくはそのまま馬車まで誘ってほしい。繰り返すがアンバーが一番に伝えるべきことであった。
そして、それは叶わなかった。
今回も生返事により、控室まで歩行介助されたアンバーは非常に後悔している。
どうやら、デキる侍女はクリオラシュとアンバーが非常に仲が良いと勘違いしているようだ。その侍女は勘違いをしたまま、部屋を辞していった。
目の前でニコニコするクリオラシュを眺めたアンバーは、これから葬式でも始めるかのように萎れた声でご挨拶した。
「ヘイザム様、……あの、今日の公演も素晴らしく、」
「ア・ン・バ・ー・、今日も来てくれたんだね。嬉しい」
ゾクゾクゾクゥ♡
ななななな、なんですの!?アンバーは自らの胸の高まり及び、背筋に走った衝撃に、思わず胸を押さえた。
手に伝わる鼓動は跳ね上がり、ゾワゾワとした感覚が体全体を襲う。
「!?!?!?」
毎度おなじみ大混乱に陥ったアンバーの両手をクリオラシュがそうっと握り、これまたお馴染みのカウチソファに案内する。
ーー何!?なぜ敬称をつけないの!?なぜこんなに気安いの!?もしかして、昨日話していた演劇ごっこをしているの!?どういうことですの!?
動揺したアンバーは、されるがままカウチソファに誘われる。クリオラシュの態度も驚きだったが、一番の衝撃はアンバー自身が、その態度に全く嫌悪感を感じなかったことにある。
クリオラシュはアンバーをソファに腰掛けさると、自分も隣に座り、俯いてしまったアンバーの顔を覗き込む。
耳まで真っ赤にしたアンバーはきゅうっと唇を噛み締めて自らの足元を見つめていた。
「昨日は別れてから、とっても寂しかった。アンバーに会いたくてたまらなかったんだ」
クリオラシュは柔らかく目を細めて、アンバーに声をかける。
そ、と頭を撫でられる。髪の毛をすくわれ、そっと口付けられた。
「今日も来てくれてありがとう。アンバーに会えてとっても嬉しい」
ぷよぷよのお腹も、ぱっちりお目目ではない糸目も。明らかにアンバーのタイプではない。
だが。そうなのだが。
今は、なぜか、クリオラシュを小デブ、とは表現し難くなっていた。確かに小デブである彼の、しかし、仕事に真面目に取り組み、
……いや違う!そんなわけない!あるわけない!
多分昨日お預けされたのがガン効きなだけである!
断じて!……断じて!!
この小デブが、かっこいいなどと!
敬称無しで呼ばれることが、嬉しいと思ってしまうなど!
「アンバー、今日はダンマリさんだね。どうしたの?」
あなたの隣にいると動悸がするんですの。
残念ながら本格的な小デブアレルギーかと思われますわ!
そう一言で言い切れて仕舞えばどれだけ楽だろう。
しかしそんなアレルギーなど聞いたことがない。もしかして私が初の発症者かしら!?などと吹っ飛んでいく思考に、会話そっちのけでアンバーは再度首を振った。
今や耳まで真っ赤に染まりきって黙り込むアンバーをクリオラシュは静かに見守った。十中八九、昨日のおあずけが効いていると見たが、恥じらっているのだろう顔は、どこか苦悶に歪んでいるようにも見えなくない。
苦悶、ーー確かに。アンバーには苦痛かもしれないな、とクリオラシュはわずかに頷く。
こんな男に翻弄されているのだ。
この姿の見た目が良くないことは重々承知している。でもしょうがないではないか。今更この見た目は変えようがない。
それにしても、この逢瀬がここまで続くとは思っていなかった、とクリオラシュも過去を思い返す。
彼女はいつだって大声をあげ、あの目つきの鋭い侍女を呼ぶことができるはずなのに。
きっと、クリオラシュのことを考えてそれを耐えているのだ。
彼女のお許しの元にこの不埒で、そして何処かぎこちない逢瀬が続いているのだ。
彼女がこの控え室のドアを叩いてくれなければ、クリオラシュ自ら会いにいくことすら叶わない、そんな関係。
ーー不毛かな
クリオラシュの口から小さく息がこぼれた。私・は・
アンバーの機嫌一つで消えてしまう儚い関係。
そしてアンバーにとって不本意であろうこの関係。
でも。
でも、私・は、
彼の思考は続かなかった。
しゅる、という布擦れの音が聞こえ、膝の上に柔らかな重みが乗り上げてきたからである。
「…!」
アンバー・マーコットは非常に不本意ながらも、考えをまとめた。そして、自・ら・の・欲・を・優・先・し・、相手の男に口付けた。
「……っ、ありがとうございます。私の女神。本当に信じられない!」
感傷に沈んでいたクリオラシュ・ヘイザムは、胸の底から湧き上がった信じられないほどの歓喜を持って、それを受け入れる。
「……私は、なんて幸せ者なんだ!」
わずかにその声が震えていたことに、アンバーが気づくことはなかった。
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