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第一章
1‐2 黒魔術師になる為
しおりを挟む【前回のあらすじ】
「お前のなりたいものを聞きたい。もう七歳だろう。学園に入り、なりたいものーー職に向けて勉学に励むんだ」
「俺は‥‥‥」
俺が考えていた願い。それは俺のなりたい職。それは───。
「黒魔術師になりたい」
この異世界に来てから様々なことを学んだ。ここはインシュピタールという世界で、俺が住んでいる所はベアニ大陸のギアル国アルカ街。
今日から勉強三昧なのかあ‥‥?
◆◇◆◇◆◇◆◇
「黒魔術師‥‥だと!?」
バンッと机を叩きこちらに憎悪の目を向ける。その目は怒りに満ちていた。そう。黒魔術師はこの世界では異端だと言われているのだ。
父さんは自分の聖騎士団に入る事や剣士。そして光魔術師等の職につき、領主を次ぐと思っていたのだろう。表情で考えが筒抜けだ。
だが俺は違う。黒魔術師というのは簡単に言えば黒、闇や呪術(黒魔法と呼ばれているらしい)を得意とする攻撃力に長けた職業。
反対に光魔術師は回復に長けた聖なる存在。教会や父さんが所属している聖騎士団から見れば光の神「ファフェア」の使いと言われている。
黒魔術師はこのギアルでは闇の神「ファーデス」の使い、悪魔のような呪われし存在に扱われているのだ。
俺は前世のゲームの知識などでステータスって知ってるし、ここで色々学んだ結果同じようなものであることが分かった。
俺から見ると黒魔術師は攻撃力が高くHPも高く魔力も高い素晴らしい職業。黒魔法は攻撃力が高いので敵をすぐ倒せる。
弱点は防御力が低いことだが、持ち前のスピードを使えばなんてことない。
光魔術師や魔術師も考えたが、光魔術師は文字通り回復に長けている。逆に言えばそれしかできない。
攻撃役ではないという事だ。サポート役員はパーティーやギルドなど仲間と一緒であれば役にたつが一人で敵を倒す場合、攻撃をくらっては回復、攻撃をくらっては回復の繰り返しになる。そして攻撃ができずじまいで結局死ぬ。
単なる魔術師は普通すぎる。攻撃力にも長けてなく回復にも長けていない。魔力も普通。よく言えばバランスがいい。
だが黒魔術師に劣る。俺は効率を求める方だ。後、仲間と一緒に敵を倒すより一人で倒すほうが早い。仲間が自分より劣っていた場合、足手まといになるだけだ。
黒魔術師は一人でするのにはすごく向いていた。正直闇の神がどうとかこうとかは興味がない。この世界がどうとか呪われているとか。
俺は光魔術師を神の使いとかいって崇めたたえるのがおかしいと思うがね。まっ。俺には呪いとか関係ない。一つの職を選んだだけだ。
「駄目ですか?父さん」
俺は正直に疑問を口にする。黒魔術師はいいと思うんだけどなあ。父さんは分かっていない。光の神だけに目を向け過ぎている。
もっと視野を広げてもいいだろうに。
「っ‥‥‥」
数秒間の沈黙が流れる。まあ、誰でも自分の息子が異端と呼ばれる存在になりたいと急に言われるとビックリするだろうしな。
「駄目だ。そんな異端者にお前をさせるつもりは微塵もない!」
「聞いてください!黒魔術師は攻撃力も高く魔力も高い。それは異端と呼ばれる存在には惜しいくらいに!俺は階級なんて気にせずに自由に職につきたいんだよ!」
興奮したせいか大きな声で父さんに黒魔術師の利点を叫んだ。父さんは最後の言葉に心を打たれたのか、下を向き考えはじめた。
三十分は経ったのではと考えるくらい長かった様な気がする。そしてやっと父さんは重い口を開いた。
「いいだろう。ただし地下で暮らし、8歳になればお前は出ていけ。お前みたいな大事な跡取り息子をなくすとは大変悲しい事だ」
父さんは心から悲しんでいるのか、手で涙をふいていた。俺が目を見た時は少し赤く晴れていた。
でも案外あっさりだな? 父さんが次にどう行動するか考えたが、この条件も悪くはない。というより、地下なんてあったのか。知らなかった。
そこに監禁しようというのなら牢獄みたいな所なのだろうか。まあ、三回の食事に一年住まわせてもらえるのだからいいほうだろうな。
その後俺はメイド達に連れられて地下に行った。母さんは「何故この子がそんな事を」と言いながら泣いて喚いていて、罪悪感に襲われたが仕方が無いことだろう。
父さんは母さんを抱きながら俺を睨みっぱなしだった。
俺が翔のときの父親は俺を厳しく指導した。お坊さんではないけど、そんな感じのお偉いさんだったと思う。
「お前はここを継ぐのだから、頭が良くなければならない!もっと勉強するのだ!」ってスパルタ教師のように言われてきた。
俺が悪い点を取った時(悪いと言っても九十点位)は俺を睨み、個室に閉じ込めてずっと勉強させられたのだ。時には殴られた時もあった。
父さんのこちらを見ていたその目は父親と全く同じだ。まあ、今回の場合は俺が原因を作ったんだけどな。
◆◇◆◇◆◇◆◇
地下は大量の本が置いてある。その本の数は俺の家の大図書館に負けず劣らずに多い。木造の机と椅子もあり、勉強には困らない感じだ。
ベットは少々硬いが贅沢など言っていられないだろう。布団は多少暖かいし、それでチャラだ。少しジメッとしているが悪くないな。
ランプもあるし、明かりにも困らない。結構地下は広く、走り回ったり魔法を練習しても問題ないくらいだ。地下も案外悪くないものだな。
メイド達は俺を連れてきたあとは衣食類を置いて出て行った。多分今は夜位だろう。本来なら誕生会があった時間だ。
地下で誕生会も悪くないね。プレゼントがないのが悲しいけど‥‥って!子供じゃないんだから無くてもいいだろ。
自分で自分に問いかける。中身が子供化しているのは大きな誤算だ。これで余計な子供心が出ないといいが。
「まっ。本でも見るか」
本棚を見上げる。その高さは俺の身長百三十二cmをゆうにこす。本棚の高さは大体目測で三m位か?向こうに梯子があるのは高いところにある本を取るためだろう。
梯子を取りに行くのは面倒くさいので手が届く範囲の本を取る。表紙には『blackbookoffellecrown』
本を開く。そこには黒魔法や黒魔術師についての事がかかれている。日本語ではないが、読めるからいいとしよう。でも自分に一番必要な知識があってよかった。
「えーと。黒魔法には三つの種類がある。一つは呪術。二つは闇魔法。三つは‥‥‥‥。ここだけ読めないな。まあいいか。で、魔法を使うには魔力を使う。一点に力を集中させる。そして魔法の名前を唱えると使える。だが、魔力がなくなると使えない。っと。さっそく実践してみるか」
本のページをめくる。そこには丁度いい魔法が書かれていた。幸い初級魔法のようで魔力消費も少ないみたいだ。
目を閉じる。そして掌の真ん中一点に魔力をためていく。力が溜まったような瞬間、バッと目を開き呪文を唱える!
「ブラックフレア!」
大きい黒い炎が現れ、人の魂のような形になって、ぐるっと俺の周りを一周した後、俺の心臓らへんに飛び込んできた。その飛び込んできた瞬間、俺の頭から声が聞こえたのだ。その声は「ブラックフレア習得」と言い、その後は声はもう聞こえてこなかった。俺の周りには残像みたいに黒い湯気のようなものが浮いている。
なんで声が聞こえたんだ。そして魔導書には小さい炎を沢山出すと書かれているのになんで大きな炎が出たのか。
本の下を辿っていく。そこには「大きい炎が出た場合、もう少し魔力の力を弱めると小さな炎を沢山出す。ただし魔力が強く、黒魔術師に適している者は黒い炎がでる。そして一回使った魔法は魔導書を見ずに出すことが可能。」とかいてあった。
「まさか俺‥‥。魔力が強くて黒魔術師に適しているのか!?」
呆然とした俺を笑う様に本は風も当たっていないのに、次々にページがめくられていった。
【今回の魔法】
〈ブラックフレア〉‥黒魔術師の初級魔法。魔力が強く、黒魔術師に適している人は闇魔法に成り代わる事がある。
【用語説明】
〈光の神「ファフェア」〉‥この世界が破滅に陥った時、全てを癒やし、救ったという神様。すべてを癒やすほどの力を持っていたらしい。
〈闇の神「ファーデス」〉‥この世界を破滅に陥らせたという神様。とてつもない力を持っていたらしい。
〈ギルド〉‥クエストや仲間を作る所。各地にある。
〈パーティ〉‥すぐに作れるグループのようなもの。一緒にクエストをこなしたりする。
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