囚われの踊り手は闇に舞う

徒然

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15 交合

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 細められた神崎の目には滾る欲が宿り、声は低く甘く、掠れる。レイにとっても神崎にとっても、この行為はただの「男娼と客」の関係のはずで、そこに愛情が入る余地はないはずだ。
 表情を曇らせて考え込むレイの額に口付けを落とし、神崎はレイの名を呼ぶ。
「俺はお前の、恋人だろう?」
 微笑みながら零される言葉は甘やかに響く。レイはぎこちなく頷き、目を開いたまま、唇に降りてくる口付けを受け止める。
「お前はただ、俺に愛されていればいい」
 ぼやける視界のなかで目を合わせ、好きだと唇に伝えられる。神崎の吐息が唇に触れる。きっと、レイの息も届いているのだろう。
「好きだよ、レイ。愛して、愛して、甘やかして……、ぐずぐずに溶けたお前を犯して、壊してしまいたい」
 相反する感情を持て余しながらも、レイに触れる手はどこまでも優しい。神崎がペニスを太腿に擦り付ける。先走りでぬめるそれは、くちゅくちゅと音を立てる。
 神崎が動くと、レイのペニスも神崎の腹に擦られる。熱を増していくそれに、神崎の激情に身を任せる覚悟を決めた。
「ケンの望むままに。今宵の私はもう、貴方のものだ」
 溺れたくなるほどの甘さを振り払い、一夜限りの関係のなのだと自分に言い聞かせる。それを神崎にも仄めかしながらも、レイは神崎を抱きしめる。
「入ってきて。ケンの熱を私に」
 レイが足を大きく広げ、神崎の腰に絡ませる。神崎は口付けをしたまま口角を上げ、猛るペニスをレイの後孔にひたりと付ける。
「レイ……好きだ」
 ちゅぷりとレイの後孔が、ほのかに湿る神崎の切先を飲み込む。レイが深く息を吐き、ペニスを少しずつ受け入れる。
「っく、きつい、な」
 神崎が呼吸を乱しながら、隘路を押し広げる。くぷりと鬼頭を飲み込んだレイは微笑んで、神崎の頬を撫でて舌を出して口付けをせがむ。神崎は目を眇めて差し出された舌を食み、更に舌先を絡ませる。そうして唾液を絡ませながら、神崎のペニスの形を覚え込ませるようにゆっくり腰を揺らした。
 ――ケンが、居る。
 みちりと埋められたその熱が、太さが。いつもなら考えたこともないそれらが、否応なく神崎の存在をレイに叩き込む。じっと見つめられ、深く口付けられて、レイの身体が神崎でいっぱいになっていく。

 は、と、二人の短い呼吸の音が響く。
 レイの舌を伝って神崎の唾液が流し込まれると、レイは嬉しそうに微笑み喉を鳴らす。
「もっと、頂戴」
 甘やかな声で口付けをねだり、神崎の熱を煽る。神崎は腰を揺らして、レイの理性も溶かしていく。
「ああ、いくらでも。お前のここ、上からも下からもいっぱいにしてやるよ」
 ぎらりと神崎の瞳が光り、薄く腹筋の浮かぶレイの腹を撫でると、レイが誘うように唇を舐める。神崎の手を取り、指先を舐めてから、淡く色付き膨らんだ乳首に押し当てる。
「ここも、触って?」
 く、と呻いた神崎が、ずちゅりと一気に腰を進め、噛み付くように乳首に口付ける。舐め、転がし、噛みつきながら、レイの口に空いている手を差し込み、ぬめる舌を捏ね回す。そのまま、唾液の絡んだ指で乳首を抓ると、レイの中がぎゅっと締まった。
「っあ、ケン、ケン……っ、気持ちいい……」
 かつてレイが抱かれた誰よりも長く、太い神崎のペニス。こつり、と奥まで達してもまだ、埋まりきらない程に。
 神崎はレイに深く口付け、舌を絡ませる。片手は乳首を、もう片手はレイのペニスに添えて、捏ねて扱く。
「っ、ん、んう……」
 甘い喘ぎは口付けに飲まれ、レイも神崎の胸に手を這わせる。細い指で小さな胸の飾りを摘む。
「っは、俺にも、もっと寄越せよ」
 口付けを解いた神崎の唇は首筋を辿り、ぷくりと膨らむレイの乳首に吸い付いた。そのまま甘く噛んでやれば、レイの中がきゅっと締まる。にやりと笑う神崎が腰をくねらせ、レイの奥を擦ると、レイのペニスから何度目かの白濁が吐き出された。
「ケン、もう……」
 ひくりと痙攣を繰り返すレイの中を、神崎のペニスが蹂躙する。来て、と囁くレイの耳元に口付けながら、神崎がくすりと笑った。
「中に出しても良いけど、次はこの部屋の道具も使って、綺麗に飾り立てて犯すよ?」
 レイの耳に吹き込んでやれば、レイは神崎にしがみついて締め付ける。
「いい、よ。好きにして、いいから……中に出して」
 欲しい、と吐息で懇願され、神崎は呻き声を上げる。
「どうなっても、知らねぇぞ」
 神崎はレイの首筋を甘く噛み、レイを睨む。
 ――本当に好き放題したら、どうなるんだろうな。もし蕩けた顔で怒るなら、さぞ可愛いだろう。見てみたい気もするが。
 神崎はふふっと笑い、レイの目を真っ直ぐ見る。
「好きだよ」
 神崎が言うと、レイの中が締まることに気付いた神崎は、身体を密着させながら耳に囁くように何度も繰り返す。
 ずちゅ、と湿った音が激しくなる。奥を激しく突かれているのに、肌がぶつかる感触がない。
「あぁ、だすよ……、っく、ぁ……」
 レイの後孔の行き止まり。そこを擦るようにペニスを押し付け、熱い白濁をぶちまけた。
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