“彼”

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18.不安定

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クリスマスにもらったペンダントは、あれから毎日着けていた。
…と言いたいところだが、私は着けるのをよく忘れていた。
お風呂の時に外してそのまま寝て、朝着けるのを忘れる…という単純な理由だった。

でも、そのことで駿二を悲しませたこともあった。
ケンカにはならなかったけど、「今日も着けてないんだな…」と言われることが何度かあった。
その度に、忘れっぽい自分を悔やんだ。

駿二はというと、毎日着けていたと思う。
むしろ着けているのを忘れて服を脱ぎ、その勢いでチェーンが切れてしまった。
別のチェーンに替えてまた着けていたけど、もう同じじゃないんだ…と今度は私が悲しくなったのを覚えている。
駿二もショックは受けていたけど。


そして、クリスマスが終わるとあっという間に年が明けた。

年が明けると、駿二たち三年生は自由登校になる。
推薦ですでに決まっていた駿二は、もう学校に来る気もさらさらないようだった。
というより、卒業までの間に車の免許を取るつもりだったので、教習所に通いだした。

「免許取ったら車で出掛けよう!」と嬉しそうに誘ってくれたけど、私はもう学校で駿二に会えないことの方が寂しかった。
加えて、学校に行かなくていいことを楽しんでいる駿二との温度差も悲しかった。


ペンダントのとこにしろ教習所のことにしろ、今思えば小さなこと。
でもこの頃の私は駿二が地元を離れてしまうことへの不安から、駿二の胸で涙を流すことも増えていった。

くっつきながらこっそり泣くことが多かったけれど、だいたいバレていた。
急に涙が出るので駿二も驚いていた。
そしていつも「大丈夫だから」と抱きしめてくれるのだけど、私の不安は何も解消されなかった。


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