“彼”

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22.新学期

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私は高校三年生になった。
担任は二年の時と同じ先生で、ひろチーともまた一緒のクラスだった。

駿二とはほぼ毎日メールか電話をしていた。
でも元々マメな方ではない駿二。
だんだん自分からするのが悔しくて、待つ日も多くなっていった。
そうすると連絡しない日も増え、それが余計に不安を煽った。
とにかく早くGWになれ!
毎日そう思っていた。

そして、電話すると必ず勉強のことを聞かれた。
この頃、思うように成績が伸びず悩んでいた私にとって、触れられたくないことだった。


「この前、中間テストだっただろ?どうだった?」

「ん?まあまあだよ。」

「まあまあ?ほんとかぁ~?笑」

「ほんとだって!テストの話はいいじゃん!」

「赤点あったんだろ?笑」

「ないってば!もうしつこい!」


会えないことへのイライラと、勉強のことをからかうように言ってくることへのイライラで、空気は最悪…


「電話、またにした方がいいか?」

「…そうだね。」

「わかった。じゃあ切るわ。」


ケンカしたいわけじゃない。
でも私も上手く流せなかった。

離れたことで共通の話題も少なくなっている中、駿二は駿二なりにテストのことを聞いてくれていたんだと今なら思う。
私も素直に落ち込んでることを話せばよかったのかもしれない。
そんなこと、当時の私には絶対出来なかったけど。


遠距離が始まって早々にこんなんじゃダメだ!と私は心機一転、髪を切った。
駿二にも切ったことを伝え、二人でGWに会えることを楽しみに待っていた。




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