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32.ノート
しおりを挟む駿二のことを思い出さない日はなかったけれど、それでも私は学校では普通に過ごしていた。
うちのクラスはぶっちゃけ表面上は仲良いけれど、女子には2つの派閥がある。
私や周りの友達はそういう面倒なことが苦手で、どちらにも加わらなかったけど。
というか、適当にどちらとも仲良くしていた。
私の場合は八方美人とも言うかな。
それが顕著に表れたのが体育祭だった。
誰がリーダーだの、あの子が目立ちすぎだの…
女の争いは怖い。
でも子どもの頃から母に『女は愛嬌』『いつもニコニコしてなさい』と育てられた私は、関わらない場所へと避難し、ヘラヘラやり過ごしていた。
(ニコニコとヘラヘラは違うと思うが、私はヘラヘラだったと思う。)
もちろんそれが気に入らない女子もいたはず。
不思議と文句を言われたことは一度もないけど。
そんな状況はもちろん男子も見ていたわけで。
体育祭も終わったある日。
クラスの中でも、友達はいるけどちょっと一匹狼的な男子がいた。
(のちに一匹狼ではなく照れ屋なだけなことがわかる。)
“隣の席の女子にノート貸してあげるって言われて困ってる”と友達に相談しているのを聞いた。
確かにノートは誰かに借りたいけれど、その女子はあの派閥に入ってる子で苦手なんだとか。
「じゃあ礼に借りたら?」
そう言ったのはひろチーだった。
「ちょっと!何で私!?」
「え?だって礼の字、めっちゃキレイでノートも見やすいじゃん♪」
「そう言ってくれるのはありがたいけど…」
「まじで?貸してくれたらすげえ助かる!」
「あ~…じゃあ私ので良ければ。」
「ありがとうございます!!」
そんな形で私はその男子、“園田大和(そのだやまと)”にノートを貸すことになった。
彼は“やまと”だからか友達に“ヤット”と呼ばれていて、これをきっかけに私たちは話すことも多くなっていった。
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