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50.地元から離れた地で
しおりを挟むその日は土曜日だったと思う。
次の日はあっちゃんたちと遊ぶ予定になっていたから。
お昼を少し過ぎた頃、駿二は私の住む最寄りの駅まで来てくれた。
が、大きい方の改札じゃなくて小さい方の改札だって言ったのに、大きい方の改札に出た駿二。
なぜ?(笑)
おかげで完全にすれ違い!
『着いた』と連絡が来てるのに、全然見当たらない。
絶対反対側に出たなと思い、私はすぐに電話した。
「もしもし?もしかして改札大きい方に出た?」
「え?そうなん?」
「横にコンビニない?」
「あ、あるわ。」
「うん、反対だね。じゃあコンビニの前まで行くから待ってて。」
急いで反対側のコンビニまで行くと、懐かしい顔が待っていた。
地元からこんなに離れた土地で駿二と会うなんて、非現実のような感じもした。
あのまま付き合っていたら、こんな風に会っていたのかなとも思った。
家に着くと、駿二には私のベッドに座ってもらった。
私はその足元のカーペットの上に。
何せ一人暮らし。
ソファなんてないし、置くスペースもない。
部屋にあるのはベッドにローテーブルにテレビくらいだった。
「ここまで迷わなかった?」
「全然!最後、出る方間違えたけど(笑)」
「ふふ、それなら良かった。こっちまで来てくれてありがとね。…なんか変な感じするね。」
「そうだな。礼、なんか緊張してる?」
「いや、そりゃするでしょ!久しぶりだし、部屋見られるのもなんかちょっと恥ずかしいし…駿二は緊張しない?」
「俺もするよ。初めての礼の家だし。」
そうは言っても、話し始めたらお互い付き合っていた時くらい自然に話していた。
しばらくお互いが別れてからのことを話したあと、少し沈黙になった。
というか、駿二が意図的に沈黙を作った感じだった。
どうしたのかなと思って、首を傾げながら駿二の方を見ていたら…
「ん!」
駿二が両腕を広げて言ってきた。
「え?」
「来んの?」
「いや、待って。…え?」
「ん!来て。」
私が立ち上がって隣に座ると、駿二も私に向き合ってまた両腕を広げた。
抱きつけってことかな?
でもなんで?
一瞬考えたけど、わからないから言われるがまま抱きついてみた。
駿二もすぐに抱きしめてくれて、そのままキスされた。
二、三回されたと思う。
「ちょっと待って!えっと…なんで?私ら付き合ってないよね?」
「俺ら付き合う?」
「…今それで付き合うのは違うと思う。」
「礼は付き合うって言うと思った。」
確かに私も抱きついたけど、いきなりキスしといて好きとも言われてない。
それで「うん」とは言えなかった。
振られた私の意地だった。
“やっぱり礼がいい、好きだ”って言ってくれたら私も素直に付き合えたと思う。
こんな“礼なら言わなくてもわかるだろう”みたいな、なぁなぁにされるのは嫌だった。
その後も、不思議と気まずい雰囲気になるわけでもなかった。
駿二は私を後ろから抱っこしながら話してきた。
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