“彼”

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57.卒業

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卒業式では久しぶりに大学の友達に会えた。

みんな袴や着物姿で、いつもとは違う雰囲気にテンションも上がる。
私も袴を着て、友達とたくさん写真を撮った。

袴を着て化粧をすると、いろんな人に「柴咲コウに似てるね」と言われた。
もちろん自分で似てると思ったことはない。
でも高校時代にも言われたことがあったので、私はキツめの顔、もしくは猫顔なんだろうなと思う。

そして、大学生活の思い出やこれからのこと、近況などを話しながら、式が始まるまで友達と盛り上がった。


卒業式自体はほとんど覚えていない。
その後は謝恩会に参加した。
ゼミのみんなと写真を撮ったり、先生と話をしたり…
あっという間に時間が過ぎていった。

四年間色々あったけれど、なんだかんだ友達にも恵まれて楽しかったなぁと。
少し寂しくも思ったけれど、地元に帰ってからの新生活に楽しみもあり、気持ちは清々しいものだった。


謝恩会後は仲の良い友達とご飯に行く予定だったので、すぐに着替えて出掛けた。
私を含めて四人。
いつものメンバーで、卒業旅行もこのメンバーだった。


お店に入り席に着くと、早速みんなの恋愛話が始まった。
というか、私のその後も聞かれた。


「礼ちゃんはあのメールの元彼とはどうなってるの?地元帰ってから会った?」

「それが連絡全然ないんだよね。たぶん私がもう地元に帰ってるって知らないのかも…」

「えー!何やってるの!それは礼ちゃんから『帰ったよ』って連絡しないとダメでしょ。」

「私がするの?」

「だって相手は帰ってること知らないんでしょ?礼ちゃんがするしかないじゃん。」

「いや、でも私が会いたいわけじゃないし…」

「じゃあ礼ちゃんは全然気持ちはないの?」

「うーん…自分から連絡取るほどではないかな。」

「そっかぁ~。まぁ礼ちゃんなら元彼に拘らなくても他にいい人いくらでもいるだろうしね。でももしちょっとでも会いたいと思うんだったら迷わず連絡するんだよ?絶対後悔するから。連絡するのはタダなんだからさ!笑」

「ありがとう。そうする。」


なかなかズバッと言ってくれて、私も今後の対応がはっきりしたように思う。


最後の最後まで友達に感謝しつつ、私の大学生活はこうして終わっていった。

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