3 / 12
喫茶店のある二十四時間section3
しおりを挟む初瀬は真夜中の森で周りを見渡す。月の光を木々に遮るため、夜目が利かないと何も見えないはずだ。だが、初瀬には夜闇も関係はないのか昼間と変わらない様に振る舞う。
少年は単にこの森に来慣れているからだろう。
「俺達を助けた人を探しているのか?」
『ええそうね。そう言うのが一番分かりやすいわ』
周りを見渡して意識して見れば判別がつく程度に分かりやすいものだが、一方向だけ血痕が続いていた。その方向に二人は進むと、そこには血塗れになって目を閉じている白夜がいた。
『ちょっと! 寝ていないで速く起きなさい!』
「ちょっ、急になにやって……」
初瀬は白夜を見つけた途端に襟を掴んで揺さぶる。血塗れなことは初瀬にとって関係ないらしい。
「うう、何かな。いきなり、って初瀬ちゃんか。 何でここにいるのかな」
白夜は目を覚ますと、初瀬がいたことで慌てた様子で襟を掴んでいる手を外そうとする。血塗れな割には動けているためそこまで重症ではないのだろう。
『貴女がこの少年を送り込んできたからでしょうが!』
「かなり怒っているようだけどね、信託側は私は受けとれないから喋ってくれないかな」
「貴女が送り込んで来たんでしょうが、何でこんなところで寝ていたのかしらねえ!」
この状態で悠長に寝ていた白夜に、初瀬は怒りが収まらない様子で怒鳴る。
初瀬が話したその言葉は少年にとっては耳慣れていて認識できない言葉だっただろう。初瀬の話す言葉はその様に定義された言語であるからだ。
初瀬のその言葉に白夜はやる気のなさそうに答える。
「流石に偶然いただけのその少年に任せるしかなかったんだよ。私は時間を稼ぐので手一杯だったからね。それに、どういう能力として使ってるのかは分からなかったけど、あの属性は厄介どころじゃなさそうだし」
「時間稼ぎ、ね。それは成功したのかしら? してない様に私には見えるのだけれど」
白夜にとって初瀬の言葉は図星だったのだろう、ばつが悪そうな顔をして初瀬に言う。
「辿り着いてはいるようだけどね。時間稼ぎは失敗かな、攻撃手段が分からなかった。敵には傷を与えられなかったし、ね」
「貴女、何のためにここに来たのかしら? 役立たずじゃない」
「ごもっともで」
ここまでが、白夜が起きてからの会話である。流れる様に話題が変わっていくその会話には、初瀬の言葉が分かっていてもついていくのは至難の業だろう。
少年ははっとした様に初瀬に声をかける。
「い、いやでも、彼女は俺と少女を助けてくれたから」
『「そいつは貴方達を助けただけよ、それも私のところに行けと投げているじゃない。本来なら代わりにもう少しあっても良かったものを」』
「言っては悪いけれども、私はただ貴方にいくはずだった攻撃を止めただけだよ。他は何もしていない」
白夜を擁護しようと声をかけるも、初瀬と助けた本人であるはずの白夜からも斬り捨てられる。
0
あなたにおすすめの小説
ドマゾネスの掟 ~ドMな褐色少女は僕に責められたがっている~
桂
ファンタジー
探検家の主人公は伝説の部族ドマゾネスを探すために密林の奥へ進むが道に迷ってしまう。
そんな彼をドマゾネスの少女カリナが発見してドマゾネスの村に連れていく。
そして、目覚めた彼はドマゾネスたちから歓迎され、子種を求められるのだった。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
サディストの私がM男を多頭飼いした時のお話
トシコ
ファンタジー
素人の女王様である私がマゾの男性を飼うのはリスクもありますが、生活に余裕の出来た私には癒しの空間でした。結婚しないで管理職になった女性は周りから見る目も厳しく、私は自分だけの城を作りまあした。そこで私とM男の週末の生活を祖紹介します。半分はノンフィクション、そして半分はフィクションです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる