喫茶店の日常

黒歴史制作者

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喫茶店のある二十四時間section4

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  擁護しようとして失敗した少年のことを放置して初瀬と白夜の会話は進む。月明かりすら見えない森の凄惨たる場所の中心は、喫茶店での会話と変わりない様子で対峙する。

「で、役立たずは何か情報を手に入れられたのかしら?」
「さっきも言ったけどね、初瀬ちゃん。属性くらいしか分かってないよ」

  ループしている話に嫌気が差しているのか、呆れた様子で溜息を吐きながら、初瀬の質問に白夜は答える。白夜は話をしながらも、初瀬に襟を掴まれている。そのため未だに外そうと試みている様子だが上手くいっていない。
  白夜が襟を掴む手を外そうとしていることに、初瀬はやっと気づいたのか手を放す。

「もう少し速く気づいてくれても良かったんだけどね。ちなみに属性のことを考えると私達では勝ち目がないよ」
「触れられている程度の力で分かれと、無茶を言うわね。……それは有り得るのかしら? 貴女の能力は基本的に弱点ないのよね。使っている本人の性格を無視すればだけれど」

  襟から手が外れたことで安堵の息を吐く白夜だが、その後余談の様に勝ち目がないことを言う。
  速く気づいても良かったとぼやく白夜に対して初瀬は反論しその後の余談の言葉に質問をする。

  初瀬の言葉の通り、白夜の能力は性格の問題を除けば有能というのが初瀬達の間の常識である。気づいていない様子の初瀬に対して白夜は頭痛を堪えるように手で顔を隠す。

「何で初瀬ちゃんは気づかないかな」
「逆に何で相対していない者の属性が私に分かると思ったのかしらね。私は封禍ではないのよ」

  白夜は言わなければ初瀬は気づかないと思ったのか、諦めた様子で答えを言う。できれば初瀬自身で気づいて欲しかったのだろう、白夜は何かを隠す様に言わないでいたからだ。

「革命だよ。下剋上系のやつ」
「下剋上、ね。それは貴女が勝てない理由になるのかしらね。別に上位も何も関係なく能力で終わらせる癖に」

  初瀬の言葉が示す通り、下剋上系の能力は同等、もしくは下位の者には効かない。むしろ下位の者として使用すれば敵だろうと逆に強化させる結果となる。だが、下剋上系能力の怖いところはそこではない。

  それは白夜も言う。

「なるよ。それも能力ではなく属性であればね。私の能力は言っては悪いけれども弱点はない。性格に問題があるだけだからね」
「性格に問題ありって自覚していたのね」
「そりゃあね。弱点のある能力、及び属性を使っている者からすれば明確な上位だよ、私は」

  白夜の言葉からも何となく分かる様に下剋上系は上位の者には、運命を味方につけるといっていい程、必ず勝つ未来を引いてくる。

  初瀬は疑問に思ったことを白夜に聞く。思考して考察する気はさらさらない様子で片っ端から聞いている様ににも見える。

「性格に問題ありは能力の弱点ではない、ね。私もその領域に入るということかしら?」
「さっきも少し言ったけどね。初瀬ちゃんの場合、もっと酷いかな。初瀬ちゃんって確かこちらの世界の法則に適応した生命体作っていたでしょ?」

  白夜は確認するかの様に、初瀬が生命を創造していたかと聞く。白夜の言葉を聞いていることしかできていない少年は、その言葉に驚くことしかできていない様子だ。少年の役割はこの場所への案内だったため、それを終えた少年のことは白夜も初瀬も気にしていない。
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