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喫茶店のある二十四時間section5
しおりを挟む白夜の確認の質問に初瀬は頷いて肯定する。それは実験目的で生命体を当然の様に作り出したということもまた肯定したことと同義である。
「ええ、やっていたわね。でも何で今さらそれがでるのかしら、止めたのは一世紀以上前よ。寿命も十年くらいにしていたわ」
そこまで言って初瀬は気づいた様子で白夜を見る。その顔は厄介事を目にしたという様子であり、自分が原因であるとするなら無責任な考えである。
「なにかしら。まさかその作った物の中にその革命の属性がいるとでも言っているの。私がそんな反逆される可能性を作っていたとでも言うのかしら?」
初瀬はプライドを刺激されたのか不穏な雰囲気を纏いながら白夜を見る。その様子に白夜は慌てた様子で首を振る。
「そこまでは言ってないよ。初瀬ちゃん作ってから放置していたでしょ? だから属性が変質した様なんだよね。つまりは属性の付与が甘かったということなんだけど」
プライドがある癖に無責任な様子の初瀬に対して白夜は呆れた様子で何が起きていたかの考察を重ねていく。そのセリフを聞いている初瀬は機嫌が悪くなっていった様子だが黙って聞いている。
「寿命を過ぎても人間のままでいられるのは理に対して下剋上を起こしている最中だからかな」
「最中なのね。……話を戻すわ。私が能力以上に酷いというのは創造、被創造だからということだからかしらね」
「そういうことだね。……さっきは確かに話が逸れていってたな」
この結果に行き着くまでの蛇足が長い。白夜は言われてから気づいた様子でいるが、謝る様子はない。
創造、被創造の関係というだけのことを言うのに十分程かかっていた。
初瀬は蛇足の長さに呆れながら白夜にまた質問をする。初瀬は敵の情報を知るという目的のためにここに来ているが、敵の位置情報は分からないためかなりリスクが大きいやり方でもある。
「にしても、敵の能力が私達に対して効果が高いということは分かったわ。敵が何を成そうとしているのか分かっているのかしら、わざわざ戦闘のできない神を殺そうとする者でしょう?」
「それは何となくになるけどね」
白夜は一呼吸分、間を空けて話を始める。
「命を弄ぶ者への復讐、と言ったところかな」
その言葉に対しては初瀬は疑問しかない様子で白夜に質問をする。
「ちょっと待ちなさい。それはおかしくないかしら?」
「どこが?」
初瀬の疑問が分かっていないのか、逆に白夜は質問で返す。
「それだけなら私への復讐というだけなはずよ。他に命を弄ぶ者を許せないとか言うので別の者にいったとしても、あの神を狙う理由はないはず」
「それが分かる環境だと思う?」
狙われている者である神は何もしていない。だがそれが分かる環境だったのか、と白夜は返す。なぜならあの神は人に知られなくなって随分時間が経つ。
「神だから命を弄んでいる。この偏見を覆せる環境だったと言えるのかな」
「…………。言えないわね」
そう言えないのだ、初瀬が肯定する様に。神だから命を弄んでいるという偏見は実際のところほとんどの場合で当たっている。
そして、神と人なら上位と見なすのは普通は神だろう。信仰がなければ生きていけないといった生死が人に依存しているという事実を知っている者はほとんどいない。この事実は神という種族である者すら気づいていないことが多い。
だから、神は人の命を弄び、人より上位だと考える者が多い。
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