ぐんかん島とすうちゃん

コユメ

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ドアを開けて中に入った途端目に映ったのは天井迄届く程に積まれた色取り取りの可愛い雑貨や小物達が陳列された棚だった。
私は唖然と、それらを見上げて

「どうしょうカメちゃん!これ…決められるかなぁ?」

陳列されている品はどれもこれも可愛くてこんなの決められる気がしないとオロオロしているとリリーさんが笑いながら

「大丈夫さ、あんたにぴったりの品は絶対に見つかるから安心しな」

「え?」

どういう事かとリリーさんに聞こうとするとリリーさんは、さっさとお店の奥にいってしまった。
追いかけようとするとカメちゃんが

「すうちゃん、リリーさんのお店の商品はお客さんが商品を決めるんじゃなくて商品の方が気に入った人の所に来るの」

カメちゃんの言っている意味が分からず

「え?ここにある商品ってもしかして…生きてるの?」

「うーん、さぁ?わかんないけどリリーさんのお店は、そうなってるよ」

とあいまいに返されてしまった。
もしかして…動くの?だろうかと目に留まった黄色い花柄のコップを見ていると
あれ?っとなった。
私が瞬きをすると、さっき迄あった黄色い花柄のコップが無い!
確かに置いてあったのになんで?
誰も手に取っていなかったし…
そもそも私が見ていた黄色い花柄のコップは高い棚の上にあった。
そんなコップを私が、まばたきをしている間に誰かが取るなんて無理なはず…すると後ろの方から

「これ!こういうのが欲しかったのー!」

振り返るとカバの女性が嬉しそうに、さっき迄見ていた黄色い花柄のコップを持ってる!

「え?何で!」

カメちゃんが、うんうんと

「ああやって、商品が欲しい人の所にいくんだよね流石リリーさんのお店…私にも何かないかな?」

とカメちゃんが反対側の棚を見に行ってしまった。
私は…さっき見た事がビックリなんだけど嬉しそうにしているカバの女性を見ながら…あれが便利?なんだろうか…少し怖い様な気がしたけど
そもそもここは魔女のお店だし、そういう事もあるのだろうと自分に納得させていると後ろから

「うわ!何だビックリした!」

今度は何!と振り返ると、うーちゃんの手に綺麗な水色のガラスで出来たコップが握られていた。
私は

「うーちゃん…どうしたのそれ?」

と聞くとうーちゃんが苦笑いしながら

「ああ、なんだか気に入れられたみたいだから俺これ買ってくるわ!」

そう言うなり呼び止める暇も無くお店の奥に行ってしまった。
すると戻って来たカメちゃんが

「あれ?うーちゃんは?」

「なんか、水色のガラスのコップに気に入られたから買って来るって?」

そう言うとカメちゃんが頷きながら

「ああ、たまに商品に気に入れられると、いつの間にかその品を手に持ってるって聞いた事があるけど本当だったんだね」

「それが欲しくなくても?」

「んー?どうだろう?最近うーちゃんお気に入りのコップ割っちゃったって、がっかりしてたから丁度良かったんじゃないかな?」

そう言われてみれば、さっきのうーちゃんの顔を思い出すと、仕方無いみたいな顔してたけど、その割りに直ぐに買いに行ってしまった。
それにあの水色の綺麗なガラスのコップはうーちゃんにぴったりだったなと

「だとすると私大丈夫かな?」

皆気に入った品を手に入れてるけど
私お弁当で、こういう色とか形の物が欲しいとか無いけど…
それでも見つかるんだろうか?
急に心配になってきた。
ここは魔女のお店だ。
私の所に来てくれるお弁当箱と水筒はあるだろうか…
もうこれでいいや!は無いだろう内心焦っていると、カメちゃんが私を見てホッとした顔で

「良かった。見つかったみたいだね」

え?とカメちゃんを見るとカメちゃんがそれっと指を指した。
両手の上に何か乗ってる?
ビックリして見ると赤い綺麗な宝石の形をした物を持っていた。

「うわー!凄い綺麗だけど?これって何だろう?」

触って見ると箱?のようで蓋が取れた。

「え?嘘!これってもしかして…お弁当箱!」

そう言うと赤い綺麗なお弁当箱がキラキラと輝いた。

「本当に綺麗なお弁当箱だね!すうちゃんにぴったり!」

窓から入る光で更にキラキラと輝くお弁当箱を見て

「でも…このお弁当箱高そうだけど…いくらなんだろう?…あれ?箱に値札が付いて無い…」

するとカメちゃんが

「すうちゃん何か持ってるよ?」

ほらっと私の手を指を指した。
指された手を見ると紙らしき物を持ってた。
いつの間に?さっき迄何も持ってなかったのに…私は恐る恐る紙を見ると

いまもっているおかねのはんぶんでいいよ?

と書かれている。
これ値札?
メモじゃないの?
カメちゃんに

「カメちゃん!カメちゃん!大変!これ値札じゃない!」

「ええ!」

とカメちゃんがメモを覗き込み次の瞬間笑いながら

「ちゃんと値札だよ」

「え?値札って数字で書かれてると思うんだけど…」

「すうちゃんここはリリーさんのお店だし、商品達は欲しいと思ってくれる人の所に行くの、だからこのお弁当箱もすうちゃんに買って貰う為に、こんな事を書いたんじゃないかな?」

「この事リリーさん知ってるのかな?」

カメちゃんは首をかしげて

「たぶん知ってると思うけど後でリリーさんに聞いてみようか」

「そうだね」

そう言ったけど出来るなら、この値札通りに買えると良いなと思ってしまった。
私は赤いお弁当を大事に持ってると

「じゃあ次は水筒だね!」

仕切り直しとばかりにカメちゃんが言った。
私が頷くなり左手にズシリとした何か持ってる?
まさかと見ると青い綺麗な水筒らしき物がある…取り敢えずカメちゃんにお弁当箱を持ってて貰い改めて青い水筒らしき物をマジマジと見て

「…欲しいけど。これもまた高そう…お金大丈夫かな」

見た感じ青い万華鏡みたいだ。
私が水筒を軽く振ってみると青い色がゆっくりと動く、夢中になって逆さまにしたりしていると水筒の裏に何か貼ってある?よく見ると何か書かれている

ぼくもつれていって

もはやどう言う事なんだろうか?
連れていってって?

「…え?どう言う事?何これ?」

困惑してると

「そのままの意味だよ。連れていってやりな」

声にビックリして振り返るといつの間にかリリーさんが居た。
私は緊張しながら

「あの、これ」

と赤いお弁当箱の値札をリリーさんに見せるとリリーさんは

「もう、お会計かい?」

と聞き返されてしまった。
私は慌てて

「あの、違うんです…あ、いやでもこのお弁当箱と水筒は欲しいんですけど…金額が」

「何かおかしいのかい?」

リリーさんは首を傾げながら値札を見て

「今持ってるお金の半分がダメなのかい?」

と聞かれ私は首を振り

「違うんです!あの私…実は今日こんな綺麗なお弁当箱を買える程のお金持ってなくて…本当はこのお弁当箱高いんですよね?」

私が言うとリリーさんは急に笑い出した。

「あー!そう言う事かい!成る程ね!このお弁当箱が高いと思って心配してるのかい?」

頷くとリリーさんが

「安心おし、私の店の商品達は自分達で勝手に金額を決めて客に買われていくんだ。だから、あんたの持ってるお金の半分でいいんだよ」

「でもそれじゃお店の経営が…」

リリーさんは笑いながら

「この店はあたしの趣味でやってるようなもんだから気にしなくていいんだよ、ほらそれより2人共ちょっとこっちに来な」

とお店の奥に手招きされ、付いていくと少しこじんまりとした台所が付いた部屋に通された。
中に入ると何故か優雅にお茶を飲んでる、うーちゃんが居た。
それもさっき買ってくるって言ってたコップで…
うーちゃんは私とカメちゃんを見て片手を上げて

「よ!遅かったな!」

「遅かったなじゃないよ!何をしてるの!」

「全然戻って来ないなと思ってたら…まったく」

「仕方無ねーだろ!ばあさんに捕まったんだよ!」

どうやらコップを買おうと思ったらリリーさんに捕まってお茶をご馳走になっていたらしい…
するとリリーさんが

「ほら!あんた達も呆と立ってないで、さっと座んな!」

カメちゃんと顔を見合せ席に着くと目の前に美味しそうな紅茶とクッキーが置かれ

「さ、食べな!」

いち早くうーちゃんがクッキーをつまみバクバクと食べ始めた。
あまりにも美味しそうに食べているから私もクッキーを手に取って一口噛ると

「うわ!このクッキーサクサクで美味しいよ!」

カメちゃんも頷き

「うん!この紅茶も良い香りで美味しいよね!」

本当に美味しいと感動していると

「そうだろ?もっと食っていいぞ!」

何故かうーちゃんが自慢気に言ってくる

「何でうーちゃんが自慢気なの…」

呆れながら言うと、うーちゃんが

「だって、これ焼いたのは、この俺だからだ!」

「え?」

カメちゃんと私の声がハモると、リリーさんが

「暇そうにしてるからクッキー焼くの手伝って貰ってたのさ」

確か前にクッキーを嫌と云う程焼いた経験があるって言ってたけど
私達の視線に何かを感じたのか、うーちゃんがふて腐れた顔で

「何か文句でもあんのか?」

私とカメちゃんは笑いを堪えながら

「何でも無いよ!ね?すうちゃん?」

「うん!うん!凄く美味しいよ!まるでお店のクッキーかと思っちゃった!凄いよ!うーちゃん!」

気をよくしたうーちゃんが

「そうだろう!我ながら上手に出来たもんだ!」

凄いうーちゃんが自慢してるけど、たぶんうーちゃんはクッキーが焼けるのを見てただけだろう
クッキーを作る手順がこんなに早い訳がない。
リリーさんがクッキーを捏ねて型を抜いて焼くだけにして、置いてくれてたんだろうとカメちゃんを見るとカメちゃんは「しー!」と口に人差し指を置きウインクした。
私が無言で頷くと

「うん?2人共どうしたんだ?」

聞かれ慌てて

「何でも無いよ!本当このクッキー美味しねってカメちゃんに言ってたの!」

うーちゃんは更に気を良くしたのか、どれだけ焼くのが大変だったのかを熱弁しだした。
私はそれを右から左に聞き流してると

「それで、もういいのかい?」

何を言われたのかリリーさんを見ると

「さっきから、そこのお弁当箱と水筒がソワソワしてるから気になってしょうがない」

え?とテーブルのすみに置かれたお弁当箱と水筒を見ても変わった所は無いけど…とリリーさんを見るとリリーさんは

「魔女のあたしには分かるんだよ、そこのお弁当箱と水筒が、さっきからコソコソと早く早くってうるさいったらありゃしないから早く買ったほうが良いんじゃないかい?」

そう言われ、すみに置かれていたお弁当箱と水筒をリリーさんの前に出して

「あの、このお弁当箱と水筒下さい!」

言うとリリーさんは何処からか出した紙袋にお弁当箱と水筒を入れて私に紙袋を差しだし

「大事にしてやっておくれよ」

私はお財布を取り出して少しドキドキしながら持っているお金の半分を渡すとリリーさんはニヤリと笑い

「はい、ありがとうね」

貰った紙袋を大事に持って

「ありがとうございます。大事に使います。」

ペコリと頭を下げると、リリーさんは手を叩き

「これでもう良いね!うちの店での用が終わったのなら、もう行きな!こっちは忙しいんだ!」

「うわ!何だよ!まだクッキー食ってるだろう!俺のクッキー!」

「相変わらずだねあんたは…それは持っていけばいいだろう」

「やった!俺のクッキー!」

うーちゃんがテーブルのクッキーをポケットの中に仕舞おうとするのを

「そのまま持っていくのはやめて!うーちゃん!」

「ちょっと待ちな!袋にクッキーを入れな」

リリーさんとカメちゃんに止められているのを呆れながら見てると、リリーさんが怒りながら何処からか出した紙袋にクッキーを詰めてうーちゃんに渡すとうーちゃんが
満足そうな顔で

「よし!さ行こうぜ!」

「あんたは…」

とリリーさんに怒られていた。
そして私達はリリーさんに追いたてられるようにお店から出されてしまった。


















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