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目の前で閉まったドアの前で、うーちゃんがクッキーを食べながら
「モグモグ、ん!よし!じゃあ次行こうぜ!」
唖然と見てるとカメちゃんが気を取り直して
「ゴホン…それじゃすうちゃん次何処に行きたい?」
私はう~んと考えて
「私は、お弁当箱と水筒が買えたから、もういいかなー?次はカメちゃんとうーちゃんの行きたい所に行こうよ」
「う~んそっか、でも私もすうちゃんにリリーさんを紹介したかっただけだから…どうしょうかな」
するとうーちゃんが
「ハイハイ!俺最近変な店見付けたんだ!そこいこうぜ!」
「変なお店って、どんなお店なの?」
「何って言ったらいいんだろうな、カチカチ鳴ってるけど、すげー静かなんだよ!」
「何それ、うーちゃん…ちょっと怖いんだけど大丈夫なの?」
「本当うーちゃんは本当変なお店を直ぐ見つけてくるんだから…前も…」
「あー!うるさい!今度の店は面白くてヤバイんだよ!」
私とカメちゃんがうーちゃんを見ると
「えー?ヤバイって…」
「大丈夫なの?」
「大丈夫、大丈夫だ!…たぶん」
「たぶんって…」
「さ!行こうぜ!」
そう言うなり、うーちゃんは私とカメちゃんの手を掴み歩き出した。
私はカメちゃんを見るとカメちゃんが首を振り
「行くだけ行ってみよう?…怖いけど」
私も頷き
「うん…」
少し怖かったけどうーちゃんが言っていた音はするのに静かってどういう意味なんだろうと少し興味があった。
どれだけ歩いたんだろうか、だんだんお店も少なくなって来て道も狭い
「ねぇ、うーちゃんお店まだ?」
聞くと
「んー?まだ先だなー」
「本当にこんな所にお店が在るの?私ここまで来たの初めて」
「あるある!俺前タツ君と遊んだ時にさー道に迷ってそん時に見付けたんだよ!」
「道に迷ったて…何してたの?」
「鬼ごっこ」
「2人で?」
「おう!そしたら途中から追い駆けっこになって必死に走って逃げてたら、見つけたんだよ!あ!あそこだ!」
そう言いながら人けのない路地を曲がった先にそれはあった。
そのお店は木々に囲まれ隠れるようにポツンと建っていた。
「え…これお店?」
「そうだぞ!」
「本当に?」
灰色の建物に茶色い大きな扉が在るだけで看板も無いし、これがお店だと誰も気が付かないと思うんだけど…
「うーちゃん…よくこれがお店だと気が付いたね?」
「ああ!さっき言ったろ俺?道に迷ったって」
「ああ、うん…!もしかして帰る道を聞く為に入ったの?」
「そうだ!じゃなきゃ入らねーよ。こんな怪しい建物」
改めてお店を見て納得した。
カメちゃんが不思議そうに
「ちょっと気になってお店をぐるっと回ってみたんだけど…このお店窓らしき物が一切無いね」
そう言われ私も見て
「本当だ!窓無い!中どうなってるんだろう?」
するとうーちゃんがうんうんと
「あー、それは中に入ればわかるぞー、じゃ!入ろうぜ!」
と、うーちゃんに背中を押され私とカメちゃんはドアにノックをし
「あの…おじゃまします?」
恐る恐る開けると店内は薄暗く静かだった。
思わず怖くて立ち止まると後ろから、うーちゃんが後ろから
「うわ!」
と私とカメちゃんにぶつかってしまって、その拍子に私達は押されるように店内に入ってしまった。
「あいた!」
「大丈夫!すうちゃん?ごめんね!怪我してない?立てる?」
心配され
「大丈夫だよ!私が変な所で立ち止まっちゃったから…ありがとう」
とカメちゃんの手を取り立ち上がり顔を上げると
「!」
ビックリして固まってしまった。
そこには壁一面に隙間なく時計が掛けられカチカチと音を立ててる。
四方の壁に時計が…
そして、それらの時計をよく見ると、どれもこれも古いものばかり
…?あれ
「なんか全部の時計の時刻が違う?」
「え!本当だ!でも何でなんだろうね?」
「ああ、それは…」
うーちゃんの声を遮るように
「おやおや?いらっしゃいませ」
ビックリして振り返るとタキシードを着たフクロウが立っていた。
慌てて
「えとあの、私達…時計を欲しいとかじゃなくて…」
困った。
壁に掛かってる時計は全部高そうに見える
たぶん私が買えるわけがない
オロオロとしているとフクロウは私の顔ジッと見てニッコリと笑った。
「……ほうほう。見ていただくだけでも構いませんよ。どうぞゆっくりしていってください」
そう言ってフクロウは片目に付いていた眼鏡を手で直した。
その言葉にホッとして私は
「あの、ここは時計屋さんなんですか?店主さん?」
聞くとフクロウは綺麗なお辞儀をして
「これはこれは失礼しました。私の名はハクロウと言います。ここの店の店主をやらしていただいております。そしてこの店は時計ではなく時間を売っております。」
「時計じゃなくて時間ですか?」
「はい、例えば皆さんは時間が経つのが遅く感じた経験は御座いますか?」
「有ります!」
「特に授業とかな」
「…でもそれは単に早く時間が過ぎて欲しくて何度も時計を確認してるから時間が遅く感じるんだと思ってんですけど…?」
答えるとハクロウさんは
「ふふ、そういう事もありますが、うちの店では時間がもっと欲しいと望まれたお客様に引き伸した時間をお売りする事が出来るのです。」
そんな事が出来るんだ!
と考えて
「じゃあじゃあ…時間の進みが早いと感じるのは?」
「お客様の時間を売っていただいたのです。」
時間は買う事だけじゃなくて売る事も出来るなんて!と偶然うーちゃんと目が合った。
「うお!い、一回だけだぞ!」
…売ったな。
ジーと見てると観念したのか
「時間を買うとか売るって、どんなもんか知りたかったんだよ!」
「うーちゃん…」
カメちゃんがうーちゃんにお説教をしようと前に出ようとするとハクロウさんが
「まあまあ、落ち着いて下さい。」
言った途端壁一面の時計が一斉に音を鳴らした。
「ボーンボーン!」
「ポッポーポッポー!」
「♪」
お店全部の時計が鳴っている。
「うわ!」
「なんだ!」
「きゃ!」
その音に圧倒されていると
また一斉に時計が鳴り止んだ。
そしてまた時計が静かに時を刻みはじめた。
「……?」
私達は誰も声を出せずに見ているとハクロウさんが
「ビックリさせて申し訳御座いません、ここに飾られている時計は時が来ると音を鳴らす仕組みになってまして…お客様に言うのを失念しておりました。すいません」
「そうなんですね。ビックリしました」
「凄い音だったね…!あ、だからお店に窓が無かったんですね!」
するとうーちゃんが
「俺、それさっき教えようと!」
「そうなの?聞いたカメちゃん?」
「さぁ?」
「あー!聞いてないのお前達だろ!」
ふと目についた小さな時計を見て私は
「そんなことより!この時計見て!ハクロウさん、これは?」
「ほうほう、それは勉強する時にお勧めなんです。ここを押すと時間が伸びるんですよ」
カメちゃんが私が指指した時計を見て嬉しそうに
「そうですよね!勉強する時は時間欲しいですし!凄い良いね!」
「俺は逆に要らないなー。うわ!これ見てみろよ!」
うーちゃんの指さした先には物凄い速さで刻を刻む時計が
「これは…速すぎて何も出来そうにないけど」
私が言うとカメちゃんが
「私には無理そう」
「そうだね…」
としか言えなかった。
「おーい!こっちも凄いのあるぞ!」
そう言われお店の時計を3人で見て回った。
そして一通り見て回るとハクロウさんがニッコリと
「どうでしたか?」
カメちゃんが私とうーちゃんを見て
「私達にはまだ早かったみたいです。」
「…そうですか、ほうほう」
言葉を置いて、何故かハクロウさんは私をじっと見て
「では…何かありましたらいつでもいらして下さい、またのご来店お待ちしております。」
お辞儀をした。
するとまたお店中の時計が鳴り出した。
私達はまたビックリして
「え!」
「きゃ!」
「うわ!またかよ!うるせ!」
私とカメちゃんは思わず耳に手を当てて音が鳴り止むのを待っていると
ピタリと音が止み、また時計がカチカチと静かに時を刻み始めた。
「おや?ほうほう、…もうこんな時間ですか」
ハクロウさんは懐から懐中時計を出して
「皆さんお時間は大丈夫ですか?」
すると3人のお腹が
「ぐー」
と鳴った。
ハクロウさんがニッコリと
「おやおや皆さんの方が時間に正確のようですね」
するとうーちゃんが
「腹へった!」
カメちゃんも
「そうだね結構長居したもんね」
私も
「うん、それじゃあハクロウさんありがとうございます」
「時計楽しかったです。」
「楽しかったなー!」
「ほっほっ、いえいえ私も楽しかったですよ。ご来店ありがとうございます」
私達はハクロウに見送られ外に出た。
カメちゃんが
「あれ?」
と首を傾げた。
「どうしたの?カメちゃん」
「うん、これ見て」
カメちゃんはカバンからキーホルダーを出して
「これ時計なんだけどなんだか時間がおかしいの」
「時間~?」
うーちゃんがカメちゃんの時計を覗き込み
「…?え、何だこれ」
「何がおかしいの?」
と見ると時間が、さっきリリーさんのお店を出た時間からそう経って無い
これは…ハクロウさんのお店に入った頃だろうか?
私達は顔を見合わせて
「え?でも確実に私達結構お店に居たよね…カメちゃん」
「うん、30分は居たはずだけど…だけど私時間見てないから…ハッキリとは言えないけど…」
「うわ!俺もう!あそこの店入るの怖いわ!」
「そうだね私も少し怖いよ、すうちゃんどうしたの?」
怖い事に気が付いた。
「私…今気が付いたんだけど…」
「え、何どうしたの?すうちゃん?」
「何だよ!」
「…お店の時計、みんなバラバラの時間だったでしょ?」
「ああ、そうだったね」
「それが何だよ?」
「じゃ…何で同じ時に音が鳴ったの?」
私の言葉にカメちゃんとうーちゃんが
「そう言われれば…なんでなんだろう…」
「そ、そういう風にセットしとけばいいだけだろ!」
「そんな事出来るのかな?…あんなに古そうな時計に?針の早さがバラバラなのに?そんなに精密な事出来るのかな?」
「……」
カメちゃんもうーちゃんも黙ってしまった。
私はしまったと
「あーでも!出来るにかもしれないね!うんうん!それに色んな時計面白かったしハクロウさんも優しかったし大丈夫だよね!」
大きな声で言うとうーちゃんも
「あ、あーそうだよな!面白かった!」
「うん…楽しかった。」
顔色の悪いカメちゃんも無理して乗ってくれた。
するとうーちゃんが
「なぁ…こんな辛気くさい話より、そろそろ昼飯にしようぜ俺腹へった!」
「…そうだね!私もお腹空いたうーちゃん何食べたい?」
カメちゃんとうーちゃんが喋ってる後ろで私は考えていた。
今思えばあの時に鳴り終わった時から違和感があった…
確かお店に入った時には
至るところから時計の針が刻む音がしていたはずなのに…
時計の音がしてから全ての音がやんだような?
私の気のせい?
そしてもう一度音が鳴ってからまた時計の音が聞こえるようになったような?
気のせい?
「…ちゃん?」
「おい!聞いてんのか!すう!」
私はハッとして顔を上げると心配そうにしてるカメちゃんと怒ってるうーちゃんがいた。
「え?何?どうしたの?」
聞くと
「どうしたの?体調が悪い?何処かで休む?」
「え、ううん!大丈夫だよ!」
「本当?」
「すうちゃんすうちゃん大丈夫?キノコ食べる?」
「うん、いらない!お腹空いてぼーとしてただけ」
心配させてしまった…
そう言えばキノコ居たんだっけ忘れてた。
「なんだよ、すうも腹へったなら!カメあそこ行こうぜ!」
「そうね、私もあそこがいいと思う!」
2人の言葉に
「あそこって何処なの?」
聞くと2人は楽しそうに
「行けば分かる!」
「うん、きっとすうちゃんも気に入ると思うよ、行こ?」
「えー!楽しみ!」
私はカメちゃんとうーちゃんと手を繋ぎ今から行くお店で頭が一杯で、さっき考えていた事を忘れてしまった。
引っ掛かった疑問はなんだっけ?
「カチカチ」
「ボーン!ボーン!」
「♪」
ハクロウが懐から動かなくなった懐中時計を取り出してパカリと開けた。
「……。」
あの時からこの懐中時計は時を刻まなくなってしまった。
大事な大事な友達から貰った懐中時計
約束を破った大事な友達から貰った懐中時計。
ハクロウは静かに懐中時計を大事そうに仕舞った。
「モグモグ、ん!よし!じゃあ次行こうぜ!」
唖然と見てるとカメちゃんが気を取り直して
「ゴホン…それじゃすうちゃん次何処に行きたい?」
私はう~んと考えて
「私は、お弁当箱と水筒が買えたから、もういいかなー?次はカメちゃんとうーちゃんの行きたい所に行こうよ」
「う~んそっか、でも私もすうちゃんにリリーさんを紹介したかっただけだから…どうしょうかな」
するとうーちゃんが
「ハイハイ!俺最近変な店見付けたんだ!そこいこうぜ!」
「変なお店って、どんなお店なの?」
「何って言ったらいいんだろうな、カチカチ鳴ってるけど、すげー静かなんだよ!」
「何それ、うーちゃん…ちょっと怖いんだけど大丈夫なの?」
「本当うーちゃんは本当変なお店を直ぐ見つけてくるんだから…前も…」
「あー!うるさい!今度の店は面白くてヤバイんだよ!」
私とカメちゃんがうーちゃんを見ると
「えー?ヤバイって…」
「大丈夫なの?」
「大丈夫、大丈夫だ!…たぶん」
「たぶんって…」
「さ!行こうぜ!」
そう言うなり、うーちゃんは私とカメちゃんの手を掴み歩き出した。
私はカメちゃんを見るとカメちゃんが首を振り
「行くだけ行ってみよう?…怖いけど」
私も頷き
「うん…」
少し怖かったけどうーちゃんが言っていた音はするのに静かってどういう意味なんだろうと少し興味があった。
どれだけ歩いたんだろうか、だんだんお店も少なくなって来て道も狭い
「ねぇ、うーちゃんお店まだ?」
聞くと
「んー?まだ先だなー」
「本当にこんな所にお店が在るの?私ここまで来たの初めて」
「あるある!俺前タツ君と遊んだ時にさー道に迷ってそん時に見付けたんだよ!」
「道に迷ったて…何してたの?」
「鬼ごっこ」
「2人で?」
「おう!そしたら途中から追い駆けっこになって必死に走って逃げてたら、見つけたんだよ!あ!あそこだ!」
そう言いながら人けのない路地を曲がった先にそれはあった。
そのお店は木々に囲まれ隠れるようにポツンと建っていた。
「え…これお店?」
「そうだぞ!」
「本当に?」
灰色の建物に茶色い大きな扉が在るだけで看板も無いし、これがお店だと誰も気が付かないと思うんだけど…
「うーちゃん…よくこれがお店だと気が付いたね?」
「ああ!さっき言ったろ俺?道に迷ったって」
「ああ、うん…!もしかして帰る道を聞く為に入ったの?」
「そうだ!じゃなきゃ入らねーよ。こんな怪しい建物」
改めてお店を見て納得した。
カメちゃんが不思議そうに
「ちょっと気になってお店をぐるっと回ってみたんだけど…このお店窓らしき物が一切無いね」
そう言われ私も見て
「本当だ!窓無い!中どうなってるんだろう?」
するとうーちゃんがうんうんと
「あー、それは中に入ればわかるぞー、じゃ!入ろうぜ!」
と、うーちゃんに背中を押され私とカメちゃんはドアにノックをし
「あの…おじゃまします?」
恐る恐る開けると店内は薄暗く静かだった。
思わず怖くて立ち止まると後ろから、うーちゃんが後ろから
「うわ!」
と私とカメちゃんにぶつかってしまって、その拍子に私達は押されるように店内に入ってしまった。
「あいた!」
「大丈夫!すうちゃん?ごめんね!怪我してない?立てる?」
心配され
「大丈夫だよ!私が変な所で立ち止まっちゃったから…ありがとう」
とカメちゃんの手を取り立ち上がり顔を上げると
「!」
ビックリして固まってしまった。
そこには壁一面に隙間なく時計が掛けられカチカチと音を立ててる。
四方の壁に時計が…
そして、それらの時計をよく見ると、どれもこれも古いものばかり
…?あれ
「なんか全部の時計の時刻が違う?」
「え!本当だ!でも何でなんだろうね?」
「ああ、それは…」
うーちゃんの声を遮るように
「おやおや?いらっしゃいませ」
ビックリして振り返るとタキシードを着たフクロウが立っていた。
慌てて
「えとあの、私達…時計を欲しいとかじゃなくて…」
困った。
壁に掛かってる時計は全部高そうに見える
たぶん私が買えるわけがない
オロオロとしているとフクロウは私の顔ジッと見てニッコリと笑った。
「……ほうほう。見ていただくだけでも構いませんよ。どうぞゆっくりしていってください」
そう言ってフクロウは片目に付いていた眼鏡を手で直した。
その言葉にホッとして私は
「あの、ここは時計屋さんなんですか?店主さん?」
聞くとフクロウは綺麗なお辞儀をして
「これはこれは失礼しました。私の名はハクロウと言います。ここの店の店主をやらしていただいております。そしてこの店は時計ではなく時間を売っております。」
「時計じゃなくて時間ですか?」
「はい、例えば皆さんは時間が経つのが遅く感じた経験は御座いますか?」
「有ります!」
「特に授業とかな」
「…でもそれは単に早く時間が過ぎて欲しくて何度も時計を確認してるから時間が遅く感じるんだと思ってんですけど…?」
答えるとハクロウさんは
「ふふ、そういう事もありますが、うちの店では時間がもっと欲しいと望まれたお客様に引き伸した時間をお売りする事が出来るのです。」
そんな事が出来るんだ!
と考えて
「じゃあじゃあ…時間の進みが早いと感じるのは?」
「お客様の時間を売っていただいたのです。」
時間は買う事だけじゃなくて売る事も出来るなんて!と偶然うーちゃんと目が合った。
「うお!い、一回だけだぞ!」
…売ったな。
ジーと見てると観念したのか
「時間を買うとか売るって、どんなもんか知りたかったんだよ!」
「うーちゃん…」
カメちゃんがうーちゃんにお説教をしようと前に出ようとするとハクロウさんが
「まあまあ、落ち着いて下さい。」
言った途端壁一面の時計が一斉に音を鳴らした。
「ボーンボーン!」
「ポッポーポッポー!」
「♪」
お店全部の時計が鳴っている。
「うわ!」
「なんだ!」
「きゃ!」
その音に圧倒されていると
また一斉に時計が鳴り止んだ。
そしてまた時計が静かに時を刻みはじめた。
「……?」
私達は誰も声を出せずに見ているとハクロウさんが
「ビックリさせて申し訳御座いません、ここに飾られている時計は時が来ると音を鳴らす仕組みになってまして…お客様に言うのを失念しておりました。すいません」
「そうなんですね。ビックリしました」
「凄い音だったね…!あ、だからお店に窓が無かったんですね!」
するとうーちゃんが
「俺、それさっき教えようと!」
「そうなの?聞いたカメちゃん?」
「さぁ?」
「あー!聞いてないのお前達だろ!」
ふと目についた小さな時計を見て私は
「そんなことより!この時計見て!ハクロウさん、これは?」
「ほうほう、それは勉強する時にお勧めなんです。ここを押すと時間が伸びるんですよ」
カメちゃんが私が指指した時計を見て嬉しそうに
「そうですよね!勉強する時は時間欲しいですし!凄い良いね!」
「俺は逆に要らないなー。うわ!これ見てみろよ!」
うーちゃんの指さした先には物凄い速さで刻を刻む時計が
「これは…速すぎて何も出来そうにないけど」
私が言うとカメちゃんが
「私には無理そう」
「そうだね…」
としか言えなかった。
「おーい!こっちも凄いのあるぞ!」
そう言われお店の時計を3人で見て回った。
そして一通り見て回るとハクロウさんがニッコリと
「どうでしたか?」
カメちゃんが私とうーちゃんを見て
「私達にはまだ早かったみたいです。」
「…そうですか、ほうほう」
言葉を置いて、何故かハクロウさんは私をじっと見て
「では…何かありましたらいつでもいらして下さい、またのご来店お待ちしております。」
お辞儀をした。
するとまたお店中の時計が鳴り出した。
私達はまたビックリして
「え!」
「きゃ!」
「うわ!またかよ!うるせ!」
私とカメちゃんは思わず耳に手を当てて音が鳴り止むのを待っていると
ピタリと音が止み、また時計がカチカチと静かに時を刻み始めた。
「おや?ほうほう、…もうこんな時間ですか」
ハクロウさんは懐から懐中時計を出して
「皆さんお時間は大丈夫ですか?」
すると3人のお腹が
「ぐー」
と鳴った。
ハクロウさんがニッコリと
「おやおや皆さんの方が時間に正確のようですね」
するとうーちゃんが
「腹へった!」
カメちゃんも
「そうだね結構長居したもんね」
私も
「うん、それじゃあハクロウさんありがとうございます」
「時計楽しかったです。」
「楽しかったなー!」
「ほっほっ、いえいえ私も楽しかったですよ。ご来店ありがとうございます」
私達はハクロウに見送られ外に出た。
カメちゃんが
「あれ?」
と首を傾げた。
「どうしたの?カメちゃん」
「うん、これ見て」
カメちゃんはカバンからキーホルダーを出して
「これ時計なんだけどなんだか時間がおかしいの」
「時間~?」
うーちゃんがカメちゃんの時計を覗き込み
「…?え、何だこれ」
「何がおかしいの?」
と見ると時間が、さっきリリーさんのお店を出た時間からそう経って無い
これは…ハクロウさんのお店に入った頃だろうか?
私達は顔を見合わせて
「え?でも確実に私達結構お店に居たよね…カメちゃん」
「うん、30分は居たはずだけど…だけど私時間見てないから…ハッキリとは言えないけど…」
「うわ!俺もう!あそこの店入るの怖いわ!」
「そうだね私も少し怖いよ、すうちゃんどうしたの?」
怖い事に気が付いた。
「私…今気が付いたんだけど…」
「え、何どうしたの?すうちゃん?」
「何だよ!」
「…お店の時計、みんなバラバラの時間だったでしょ?」
「ああ、そうだったね」
「それが何だよ?」
「じゃ…何で同じ時に音が鳴ったの?」
私の言葉にカメちゃんとうーちゃんが
「そう言われれば…なんでなんだろう…」
「そ、そういう風にセットしとけばいいだけだろ!」
「そんな事出来るのかな?…あんなに古そうな時計に?針の早さがバラバラなのに?そんなに精密な事出来るのかな?」
「……」
カメちゃんもうーちゃんも黙ってしまった。
私はしまったと
「あーでも!出来るにかもしれないね!うんうん!それに色んな時計面白かったしハクロウさんも優しかったし大丈夫だよね!」
大きな声で言うとうーちゃんも
「あ、あーそうだよな!面白かった!」
「うん…楽しかった。」
顔色の悪いカメちゃんも無理して乗ってくれた。
するとうーちゃんが
「なぁ…こんな辛気くさい話より、そろそろ昼飯にしようぜ俺腹へった!」
「…そうだね!私もお腹空いたうーちゃん何食べたい?」
カメちゃんとうーちゃんが喋ってる後ろで私は考えていた。
今思えばあの時に鳴り終わった時から違和感があった…
確かお店に入った時には
至るところから時計の針が刻む音がしていたはずなのに…
時計の音がしてから全ての音がやんだような?
私の気のせい?
そしてもう一度音が鳴ってからまた時計の音が聞こえるようになったような?
気のせい?
「…ちゃん?」
「おい!聞いてんのか!すう!」
私はハッとして顔を上げると心配そうにしてるカメちゃんと怒ってるうーちゃんがいた。
「え?何?どうしたの?」
聞くと
「どうしたの?体調が悪い?何処かで休む?」
「え、ううん!大丈夫だよ!」
「本当?」
「すうちゃんすうちゃん大丈夫?キノコ食べる?」
「うん、いらない!お腹空いてぼーとしてただけ」
心配させてしまった…
そう言えばキノコ居たんだっけ忘れてた。
「なんだよ、すうも腹へったなら!カメあそこ行こうぜ!」
「そうね、私もあそこがいいと思う!」
2人の言葉に
「あそこって何処なの?」
聞くと2人は楽しそうに
「行けば分かる!」
「うん、きっとすうちゃんも気に入ると思うよ、行こ?」
「えー!楽しみ!」
私はカメちゃんとうーちゃんと手を繋ぎ今から行くお店で頭が一杯で、さっき考えていた事を忘れてしまった。
引っ掛かった疑問はなんだっけ?
「カチカチ」
「ボーン!ボーン!」
「♪」
ハクロウが懐から動かなくなった懐中時計を取り出してパカリと開けた。
「……。」
あの時からこの懐中時計は時を刻まなくなってしまった。
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