恐怖の日

コユメ

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恐怖の日

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毎年ある月になると家に恐怖のお手紙が来る事に気が付いた。

そのお手紙を読みながら飼い主が壁に掛かっているカレンダーを覗きこみながら

「…ああ、もうそんな時期なのね…何時がいいかしら?」

俺も飼い主と一緒にカレンダーを見た。
カレンダーには4月と載っていた。

「?」

僕は何があるんだろうと首を傾げた。
それから数日後飼い主が

「ポチお散歩行こうか?」

「お散歩だ!」

と僕は元気良く家から出た。
そして飼い主はニッコリと笑い

「今日は車で行こうか!」

「車だ!」

と云う事は今日は楽しいドッグランだ!
僕は飼い主の言葉を信じて車に乗り込んだ!


それが悲劇の始まりだった…



車に乗り込み僕は外の景色を楽しんでいた。
しばらくしてもいつも行っているドッグランに着かない…なんで?
飼い主、道間違えているよと見ると飼い主の様子がおかしい…

「…今日は本当に天気良くて良かったねー?ポチ」

チラチラと僕を見る…
うちの飼い主の様子がおかしい…何か隠してる様な?

そう言えば…去年もこんな会話をしたような…
あれはいつだった?

飼い主はチラチラと僕を見てニコニコと笑ってる!

この笑いは覚えがある!

そして飼い主のポケットから見える美味しいおやつ!

これらで推理出来る事は!
僕の視界に

「狂犬病ワクチン接種会場」

と書かれた看板が!

「いやー!注射だ!」

「騙された!飼い主の嘘つき!」

「助けて!」

そして響き渡る仲間達の叫びと飼い主達の

「大丈夫!大丈夫だから!ほら!」

「おやつだよ!ほら、大丈夫だから!」

と飼い主の訳の分からない大丈夫という言葉!

全然大丈夫じゃない!

「この人達こわい!こわいよ!何か持ってる!」

「怖くないよ!ね?ほら見てぬいぐるみだよー!かわいいねー!見てごらん?」

知らない人間がぬいぐるみを持ってるけど!お前右手に持ってるの痛いやつだろう!と吠える仲間達
中には

「はい!終わったよ!偉いねー!」

「…え?今…何かしました?もう終わったの?私ぐらいになると、こんなの平気ですよ?ええ」

と悟りを開くまでに至った奴が居たり

「は!今あんた何した!私今チクッてしたよ!飼い主!あいつ私にチクッって!見た?飼い主見た?」

「あーうんうん!見たよ痛かったね?」

うなずく飼い主

「だよね!ほらここ!ここ!チクッとした!痛い!痛い!」


そんな様子を見ながら僕は思い出した。
もう二度と、この場所には足を踏み入れないと飼い主に言ったのに!

「!」

飼い主を見ると目を合わしてくれない!

「…だってしょうがないの義務なの、それに、これは貴方を守る為でもあるのよ?だから今年も頑張りましょうねポチ?」

義務でも怖い事には変わらないと僕は力いっぱい踏ん張った!
それを見た飼い主が

「ああ!もうこら!拒否柴しないで!」

そしていくら拒否しようが知らない人間からチクッとされる

そして終わると飼い主が

「良く頑張ったね!」

と褒めて美味しいおやつをくれる日

それが狂犬病ワクチン接種
僕はカレンダーの4月を心に刻んだ。
4月はチクってされる日だと!
絶対に騙されない!





動物病院からのお知らせ

狂犬病ワクチン接種の大事なお知らせです。

今迄、狂犬病ワクチン接種は4月1日から6月30日迄に狂犬病ワクチン接種をお願いしておりましたが
今年から通年となります。
いつでも接種出来る様になりましたのでいつでもご予約してください。
お待ちしております。

ニコニコ動物病院より




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