無垢・Age28【AV女優橘遥の憂鬱】

四色美美

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戦慄の真相

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 私は以前所属していたタレント事務所を訪ねていた。
街で偶然出会った親友に行ってみるように言われたからだった。
その人は大学の同期生で、かなり歳が離れた高校の大先輩だった。


切羽詰まった私が、深夜アルバイトチラシを見ていたら声を掛けられた。


その人がこの事務所を紹介してくれたから、私は大学まで行けたのだ。




 「その人は業界トップクラスの巨根で、ビキニを剥ぎ取った後バックからいきなり捩じ込まれたの。もう痛いなんてもんじゃなくて、思わず悲鳴を上げたけど止めてくれなかったの」

私の嫌味タラタラの告白を社長は無言で聞いていた。


「その後で残りの男性俳優に回されて、遣りたい放題……手錠が背凭れに回されて、しっかりチェーンを抑え付けられていたから逃げられなかったの」

私は少しふてくされていた。

なんでこんな話しをしなければいけないのか解らなかったからだ。


「でも、それで終わりじゃなかったの。その後でカメラマンにも……」


私はあの新宿のスタジオを思い出していた。


椅子から下ろされた後でうつ伏せ状態で束縛させられたあのクーラーで冷やされた床を。

其処には俳優達が脱いだズボンが散乱していた。


「監督が言ったの。『えっ、そんなに締め付けたんか?  そんだったら、一緒に遣らせてもらえば良かったな』って」

私はそっと社長の顔を見た。
社長は困惑しているようだった。


(当たり前だよね。アンタが監督に安全日なんか教えたからだよ。私が何をされるか解っていて……)

その時は全て社長のせいだと思っていたんだ。私のあれからの八年間も……


「その時はまだ椅子に束縛されたままで、『安全日か?  あぁ、だったらもう一回遣って出してぇ。コイツマジで凄いんだ。俺、あのままイキたかったんだ』って最初に遣った男性が言ったら、『だったら、早く遣れ。此処を借りられるのは後一時間ちょいだ』って言われて……」


安全日を出してみた。その言葉を聞いて社長がどんな反応をするのかが知りたかったからだ。でも社長は無言だった。
だから私はやはりそれを教えたのはやはり社長だと確信した。


「監督がそう言ったかと思うと、私の体はアイツ等の脱ぎ散らかせたズボンの上でに四つん這いにさせられたの。椅子の時は、腰を押し付けられる度に足の付け根が痛くてね。だから楽にはなったけど……。つまり全員が下を履いてないってことだって気付いて……」




 一瞬、よみがえった。

あの後で私はカメラマンに遣られたのだ。
又……
疼いていた。
社長の前で疼いていた。


「嫌だった。手錠を踏まれ、足首を片方ずつ抑え付けていたのが最初の三人だったから。つまり、監督に遣らせるためだと判っていたから。でも、身動きとれないの。それでも必死に腰を降って抵抗した。後で監督に言われたの。『まるで喜んでいる犬みたいだった』って。『だからもっと悦ばせてやろうと思った』って」




 その時私は覚悟を決めた。
カメラマンのことをを話そうと……
私が彼を愛した経緯を話そうと……

私はカメラマンを愛してるいる。でも、社長のせいで愛してもらえない女になったことを言いたくなったんだ。


「彼上手だった。『待った。先に俺から遣らせてくれ。頼む、誰かこのカメラ持っててくれ』って言ったんだ。だからすぐにカメラマンだと解ったの」

私は私をイカせたあの場面を話し始めた。


「でも、そう言うが早いか、グングン奥まで入れられた。私はお尻を振っていたの。嫌だ、嫌だって束縛されてる手を振り払おうとしたの。それが私に出来る最大限の抵抗だったから……。それでも強引に入って来たの。そして、膝を立てたままの腰で激しく揺さぶられたの。でもその後で感じたの。本当は優しい彼の行為を……。身体の中を通り抜け、一番奥の壁をリズミカルに叩かれてね。その時既に痛いのは卒業していて、初めて気持ちいいって思ったの」

そう……
私は確かにあの時、あのカメラマンにイカされていたのだ。

だから私は未だにあの時の行為が忘れられずに、疼いてくるのだ。

だから、どんなにイヤな撮影でも我慢出来たのだ。
彼が……
カメラマンが又私を犯してる。
と思いながら……

そんなこと出来るはずがないと解っている。
だってカメラマンは私の目の前で、私の横で撮影しているのだから……


「その時、『さっき、コイツの顔を見た時ゾクッとしたんだ。苦痛に喘ぐ表情はただ者じゃなかった。そうか、初めてだったんか?  だからあんなに拒絶しようとしていたんか?  そりゃそうだ。いきなり……、しかもあんなぶっといのを捩じ込まれたらヒイヒイ言いたくもなるよな。きっと彼処が千切れそうだったんだろ?』って言ったんだ。私は御託を並べたんだと思ったの。でもね違っていた。彼はその後二度と手出ししなくなったの。だって彼、カメラマンのくせに被写体を犯した訳だから言い訳してるつもりだったのね」




 あのバースデイプレゼンショーが、グラビアとAVの撮影だったことは社長も知っていると思い込み、あじあわされた苦痛の数々を赤裸々に告白していた。




 私はあのカメラマンを愛していた。
何時も傍で見守ってくれる彼を愛してしまっていたのだ。


でも……
もう愛してもらう資格もない。

監督に言われるままに遣られるだけの女など相手にもしてくれない。

そう思っていた。

幾ら監督命令だと言っても、素人相手に喘ぎ声を上げる女など愛せる訳がないのだ。


だから私は私に苦痛を与えた社長が許せなかったのだ。


「最初は拒否したのよ。あの三人で撮影は終わったはずだから……。彼よっぽど気持ち良かったのか、私を堪能していたの。その時私の中でイッたの。後にも先に彼だけだった……」

私は遂に告白していた。
そう……

後にも先に彼だけだったのだ。
私が受け入れた訳ではない。
それでも……
されだけが救いだったから。


「貴女、そのカメラマンを愛しているのね。でも良かったね。貴女の中で果てたのがその人だけで……。貴女はまだ誰にも汚されていない。私はそう思うよ」

社長のその思い遣りの込めた言葉が心に刺さった。
それでも私は社長が許せない。
許せる訳がないのだ。




 「案の定、次に交代したのは監督だったの。監督は『もっと力を入れろ。俺は気が短いんだ。みんなと同じ思いをさせないと後が怖いぞ』って言ったんだ。だから私は仕方なく、最大限の力を込めたの。その時に『あぁ、本当だ。マジに気持ちいい!!  コイツはいい拾い物をしたな』って言われた」


「拾い物!?」
社長はびっくりしたように私を見た。


「見せられたのは、私の両親の借用書だったの。私が『拾い物!?』って驚いからかな?  『何でもない。ホラ下っ腹に力が入ってないぞ、真面目に遣れ』監督は上手く誤魔化しながらも、私に最大級の持て成しを催促したの」


私のその言葉に社長は一瞬声を詰まらせた。



「監督は『いいか、訴えるなんて考えるな。此方にはお前さんの両親の借用書がある。お前さんの身体でそれを払って貰おうとしているだけだからな』って凄味を利かせて言い放ったの。だから私は監督に従うしかなかったの」


「嘘でしょ。だって貴女には借金なんて無いわ」


「えっ!?」
声を詰まらせた私を社長は優しく抱き締めた。




 「あの頃の貴女にあった借金は、大学の入学金だけよ。それも殆どモデルの仕事で完済してる。だから残りはホンの僅かなだったの。だって貴女は、高校生の時から二十歳近くまで仕事をしていたでしょう?」


「嘘……、私は二十歳の誕生日にグラビアの撮影で呼び出され、途中からAVの撮影に切り替わって生で遣らせたの。前にあった椅子に腕をがんじがらめに拘束されて、バックからデッカイの入れられた。じゃあ、あの屈辱は何?  何で私があんな目に合わなければならなかったの?」

私は泣いた。
涙も出なくなるほど泣いていた。

社長はそんな私の体を抱き締めてくれていた。




 「その時、『事務所から安全日だと聞いている。だから生で遣らせたんだ』って言ったんだ。『何にも付けずに女を犯すのは最高だろう』って、俳優陣に向かって言ったんだ」


「待って、ウチから安全日だって聞いたって。そんなこと教えるはずがない。あっ、そうだ。確か貴女が付けていた基礎体温表が無くなっていたわ。監督はきっとそれをここから盗んだのよ。そうに決まっているわ」


「あっだから『いい拾い物をした』って言ったの」


「それに違いないわ。ご両親の完済した借金の借用書を悪用したのよ。あの監督なら、ウチが基礎体温表を記入させているって知っていてもおかしくないわ」

そう言いながら社長はタレントの基礎体温表を出してきた。


「これでね。女性の微妙な体調が判るの。生理前に痛くなったり、あ、男女関係盛んな娘には安全日を教えたりするの。でも、決して貴女に記入させた目的はそのためではないわ」

社長は私の体を思いっきり抱いてくれた。




 「私が迂闊だった。貴女のご両親の借用書はとっくに始末したものだと思い込んでいたわ。貴女をこんな目に逢わせた張本人は私かも知れない……」

そう言いながら、パソコンで検索を始めた。

それは時効の項目だった。


「ごめんなさい」
私の言葉で社長はキーボードを叩くのを辞めた。


「私は社長に売られたと思い込んで……、社長を恨んでいました」


「謝らなくていけないのは私よ。本当にごめんなさい。一時の感情だけで、思い込んでいたから」

頭を下げた私に向かって、社長が声を掛ける。

でもその目はパソコンに注がれていた。


「ごめんね。許してなんて今更言えないけど。貴方の心を救いたいの」

社長はそう言いながら泣いていた。




 私も泣いていた。
全て……目の前にいるこの社長のせいで、AVをさせられて来たのだと思っていたからだった。


「訴えよう。強姦罪と窃盗罪。それから詐欺罪でも。私は貴女が自ら監督の元へ行ったのだと思っていたの。だってタイトルが、戦慄!!  橘遥処女を売る。だったからね。此処にいたみんなも……。思い込みって恐いわね」

社長が助けてくれなかったのは、戦慄があまりにも強烈で私が小遣い稼ぎで監督に近付いたのだと思い込んでいたからだったのだ。


「殺人罪以外は、時効があるの。今調べているからね。あっ、駄目だ。窃盗罪は七年だ。ホラウチから資料を盗んだから窃盗罪でもと思ったんだけどね。じゃあ、次は強姦罪。あっ、これも七年だ。確かタイトルがバースデイプレゼンショーだったわね。それって本当に二十歳の誕生日だったのね?」


「はい、それが何か?」


「二十歳以上は、児童福祉法とか、未成年者保護法の対象にならないのよ。あの監督はそれまで狙っていたわけよ。あの人本当に最悪だ」


「もしかしたら、私を育児放棄したと言う産みの親まで調べてたのかな?」


「そうかも知れないわ。きっと誰にも訴えられないと思ったのね」


「あっそうだ。『大丈夫だ。コイツは今日二十歳の誕生日なのさ。だからこの日を待っていたんだ』って監督が言ったら、『こりゃとんだバースデイプレゼントだ。俺達はただ、後腐れのない生粋の女子大生と生で遣らせてくれって言うから来ただけなのに』って男性俳優が言ってた。それって、私の親のことだったのかな?」


「後腐れがないか……?  本当に質が悪い。今更ながらに腹が立ってきた。でも、ごめんね。私が……、全部私が悪いの」

社長は頻りに私に謝っていた。


「あぁ、駄目だ。詐欺罪も七年だって。あれっ、ちょっと待って。詐欺罪は、騙されたことが修了時点かも知れない。アナタの場合悪質だから何とかなるかも知れない」


「あっ、民事は二十年だって。でも、犯人知って三年か?  私達は今さっき知った。つまり、民事裁判なら起こせるってことよ。あんな人をのさばらせておく訳にはいかない。今すぐ初めましょう」

社長はそう言ってくれた。




 「あっ、そうだ。ねえ、又モデルやらない?   ホラ、此処に貴女を紹介してくれた彼女ね。今度独立することになったの。どう?」

私は社長の言葉が嬉しくて頷いていた。




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