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山あり谷あり、平坦あり?

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 森から新たに木を持ってきて短弓の制作に勤しむ。今度はそんなに時間をかけずに作ることが出来た。まだグローブが出来ていないから試し打ちは行っていないのだが、まずまずの出来だろう。
 また変なところがあれば手直しを加えればいい。


 今のところは順調に事が進んでいる。良い傾向だろう。あとは、弓以外の武器についても着手していかなければならない。



 また本を読み漁って調べるとしよう。まだまだ読まなければならない本はあるのだから。


*    *    *


 記憶の海から意識を浮上させる。真っ暗な部屋の中、窓から差し込む人工的な街灯の光で我に返った。今日中に新しい武器について考えなくては。
 頭を振って眠く落ちそうな眼を擦り、眠気を払った。
 弓を作ったのは一ヶ月ほど前の話。短弓もそこそこ扱えるようになった。弓に関してはまだやりたいことがいくつかある。毒矢や複合弓もまだ作っていないから、そちらにも手をつけたい。だが、まだそれに必要な知識を持っていない。まだまだ調べることが多そうだ。


 そして今日は、弓以外の武器の制作を始めようと思っている。弓での攻撃範囲は中距離から遠距離くらいだろう。その場合、間合いに入られた時の対策をしなくてはならない。
 たとえ毒矢などで動けなくさせても、身体にムチを打って立ち向かってくるような魔物などもいるだろう。そんな時に何も手立てがないなんて危なすぎる。


 なるべく小柄で殺傷能力が高く、咄嗟の時にすぐに出せるほどのものでなくてはいけない。
 今日、母がキッチンに居た時に見かけたものとかは使えないだろうか。生活する上で必要なものだが、使用用途を間違えればただの殺人の道具としても使えてしまうもの。包丁の鋭利さや持ち運びのしやすさは、素晴らしいと思う。


 小柄で殺傷能力が高く、すぐ取りだし使えるものとしてはとても良い。比較的、材料となる物も安価で手に入る。作ろうと思えば、作れてしまうものだ。
 セラミックで作られた包丁はとても軽いやすく、昔の包丁と違って錆びることもない。その反面、衝撃を加えるとすぐに刃がかけてしまうという難点がある。そこだけ気をつければ、使い勝手のいいものだろう。


「包丁……。包丁か……もう少し小さくしてもいいなぁ」


 確かに持ち運ぶのにはいいかもしれない。
 けど、何本も持つとなったらもう一回り小さい方がいいだろう。
 明日にでもセラミック素材を買いに行って、自分で削ってみるか。サイズはそこから考えればいいだろう。


「あっ……弓矢の毒をナイフに付けるのもいいかもな」


 明日は毒についての調べものをするとしよう。
 確か、毒草などの本があったはず。入手しやすい植物から毒を作ってみればいい。
 明日からまた忙しくなるな。
 興奮で踊り出しそうなのを抑えつつ、明日すぐに行動に移せるように、やるべきことを紙に書いて予定を組む。時間はいくらでもあるのだが、今のこの興奮が冷めることがないようにしたい。


 次の段階へと進むことに胸を躍らせしながらその日は眠りについた。


 次の日、朝食を食べてすぐに書庫へとこもり、昨晩考えていた毒の作成方法を探るべく、関連書籍を全て探し出した。
 6冊分の薬草や毒草、毒キノコや菌。魚や昆虫等の本を見つけた。そして、参考になるかは不明だが、本棚の所々に置いてあった推理小説なども持ってきていた。
 どれもタイトルには殺人事件や密室などが書かれているもの。あらすじには毒殺などが書かれていたので、イメージ向上の為の資料として使おうとしたものだ。


 今ではもう見かけることの無いものばかりの本である。こんな手の込んだことをするよりも、魔法を一つ放つだけで人間でも魔物でも転がる。回りくどいことをせずとも良いのだ。
 昔の時代にはなかったものが、現代では普及している。昔の人達が憧れたような世界が今なのだ。当時の人達が知ったらどう思うのだろうか。数百年後には魔法が普及していて、日常的に使われているものだと知ったら。


 俺だったらきっと、前世の自分に期待する!
 なんて冗談言いながらも、今生きている人生を生き抜くんだろうなぁ。
 魔力がないからこその考えなのかは知れないけれど。


「……とりあえず読むか」


 机の上に置いた本を一冊手に取り、表紙をめくる。サルでもわかる毒草の心得。そんな見出しの本だった。サルという動物は既に絶滅危惧種指定されている。ゴブリンやオークに食われたことにより、数を減らしていった。今では国が保護しているのだが、それも数匹しかいない。サル達の繁殖に期待するしかないと、誰かが言っていた気がする。


 それにサルは賢い動物とされていたはずだ。そんなサルにもわかるという本。サルよりも劣る人間がこんな本を読んでも何も得られないのでは?という疑問は打ち払った。多分、理解出来るはずだ。


 本の説明と目次部分を読み終わると、本編へと突入。長い文章と色のついた写真がページいっぱいに広がっていた。
 一つ一つ、漏らすことのないように読み進める。
 本を読み終えた時には沢山の知識がつくようにと信じて。
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