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好き。嫌い。
結衣side
しおりを挟む走って飛び出してしまった…なんて失礼なことをしてしまったんだろう…。
はぁ……とため息をついていると後ろから近藤くんが追いかけてきていた。
近「矢神!」
結「近藤くん……」
なんか今は誰の顔見せ見たくなかった。
でも近藤くんは2度も私のこと助けてくれたんだもんね。
近「矢神大丈夫?」
結「うん…心配かけてごめんね。」
近「でもフラついてる…」
結「大丈夫!私良く熱出すから慣れてるよ!」
私は嘘をついた。
本当は慣れているわけない。
慣れない。
だって辛いもん。
体も……心も……。
一緒にいればどんどん好きになってしまって…。
でも私たちは片親だけでもちゃんと血が繋がっている兄妹で…。
分かってるはずなのに気持ちを抑えられない。
今までたくさん我慢してきた。
それなのに大雅兄のことだけは……。
結「全く…情けないよね!すぐ熱出すし…よく怪我するし…最近なんて本当に色んな人に迷惑かけて……」
私は笑顔でそう言った。
笑っていないと涙が出てきちゃいそうだから。
近「…そんなことない。俺、矢神はすげーと思ってるよ!」
結「え?」
近「色々頑張ってるなーとか思うし、頭もいいし、運動神経もいいし!それに可愛い…と思うし。」
可愛い?私が?
私のことを褒めてくれる近藤くんだけど…
私は何かが引っかかっていた。
そして…その頃には私の体力は限界を迎えつつあった。
どんどんと上がってくる体温に段々と耐えきれなくなる体
意識が遠のいていくのがハッキリと分かった。
近「矢神!」
そして私が倒れそうになった瞬間
体がフワッと軽くなった。
「どんだけ探したと思ってるんだよ。」
その声を聞いた瞬間ジワッと涙が溢れてくるのを感じた。
ほんのりと香る香水の匂い。
鍛えられたであろうゴツゴツした体。
大雅兄だ……。
なんでいつも助けてくれるのは大雅兄なんだろう。
なんでいつも弱い時に駆けつけてくれるんだろう。
嫌なのに…気持ちが溢れておかしくなりそうだ。
私はそのまま意識を失った。
目が覚めると家に帰ってきていた。
琉「起きたか。」
結「琉生お兄ちゃん…なんでっ」
目の前にいたのは今夜は夜勤でいないはずの琉生お兄ちゃんだった。
琉「太陽が仕事を代わってくれたんだ。」
結「太陽さんが…」
また迷惑をかけちゃったな。
琉「体はどうだ。」
結「だいぶ軽くなりました。」
琉「そうか。じゃあまた後で様子を見にくるから今はゆっくり休むといい。」
結「うん。ありがとう。」
琉生お兄ちゃんは部屋を出て行った。
そして先ほどから部屋にいた大雅兄と2人きりの状況になってしまった。
大「結衣…まだ俺のこと怒ってるか?」
結「また助けられちゃったね…ありがとう。」
でも体が少し楽になってきたからか私の心も少し落ち着きつつあった。
もう…いいや。
もういい。
私は彼を諦めないといけない。
すると突然鳴り出した大雅兄の携帯に私の体はびくりとした。
大「ちょっとごめん。」
そう言って電話に出た大雅兄。
大「もしもし。なんだよ、なるみかよ。今取り込み中だからまたかけ直すよ。」
大雅兄はそう言うと電話を切った。
また…なるみさん。
私の心はチクリと傷んだのだった。
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