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夏休み
大雅side
しおりを挟む帰宅して早々にあとを追っかけ回してくる結衣。
でも想像していたよりは控えめ。
ゴールデンウィークの方が酷かった気がする。
あいつなりに気を遣ってくれてるのか、少しは大人になってきたのか…。
結「ねぇねぇ、大雅兄。」
大「んー?」
俺が返事をして視線を合わせると結衣はニコッと笑顔になった。
そして
結「なんでもなーい!私、そろそろ部屋行くね!おやすみ!」
と言うと、そそくさと部屋へ行ってしまった。
どうせ、あとで俺の部屋に眠れなくなったぁ~とか言ってくるんだろう。
と思っていたけど、その日の夜は来なかった。
次の日。
結「大雅兄おはよう!朝ごはん出来てるからね!」
朝起きてキッチンへ顔を出すと以前のように結衣は朝食を作っていた。
一人暮らしを初めてから朝は食べないことが増えたから朝食を食べる事自体が久しぶり。
大「いただきます。」
結「どーぞ!召し上がれ!じゃあ私部屋に行って宿題するね!」
大「結衣は飯食ったのか?」
結「え?う、うん!食べたよ!」
そう言いながらも目を逸らす結衣。
この様子食べてないな…。
結「じゃあ宿題するからまたあとでね!」
大「あ、おい!」
俺がそう呼び止めても結衣はそそくさと部屋へ行ってしまった。
……怪しい。
朝食を食べ終えた俺は急いで結衣の部屋へ向かった。
大「結衣、入るぞ。」
結「た、大雅兄!!」
そう驚いた顔をすると結衣は何かを隠した。
大「なに隠したの?」
結「なんでもない!!」
大「見せろよ。」
結「これは…本当にダメ!!」
そう言っている結衣から奪うと…
大「夏の…デートスポット?」
結衣が持っていたのはそう書かれていた雑誌だった。
結「……大雅兄と行きたくて。」
大「バカか、お前。」
俺がそう言うと結衣は突然泣き出した。
大「な、なんで泣くんだよ!!」
結「だって……」
大「じゃあ明日行くか!」
結「え?」
大「ダメなのか?」
結「……明後日がいい。」
大「なんで?」
結「なんでも。」
大「じゃあ…この前話してたパンケーキ食い行くか?」
結「やだ。ケーキがいい。」
大「パンケーキもケーキだろ?」
結「違うの。いちごの乗ったショートケーキがいいの。」
結衣がここまで言うのは珍しい。
いつもなら喜んで『うん!』って言いそうだけど……
大「なら、行くか!でも…デートスポットは俺が考えるから、お前は何も考えんな。」
本当にバカなやつだ。
男にリードさせろっての。
にしても明日行けねぇなんて…なんか予定でもあんのか?
そう思いつつも俺は結衣と行くデートのことで頭がいっぱいだった。
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