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一緒に花火が見たい
結衣side
しおりを挟む私は急いでトイレに向かった。
そしてこの家の広いトイレの片隅に1人しゃがみ込み頬に手を当てた。
結「顔が…熱い…。」
大雅兄のあの反応……絶対聞かれてた。
恥ずかしい……。
そもそも家にいるのに大雅兄が聞いてない保証なんてない。
それなのにあんなにペラペラと……。
何やってるんだ私。
私は大きくため息を吐いた。
大好き…だなんて。
きっとそんな軽々しく言うものじゃない。
それからすぐに用を済ませ屋根裏部屋に戻ると真央ちゃん、紗希ちゃんと一緒に花火をみた。
少し遠く見える花火は、テレビで見るよりも小さいが、私にとってはとてつもなく大きく見える。
出来ればもう少し近くで見たかったけど…
私がそう思うのは真央ちゃん紗希ちゃんに失礼な気がする。
私の体のせいで家から見ることになってしまったから…。
そんな事を考えていると私を横目に見た真央ちゃんが口を開いた。
真「なぁ結衣。うちさ、花火なんて近くで見るもんだって思ったんだ。近くで見るあの迫力を楽しむのが花火なんだってさ。」
結「うん。…そうだよね。」
真「でも家で見るのもいいな。煙たくもないし、外は暑いけど室内ならそれもない。わざわざ遠くに駆けつける必要もない。」
結「真央ちゃん…。」
紗「うちも思った。それにやっぱり…無理して外で見るよりも友達とみんなでみれる方が楽しいしな!!」
そう言いながら真央ちゃん紗希ちゃんは私に微笑んだ。
その瞬間、私の目には涙が溢れ出した。
……これが。友達…。
私にはずっとなかった存在。
幸せ。本当に今とても幸せ。
私のせいで花火大会行けなかったのに。
私のせいでみんなに迷惑かけているのに。
どうしてみんなこんなにも優しくしてくれるんだろう…。
真「泣くなよ!結衣!!」
紗「そうだよ!花火みれなくなるぞ!?」
結「……幸せ。私…今とっても。…こんなに優しい友達が居てくれて…こんな温かい人たちに囲まれて…。私はきっと世界一果報者だよ。」
私はそう言いながら泣き続けた。
真「大袈裟だな。」
紗「マジそれな。」
真央ちゃん紗希ちゃんは私を挟むように立ち、背中に手を当ててくれて3人でその後も花火をみた。
真「花火終わっちまったな。」
結「そうだね。」
紗「これからパーッと朝まで飲みますか!」
そう言うと紗希ちゃんはさっき大雅兄が買ってきてくれたコーラのペットボトルをプシュリと開けた。
そこから私たちの第二のパーティーが始まったのだ。
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