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行きましょう、坊ちゃま!
忙しい日々
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はじめての薬草採取から、1年。
俺は一番安い剣を手にいれ、簡単な討伐依頼も出来るようになり、ちょっぴり稼げるようになってきた。
「ねえ、ササキ。
冒険って楽しい?」
「うん、まあまあね」
ダイキことモートン坊っちゃまは朝学校へ行き、戻れば宿の手伝いをして、宿代の節約に貢献してくれた。
パーム亭の旦那さんと奥さんも、坊ちゃまの事を何かと気にかけてくれている。
だけどやっぱり、留守番は寂しいみたい。
「…僕も一緒に行きたいな」
「分かってる、13歳になったらね」
冒険者ランクも順調に上がって、この前Cになった。
だけど「ここからが大変なんだ。ぶっちゃけCランクまでは真面目にやってれば大体上がれる」…って、いつも聞かされてる。
一人で上がれるのはここまでだぞ、って。
だから、誰かのパーティーに入れてもらわなきゃいけないんだけど…
俺みたいなしょぼい装備の奴を入れてくれるとこ、無いしな。
けど、俺、どうしても坊ちゃまにプレゼントしたいものがあって、金貯めてる最中だし。
意外と学校ってお金かかるし。
聞いてよ!
6~12歳までは学校は無料だっていうからさ、そんなにお金いらないと思うじゃん。
けど、給食費や交通費や文具代が馬鹿にならないんだよ!
さすがにお屋敷から持ってきた文房具は身バレするから使えないし…
あ、売るのは最終手段だから。
足が付いちゃって、この街にいられなくなるかもしれないから。
だからまだ、それは使えないっていうか。
それにさ、やっぱ坊ちゃんぐらいの歳って成長期なのな。
どんどん大きくなってくから、洋服代が結構…古着屋で売ったり買ったりしながら、やりくりしてるけど…
破れたり擦り切れたりしたとこは補修してさ。
実は俺、それなりに裁縫は出来るんだ。
今生の方の実家が仕立て屋だからさ、覚えたの。
だから最初は、服飾関係の商売をやってる家へ就職しようと思ってたんだ。
だけど求人票に「レイクリッド家」の文字を見た時、前世がブワッと蘇って…。
そんで、子どもの時のクリムト様ってどんなだろうと思って記念で面接を受けたら、合格しちゃって。
あーあ、ほんと、出来心って怖…
・・・
「…、…ねえ、ササキ?」
「えっ、ああ、何だ?ダイキ」
「また勉強見てもらっていい?」
「勿論!」
やっべ、ちょっとぼーっとしてた。
変な回想してねーで、飯食わないと…。
「ダイキに負けないように、俺も頑張らないとな!」
「…ササキはいつも頑張ってるじゃん」
「はは、ありがとなダイキ」
「…だから、今日もシャワー…」
「お、背中流してくれるのか?ありがと」
さすが坊ちゃま、元々平民だっただけの事はある。
一人でお風呂どころか、俺を労ってくれるまである。
「こんな可愛い弟がいるなんて、俺って幸せ者だな!」
「ほんとう?」
「本当だよ、いつもありがとな」
「うん!」
俺は坊ちゃまの頭をぐりぐりと撫でる。
弟とか妹とか、常にカワイイと思えるタイプなんだな、俺。
別にブラコンでもシスコンでも無いけど。
「僕も、ササキがいて…良かった」
「そっかそっか」
真っ赤になってそんな事を言う坊ちゃまを見ると、連れ出して良かったなって思う。
飯を食いながら考える。
つか、あの家にいたまま成長してたとしたら、クリムト様に「セイなる呪い」をかけるだけじゃ済まなかったと思うし…
だからきっと、あのゲームが始まる前のシナリオが、多分、俺が考えるに、こうなんだと思うんだよね。
【モートンは兄の助けを借りて家を出た。
そうやってずっと平民暮らしをしていたから、16歳で家に戻った時には貴族ばかりの学校に馴染めなくなってて、引きこもりになった…】
その「兄の助け」の一つが、俺。
成人する前の子が一人で家を出たら速攻詰んじゃうもん、当然だわな…
あ、公式からは一切そういうの無いです。
だって「腐朽の迷作」だし。
「…ふ~、ごちそうさまでした、っと」
「ササキ、ぼく食器洗い手伝ってくる…」
「うん、行こ!
ちゃちゃっと終わらして、勉強、勉強!」
ゲームの中で、坊ちゃまが不幸になる話は無い。
だけど、幸せになる話も無い。
つまり坊ちゃまの未来は不確定だ。
だから、どんな未来だろうが生き抜けるようになってもらわないと…。
そんで、俺も手に職つけないとな!
ゲームにそれらしい人間は出て来ないんだからさ!
ちくしょう!!
俺は一番安い剣を手にいれ、簡単な討伐依頼も出来るようになり、ちょっぴり稼げるようになってきた。
「ねえ、ササキ。
冒険って楽しい?」
「うん、まあまあね」
ダイキことモートン坊っちゃまは朝学校へ行き、戻れば宿の手伝いをして、宿代の節約に貢献してくれた。
パーム亭の旦那さんと奥さんも、坊ちゃまの事を何かと気にかけてくれている。
だけどやっぱり、留守番は寂しいみたい。
「…僕も一緒に行きたいな」
「分かってる、13歳になったらね」
冒険者ランクも順調に上がって、この前Cになった。
だけど「ここからが大変なんだ。ぶっちゃけCランクまでは真面目にやってれば大体上がれる」…って、いつも聞かされてる。
一人で上がれるのはここまでだぞ、って。
だから、誰かのパーティーに入れてもらわなきゃいけないんだけど…
俺みたいなしょぼい装備の奴を入れてくれるとこ、無いしな。
けど、俺、どうしても坊ちゃまにプレゼントしたいものがあって、金貯めてる最中だし。
意外と学校ってお金かかるし。
聞いてよ!
6~12歳までは学校は無料だっていうからさ、そんなにお金いらないと思うじゃん。
けど、給食費や交通費や文具代が馬鹿にならないんだよ!
さすがにお屋敷から持ってきた文房具は身バレするから使えないし…
あ、売るのは最終手段だから。
足が付いちゃって、この街にいられなくなるかもしれないから。
だからまだ、それは使えないっていうか。
それにさ、やっぱ坊ちゃんぐらいの歳って成長期なのな。
どんどん大きくなってくから、洋服代が結構…古着屋で売ったり買ったりしながら、やりくりしてるけど…
破れたり擦り切れたりしたとこは補修してさ。
実は俺、それなりに裁縫は出来るんだ。
今生の方の実家が仕立て屋だからさ、覚えたの。
だから最初は、服飾関係の商売をやってる家へ就職しようと思ってたんだ。
だけど求人票に「レイクリッド家」の文字を見た時、前世がブワッと蘇って…。
そんで、子どもの時のクリムト様ってどんなだろうと思って記念で面接を受けたら、合格しちゃって。
あーあ、ほんと、出来心って怖…
・・・
「…、…ねえ、ササキ?」
「えっ、ああ、何だ?ダイキ」
「また勉強見てもらっていい?」
「勿論!」
やっべ、ちょっとぼーっとしてた。
変な回想してねーで、飯食わないと…。
「ダイキに負けないように、俺も頑張らないとな!」
「…ササキはいつも頑張ってるじゃん」
「はは、ありがとなダイキ」
「…だから、今日もシャワー…」
「お、背中流してくれるのか?ありがと」
さすが坊ちゃま、元々平民だっただけの事はある。
一人でお風呂どころか、俺を労ってくれるまである。
「こんな可愛い弟がいるなんて、俺って幸せ者だな!」
「ほんとう?」
「本当だよ、いつもありがとな」
「うん!」
俺は坊ちゃまの頭をぐりぐりと撫でる。
弟とか妹とか、常にカワイイと思えるタイプなんだな、俺。
別にブラコンでもシスコンでも無いけど。
「僕も、ササキがいて…良かった」
「そっかそっか」
真っ赤になってそんな事を言う坊ちゃまを見ると、連れ出して良かったなって思う。
飯を食いながら考える。
つか、あの家にいたまま成長してたとしたら、クリムト様に「セイなる呪い」をかけるだけじゃ済まなかったと思うし…
だからきっと、あのゲームが始まる前のシナリオが、多分、俺が考えるに、こうなんだと思うんだよね。
【モートンは兄の助けを借りて家を出た。
そうやってずっと平民暮らしをしていたから、16歳で家に戻った時には貴族ばかりの学校に馴染めなくなってて、引きこもりになった…】
その「兄の助け」の一つが、俺。
成人する前の子が一人で家を出たら速攻詰んじゃうもん、当然だわな…
あ、公式からは一切そういうの無いです。
だって「腐朽の迷作」だし。
「…ふ~、ごちそうさまでした、っと」
「ササキ、ぼく食器洗い手伝ってくる…」
「うん、行こ!
ちゃちゃっと終わらして、勉強、勉強!」
ゲームの中で、坊ちゃまが不幸になる話は無い。
だけど、幸せになる話も無い。
つまり坊ちゃまの未来は不確定だ。
だから、どんな未来だろうが生き抜けるようになってもらわないと…。
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ちくしょう!!
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