当て馬にも、ワンチャンあってしかるべき!

紫蘇

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学園3年目

師匠はいつも忙しい ~アレク視点~

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未だに慣れない早起きをして、今日も「出勤」。
師匠の住んでる第12寮へゴー。

春休みに王宮で遊びまわっていたら突然謁見室に呼び出されて、親父たちと一緒に戦々恐々、御前に雁首揃えて出たところ、頂いちまったのは「次期国王正室付き官吏」の内示だった。

何じゃそれ、と思ったよね。

だから殿下にどういうことなのか聞いたら、今の「ルース師匠の付き人」って立場を国王陛下が認めるってことだ、って。
でも王命だから給料くれるっていうし、逆らう理由も無いしで、ありがたく拝命したんだ。
親父たちもすげー喜んじゃってさ、頑張れよって。
だから今まで以上にちゃんとやらなきゃ、って…

…………仕事の内容も知らないまんま。

まあ「付き人」っていうくらいだし、とりあえず師匠にくっついて回っとけばいいだろってことで、朝は寮まで迎えに行って、殿下にエスコートされて歩く師匠の後ろにくっついていくことにしたんだ。
殿下からも「俺がずっと一緒にいるわけにはいかないから頼むぞ」って言われたんだけど、師匠の何を頼まれればいいんだか分かんなくてさ。

だって魔法の腕はトップクラスだし…まあ運動神経は悪いけど、魔法が効かない人間なんていないし、そもそも影の護衛はてんこ盛りだし、俺の出番なんて無くね?と思ったんだけど…

実はやることが山盛りありやがった。



師匠はとにかくみんなから話しかけられる。

「ルース、この前作った腕輪の事なんだけど」
「ルース、今晩も魔法陣の実験しようぜ」
「ルース、意思疎通できそうな魔生物の件だけど」
「ルース、光属性の付与というのは無いのか」
「ルース先生、スライムの進化についてお話が」
「ルースさん、建築家の方が明後日お越しに」
「ルース、建物たてるの魔道具、考えるしよう」
「ルース、クラッカーの上に乗せる香りバターの種類を増やしたいんだが」

これはいいんだ。
もう師匠がかかわっちまったやつだから。
困ったのはこれ以外のやつ。

「ルース、今度うちの研究室に遊びに来ないか」

これだよ。

「あーすんません、先に俺を通して貰えます?スケジュール調整して、また連絡しますんで」
「あ、ああ、そうなのか…じゃあ「言語学研究室」で予約を…できるだけ早くだぞ!」
「あっ、コスモス殿!宗教史学研究室は…」
「えーと、宗教史…は、来週の5の日だって連絡したっしょ?「自然工学」の後行くって」
「学会が近いんだ、もう少し早くならんか!?」
「無理っす。
 冒険者ギルドとの会合に、スライム飼育の応募者選定に、セリンセ商会との会食に、さっき建築の先生との面談も入ったんすから…
 まあ、聞くだけ聞いてはみますけど」
「頼む!!何時なんじでもいいから!」

そこらじゅうの研究室がやたら声かけてくるのを阻止して、ちゃんと今関わってる研究とか事案の邪魔にならないようにスケジュールを管理するんだ。

あーあ、手帳を持ち歩くなんて俺のキャラじゃなかったのになあ。

最初は「師匠が思いついたあれこれ」をメモっとくだけの手帳だったのが、いつの間にかそれ以外にもメモることが増えて増えて…

「コスモス殿、言語の後で良いから「国際経済学」も入れてくれないか」
「はいはい…「国際経済学」ぅ?」
「次の正室殿下にお願いしたいことが…ほら、ご兄弟が色んな国の王家に嫁がれただろう、それで…」
「待ってください?まだ正式に発表されては…」
「だから、今から頼んでおけば、発表後にうちの番が来るだろ?」
「あ~、そういうことっすね、じゃあその予定で…」

最近こういうの多いんだよな。
外交とか国際とか付く研究室の…って、あれ?
国際経済学って、学園にあったっけ?

「な、まさか、学外…侵入者じゃねーか!」
「しーっ!人聞きの悪い!!
 ……これ、連絡先!手紙、待ってるから!」

何この名刺。
王都国立大学…って、俺でも知ってるトコじゃん!
何突撃してきてんだよ!こっわ!!
まあ「影」さん達が許したんなら悪い奴じゃ…

ないですよね?ですよね?…はい、身元OKっすね。
影さん達も目でそう言ってるし大丈夫、っと。


なあ、ところでさ。

付き人の仕事って、これで合ってる?
俺の想像してたやつと違うんだけど…。

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