当て馬にも、ワンチャンあってしかるべき!

紫蘇

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学園3年目

新年会

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時間は午後になったばかり。
色街の殆どがまだ営業時間前だというのに、街の中心にあるレストランには何というか…まあ、前世で言うところのヤクザっぽい人々が集まっていた。

王都と学園都市の間にある色街だから、王都の色街からは当然、各都市の色街の代表が一堂に会するこの「新年会」。
今年はここに、俺と殿下、そしてユーフォルビアの閨技術の全てを知り、実践経験も豊富な「執事」リチャードと「庭師」トリエステも参加する…

…と、偉そうに言ってみたものの。

「…緊張、しますね」
「大丈夫だよ、頑張って準備、してきたし」
「ははははい」

こんな緊張感あるプレゼン、したこと無い。
しくじったら最後「この日を境に、人々が彼らの姿を見ることは無かった」…ってなるやつじゃね?
俺と執事と庭師のトリオが完全に縮み上がっている横で、殿下は堂々たる佇まいで言った。

「おい、何をコソコソしている。さっさと入るぞ」

何で殿下は平気なんだ…怖いから腕に掴まっとこ。

「…どうした、ルース」
「虎の威を借る狐のスタイルです」

何とでも言うがいい!
怖いもんは怖いんじゃ!!

***

結果から言うと、プレゼンは成功だった。

「ユーフォルビア」の名に喰い付かない色街関係者はいない、という元締めさんの言葉は本当だった。

新年会が始まってすぐに話を聞かせろと言われ、俺が大体の説明をする傍ら、細かい技の説明については執事と庭師のコンビが補足してくれる。

テクニックやサービスの話を中心に、公衆衛生の話や、病気に対する知識の話、娼夫を引退した人たちの職の話なんかを交えれば、どれも真剣に聞いてくれた。

「なるほど、サービスに風呂を取り入れて、不潔な客を減らす、と…。それなら揉めずに済むな」
「この椅子を使えば洗いたい所も洗えてサービスにもなる…シャワー程度の施設があれば出来るか」
「技を教えてもらうついでに病気予防についても教えて貰えるんならありがたいな」
「生ゴミ処理のためにスライムを飼う…そしてその魔石が金になる、それで元娼夫の雇先も増える…か」
「いや「縄師」という職も素晴らしい、縛り方を知らずにやるから怪我をする…当然のことでしたが目から鱗が落ちましたよ」
「案内所というのも新しい…これも元娼夫の職場に、ですか?ここまで考えてくださるとは」
「それにより、争うのではなく棲み分けることが可能になるんだな…確かに見た目の好みやサービスの内容が違えば客も変わってくる」
「体で体を洗う…こいつは流行るかもしれん」
「湯舟の中でヤる以外にも風呂が使えるなら、もう少し風呂のある部屋を増やしても…」
「しかし、このサウナ…というものは、いまいちサービスと結びつかんのですが、何なので?」

うん、サウナだけ不評。
いまいち健康増進効果が伝わらず…残念。

ちなみに、一部貴族の横暴については、殿下が
「貴族の不届きな行為については直接王宮へ届け出られるよう、専用の窓口を用意した」
と言っただけで全員が「ははー!!」ってなった。
ヤバい名簿をまだまだ充実させる気だ…怖え。

「お疲れ様です、ルース様」
「あっ、支配人さん…こちらこそ、根回し頂いてて助かりました、ありがとうございます」
「ユーフォルビアの性技…本当にあったんですね」
「ええ…そのうち、ちゃんと編纂して皆さんが読みやすいような形で残せたら…と。
 また、増えるかもしれませんし」

読破して気づいた。
玩具を使ったプレイが1つもないことに。

「どうやら、代々の当主にはあれを書き残す義務があるみたいで…。父の分もまだですし、俺もそのうち書くことになると思いますしね」

あーでも玩具プレイかー。
ハードル高いわぁ。

殿下をちらりと見る。

「ん?どうした」
「あ、いや、何でもないです」

知られたら大変なことが起きる…

確実に。

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