当て馬にも、ワンチャンあってしかるべき!

紫蘇

文字の大きさ
210 / 586
学園3年目

婚前旅行 6

しおりを挟む
兄と使節団にくっついて王宮に行き、シャラパール国王(優しそうなおじさまだった)にご挨拶申し上げたりささやかな歓待の宴があったりした次の日の早朝、俺たちは熱気球の研究所へ向かった。
砂漠地帯の入口、街から大分外れた場所にあるここで、縫製や魔道具の技術者さんたちが熱気球の作製にいそしんでいる。

「ルースの言ってたの、熱気球よ!」
「おおー、すごい!出来てる!」
「温かいする空気、上に上がる…すごいね、こんな浮くのびっくりでした」

ミニチュアの実験用気球が未だに降りてこないらしく…魔道具1個損したね、とノースさんが笑いながら言った。
成層圏まで到達したらさすがに落ちてはくると思うんだけど…どうなんだろ?

「降りるとき困るね、何かいい案ない?」
「えーと、空気を温めなくするか、あと、てっぺんの穴を開いて空気を抜くか…。
 確か説明してたと思うんですけど」
「それ、すぐ降りたいのとき、できない」
「あー…そっか、緊急時か…」

んー難しいな。風魔法で何とかならないかな…

「いっそ長い縄でもつけておけばどうだ」
「あ、なるほど!
 それなら高度を下げれば、搭乗者だけでも縄を伝って降りられますね」
「いいね、それ、言ってみる」

ノースさんが殿下のアイデアを伝えると、早速縄の取り付けにかかる気球製作チームの人々。
仕事が早い!
後はパイロットが緊急時に脱出できる方法か…。

「操縦者の訓練もしないとね」
「そうね、空飛びたい、軍から希望の人集めるしてる…でも、今、忙しい」
「そうか…紛争か」

軍からじゃなきゃ駄目なのかな…と思ったけど、空中じゃ命の危険に動じない精神力がいるし、一般からじゃ厳しいよな…

「じゃあ、我々でちょっとやってみますか?」
「ルー!危険なことは駄目って、」
「大丈夫!ディー兄にカイト君に、なんたってエルさまもいるし」
「えっ…私?」
「まずは地上部隊と飛行部隊を分けましょうか」

***

「えーと、地上部隊…ウエイト係。
 ケンタウレア先生、ゴード先輩、ソラン先輩、ジョンさんで、飛びすぎ防止のためにロープを保持してください…引きずられるのは覚悟しておいてくださいね」
「おう」「うむ」「はい」

「それから、カイト君、ディー兄、イドラ君。
 ホバー台車で気球を追いかけて下さい」
「おう」「分かった」「うん」

「アレクさん、ウィン兄、カート君は、それぞれホバー台車に同乗、魔物が出たら退治して下さい」
「了解」「うん」「はい!」

「殿下とカレンデュラ先生は、ウエイト係の補助と、魔物が出た時はホバー部隊と連携して対応お願いします」
「うむ」「了解!」

「おじいちゃん先生とヘザー先輩は、もしもの時の回復係…土魔法は厳禁でお願いします。サンドワーム出てきたら困るんで」
「うむ」「うん」

「で、飛行部隊…ノースさん、ガーベラ先輩。
 データ採取と、魔道具に不具合があれば調整…調整中は俺が魔道具の代わりをします」
「分かった」「ドキドキする…」「うむ」
「エルさまは墜落への備え…いざという時にはトルネードで俺たちの落下速度を落としてください」
「……はい」

そう、俺が考えついた墜落事故対策は、クリスマスの大魔法大会で風属性のオレガノ教授が自分を中心にトルネードを放ったアレ。
あの時教授が空中に浮いてたので、アレと同じ事をやれば落下速度がかなり下げられるんじゃないかなと思ったんだよね。

「…できるでしょうか」
「そりゃできるでしょ!さっき試しにやってみたら出来てたじゃないですか」
「……でも、自信が、」
「風魔法で丸太を板に加工してた人が何言ってるんですか?あんな繊細なことがホイホイできちゃうんだから大丈夫ですよ」

エルさまで自信ないなら誰も自信ないよ?

「ええ、エルなら出来ます」
「…ジョン、」
「ライフグロウで植物クッションって技が使えないんで、これがベストなんです…頼みます!」
「……分かりました」

こんな感じでとりあえずのテスト飛行!
ゆくゆくはこれで砂漠を回って、巨大サンドワームの穴を探すんだ…いるかどうか分からんけど!

無ければ無いで、また乾燥の理由を探さないと…。

とにかく1度、テイクオフだ!!

しおりを挟む
感想 69

あなたにおすすめの小説

お前らの目は節穴か?BLゲーム主人公の従者になりました!

MEIKO
BL
 本編完結しています。お直し中。第12回BL大賞奨励賞いただきました。  僕、エリオット・アノーは伯爵家嫡男の身分を隠して公爵家令息のジュリアス・エドモアの従者をしている。事の発端は十歳の時…家族から虐げられていた僕は、我慢の限界で田舎の領地から家を出て来た。もう二度と戻る事はないと己の身分を捨て、心機一転王都へやって来たものの、現実は厳しく死にかける僕。薄汚い格好でフラフラと彷徨っている所を救ってくれたのが完璧貴公子ジュリアスだ。だけど初めて会った時、不思議な感覚を覚える。えっ、このジュリアスって人…会ったことなかったっけ?その瞬間突然閃く!  「ここって…もしかして、BLゲームの世界じゃない?おまけに僕の最愛の推し〜ジュリアス様!」  知らぬ間にBLゲームの中の名も無き登場人物に転生してしまっていた僕は、命の恩人である坊ちゃまを幸せにしようと奔走する。そして大好きなゲームのイベントも近くで楽しんじゃうもんね〜ワックワク!  だけど何で…全然シナリオ通りじゃないんですけど。坊ちゃまってば、僕のこと大好き過ぎない?  ※貴族的表現を使っていますが、別の世界です。ですのでそれにのっとっていない事がありますがご了承下さい。

転生したらBLゲームのホスト教師だったのでオネエ様になろうと思う

ラットピア
BL
毎日BLゲームだけが生き甲斐の社畜系腐男子凛時(りんじ)は会社(まっくろ♡)からの帰り、信号を渡る子供に突っ込んでいくトラックから子供を守るため飛び出し、トラックに衝突され、最近ハマっているBLゲームを全クリできていないことを悔やみながら目を閉じる。 次に目を覚ますとハマっていたBLゲームの攻略最低難易度のホスト教員籠目 暁(かごめ あかつき)になっていた。BLは見る派で自分がなる気はない凛時は何をとち狂ったのかオネエになることを決めた オチ決定しました〜☺️ ※印はR18です(際どいやつもつけてます) 毎日20時更新 三十話超えたら長編に移行します メインストーリー開始時 暁→28歳 教員6年目 凛時転生時 暁→19歳 大学1年生(入学当日) 訂正箇所見つけ次第訂正してます。間違い探しみたいに探してみてね⭐︎ 11/24 大変際どかったためR18に移行しました 12/3 書記くんのお名前変更しました。今は戌亥 修馬(いぬい しゅうま)くんです

【完結】実はチートの転生者、無能と言われるのに飽きて実力を解放する

エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング1位獲得作品!!】  最強スキル『適応』を与えられた転生者ジャック・ストロングは16歳。  戦士になり、王国に潜む悪を倒すためのユピテル英才学園に入学して3ヶ月がたっていた。  目立たないために実力を隠していたジャックだが、学園長から次のテストで成績がよくないと退学だと脅され、ついに実力を解放していく。  ジャックのライバルとなる個性豊かな生徒たち、実力ある先生たちにも注目!!  彼らのハチャメチャ学園生活から目が離せない!! ※小説家になろう、カクヨム、エブリスタでも投稿中

虚ろな檻と翡翠の魔石

篠雨
BL
「本来の寿命まで、悪役の身体に入ってやり過ごしてよ」 不慮の事故で死んだ僕は、いい加減な神様の身勝手な都合により、異世界の悪役・レリルの器へ転生させられてしまう。 待っていたのは、一生を塔で過ごし、魔力を搾取され続ける孤独な日々。だが、僕を管理する強面の辺境伯・ヨハンが運んでくる薪や食事、そして不器用な優しさが、凍てついた僕の心を次第に溶かしていく。 しかし、穏やかな時間は長くは続かない。魔力を捧げるたびに脳内に流れ込む本物のレリルの記憶と領地を襲う未曾有の魔物の群れ。 「僕が、この場所と彼を守る方法はこれしかない」 記憶に翻弄され頭は混乱する中、魔石化するという残酷な決断を下そうとするが――。

強制悪役劣等生、レベル99の超人達の激重愛に逃げられない

砂糖犬
BL
悪名高い乙女ゲームの悪役令息に生まれ変わった主人公。 自分の未来は自分で変えると強制力に抗う事に。 ただ平穏に暮らしたい、それだけだった。 とあるきっかけフラグのせいで、友情ルートは崩れ去っていく。 恋愛ルートを認めない弱々キャラにわからせ愛を仕掛ける攻略キャラクター達。 ヒロインは?悪役令嬢は?それどころではない。 落第が掛かっている大事な時に、主人公は及第点を取れるのか!? 最強の力を内に憑依する時、その力は目覚める。 12人の攻略キャラクター×強制力に苦しむ悪役劣等生

当て馬的ライバル役がメインヒーローに喰われる話

屑籠
BL
 サルヴァラ王国の公爵家に生まれたギルバート・ロードウィーグ。  彼は、物語のそう、悪役というか、小悪党のような性格をしている。  そんな彼と、彼を溺愛する、物語のヒーローみたいにキラキラ輝いている平民、アルベルト・グラーツのお話。  さらっと読めるようなそんな感じの短編です。

同室のアイツが俺のシャワータイムを侵略してくるんだが

カシナシ
BL
聞いてくれ。 騎士科学年一位のアイツと、二位の俺は同じ部屋。これまでトラブルなく同居人として、良きライバルとして切磋琢磨してきたのに。 最近のアイツ、俺のシャワー中に絶対入ってくるんだ。しかも振り向けば目も合う。それとなく先に用を済ませるよう言ったり対策もしてみたが、何も効かない。 とうとう直接指摘することにしたけど……? 距離の詰め方おかしい攻め × 女の子が好きなはず?の受け 短編ラブコメです。ふわふわにライトです。 頭空っぽにしてお楽しみください。

転生したら乙女ゲームのモブキャラだったのでモブハーレム作ろうとしたら…BLな方向になるのだが

松林 松茸
BL
私は「南 明日香」という平凡な会社員だった。 ありふれた生活と隠していたオタク趣味。それだけで満足な生活だった。 あの日までは。 気が付くと大好きだった乙女ゲーム“ときめき魔法学院”のモブキャラ「レナンジェス=ハックマン子爵家長男」に転生していた。 (無いものがある!これは…モブキャラハーレムを作らなくては!!) その野望を実現すべく計画を練るが…アーな方向へ向かってしまう。 元日本人女性の異世界生活は如何に? ※カクヨム様、小説家になろう様で同時連載しております。 5月23日から毎日、昼12時更新します。

処理中です...