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学園5年目
デューイ君ちの白い粉 1
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ハイペリカム侯爵は悩んでいた。
「公爵派とどうやって手を切るか」。
伴侶の実家は公爵派の中心にいるシャムロック家だ。
家同士の事を考えると、テナチュール家やフリージア家の当主のように堂々と派閥を抜ける宣言も出来ない。
バイオレット家の当主のように、のらりくらりと派閥の集まりを避けられる言い訳が立つ身でもない。
「何とか、公爵派側から手を切って貰えるように出来ないだろうか…」
上2人の息子はもう学園を卒業して、1人は領地経営に、1人は領軍の指揮官として立派にやっている。
1番下の息子も、ハイペリカム家のもう1つの家業である「音楽家」として、輝かしい活躍をしている。
「デューイは殿下から遠征に同行を頼まれるほどに信頼を得られている、とはいえ…」
だからといって油断は出来ない。
息子たちの将来の事を考えれば、落ち目の公爵派など捨てて王家に着くべきだ。
悩んだ結果、彼はとんでもない行動に出た…。
-----------
俺は殿下と一緒に音楽科の練習室へ行った。
「デューイ、少し話がある」
「はい、何でしょう?」
「ここじゃちょっと話しづらいから、ちょっと第2砦まで来てくれる?」
「…?はい」
俺と殿下はデューイ君を挟むようにして歩く。
後ろには側近ズの3人。
何だか物々しいんだけど、事が事だけに…まあ、半分はパフォーマンスなんだけど。
「何かあったんですか?」
「ああ」
「僕、何か…その、悪い事を」
「いや」
「じゃ、じゃああのフルートの話か何か」
「いや」
殿下が久々に「ああ」と「いや」しか言わない。
困った様子のデューイ君が俺のほうを見る。
「ごめん、着いてからじゃないと詳しい事は言えないんだ…」
「えっ」
妙な緊張感に包まれながらやや遠回りで俺たちは第2砦へ向かう。
音楽科の誰かが別のルートから武術棟へ走っていくのが見える。
きっとカイト君にこの事を伝えに行くんだろう…
案の定、音楽科のみんなにも付き合ってるのがバレているらしい。
こうなると、何をもって秘密にしておこうとしたのかが謎だな…。
俺たちは音楽科の生徒が武術棟に入ったのを見届けてから、第二砦のドアを開けた。
***
リビングの椅子に殿下と俺とデューイ君が座る。
扉の外にウィン兄とディー兄が、内側にはアレクさんが立って厳戒態勢であることをアピール。
デューイ君がそわそわしながら切り出す。
「…それで、何の話なんですか?」
殿下が無表情で応える。
「結論から言う。
お前を俺の側室にする。異論は認めない」
「…えっ?」
俺はデューイ君にメモとペンをこっそり渡す。
メモの最初のページにはこう書いた。
【詳しい話は後で】
するとデューイ君から返事が返ってきた。
【分かりました】
殿下がデューイ君に告げる。
「クリスマスの贈り物として、ハイペリカム侯爵家から小麦粉が届いたのを覚えているな」
「はい」
「随分大量に届いたので、王宮へ預けたのも覚えているな」
「はい」
「王宮では、常に王族の私室へ持ち込まれる食品の検査を行っている」
「…はい」
「あの小麦粉ね、王宮カフェで使おうと思って持って帰って貰ったんだ。
王宮カフェは殿下の私室の一階部分にあたる場所だからね。
信用してるとかしてないとかじゃ無くて、規則だから…その、ね」
「…検査の結果、送られた小麦から毒が検出された」
「それが麦角菌じゃないかって話になってね、ハイペリカム領の小麦を全て回収せよって王命を出す事が決まって…そしたら、その…」
ここまでは本当の事だ。
ただ次からは…ちょっとだけフェイク。
「お前の父が、自白した。
意図的にあの小麦粉に毒を混ぜた、と」
「えっ…!?そんな!なぜなんです!?」
ほんとにねえ…。
どうしてそんな危ない橋渡ったんだか、こっちが聞きたいよ…。
「公爵派とどうやって手を切るか」。
伴侶の実家は公爵派の中心にいるシャムロック家だ。
家同士の事を考えると、テナチュール家やフリージア家の当主のように堂々と派閥を抜ける宣言も出来ない。
バイオレット家の当主のように、のらりくらりと派閥の集まりを避けられる言い訳が立つ身でもない。
「何とか、公爵派側から手を切って貰えるように出来ないだろうか…」
上2人の息子はもう学園を卒業して、1人は領地経営に、1人は領軍の指揮官として立派にやっている。
1番下の息子も、ハイペリカム家のもう1つの家業である「音楽家」として、輝かしい活躍をしている。
「デューイは殿下から遠征に同行を頼まれるほどに信頼を得られている、とはいえ…」
だからといって油断は出来ない。
息子たちの将来の事を考えれば、落ち目の公爵派など捨てて王家に着くべきだ。
悩んだ結果、彼はとんでもない行動に出た…。
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俺は殿下と一緒に音楽科の練習室へ行った。
「デューイ、少し話がある」
「はい、何でしょう?」
「ここじゃちょっと話しづらいから、ちょっと第2砦まで来てくれる?」
「…?はい」
俺と殿下はデューイ君を挟むようにして歩く。
後ろには側近ズの3人。
何だか物々しいんだけど、事が事だけに…まあ、半分はパフォーマンスなんだけど。
「何かあったんですか?」
「ああ」
「僕、何か…その、悪い事を」
「いや」
「じゃ、じゃああのフルートの話か何か」
「いや」
殿下が久々に「ああ」と「いや」しか言わない。
困った様子のデューイ君が俺のほうを見る。
「ごめん、着いてからじゃないと詳しい事は言えないんだ…」
「えっ」
妙な緊張感に包まれながらやや遠回りで俺たちは第2砦へ向かう。
音楽科の誰かが別のルートから武術棟へ走っていくのが見える。
きっとカイト君にこの事を伝えに行くんだろう…
案の定、音楽科のみんなにも付き合ってるのがバレているらしい。
こうなると、何をもって秘密にしておこうとしたのかが謎だな…。
俺たちは音楽科の生徒が武術棟に入ったのを見届けてから、第二砦のドアを開けた。
***
リビングの椅子に殿下と俺とデューイ君が座る。
扉の外にウィン兄とディー兄が、内側にはアレクさんが立って厳戒態勢であることをアピール。
デューイ君がそわそわしながら切り出す。
「…それで、何の話なんですか?」
殿下が無表情で応える。
「結論から言う。
お前を俺の側室にする。異論は認めない」
「…えっ?」
俺はデューイ君にメモとペンをこっそり渡す。
メモの最初のページにはこう書いた。
【詳しい話は後で】
するとデューイ君から返事が返ってきた。
【分かりました】
殿下がデューイ君に告げる。
「クリスマスの贈り物として、ハイペリカム侯爵家から小麦粉が届いたのを覚えているな」
「はい」
「随分大量に届いたので、王宮へ預けたのも覚えているな」
「はい」
「王宮では、常に王族の私室へ持ち込まれる食品の検査を行っている」
「…はい」
「あの小麦粉ね、王宮カフェで使おうと思って持って帰って貰ったんだ。
王宮カフェは殿下の私室の一階部分にあたる場所だからね。
信用してるとかしてないとかじゃ無くて、規則だから…その、ね」
「…検査の結果、送られた小麦から毒が検出された」
「それが麦角菌じゃないかって話になってね、ハイペリカム領の小麦を全て回収せよって王命を出す事が決まって…そしたら、その…」
ここまでは本当の事だ。
ただ次からは…ちょっとだけフェイク。
「お前の父が、自白した。
意図的にあの小麦粉に毒を混ぜた、と」
「えっ…!?そんな!なぜなんです!?」
ほんとにねえ…。
どうしてそんな危ない橋渡ったんだか、こっちが聞きたいよ…。
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