当て馬にも、ワンチャンあってしかるべき!

紫蘇

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学園5年目

魔道くまちゃん、発進!

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魔力溜まりから本来のルート近くまで戻った次の日、俺たちゴーレム実験班は行動を開始した。

まずはコントローラーとゴーレム(ピンクのくまちゃん)をケーブルで接続する。
くまちゃんに内蔵された魔道ランタンをタッチで点灯させる。

まあ、コントローラーと言っても両手で握って魔力を通すだけのただの金属の塊だけどね。
視界は勝手に頭の中に流れるので、操縦者はそれを実況しつつ進む…ゴーレムから見える景色を共有できる手段がそれしかまだないのだ。
仕方がない。

第1操縦者はおじいちゃん先生。

「それでは、くまちゃん降ろします」
「うむ…発進じゃ!」

おじいちゃんの手に力がこもる。
魔力が金属ケーブルを伝ってくまちゃんに届く…

「しかし、金属は魔力を通しやすいっていうのに、何でダイオウコガネには魔法が効かないんだろ…」
「生き物の不思議だな」

またビスカリア教授かソラン先輩に聞いとこ。

「おお…とりあえず真っ直ぐ歩くぞ」
「はい」

砂時計をひっくり返す。
おじいちゃんは魔力補給を頼める相手がいないので、ここは厳重に計りたいところ…

***

「ネリネ殿、時間だ」
「おお…次はベルガモット教授か」
「大丈夫か?」
「ああ、結構クラクラしますね…俺、魔力少ないからなあ」
「辛ければマグノリア殿を呼んでくるが?」
「いえ、それほどでは…寝れば、何とか…」

魔法が本職でないネリネ教授は30分で限界っぽい。

「操作時間、15分刻みにしましょう」
「そだな…」
「警護は万全だ。安心して休むと良い」
「おう…ケンタ…師、…頼…」

ネリネ教授はスヤァ…と寝てしまった。
交代したベルガモット教授は自分で砂時計をひっくり返して指さし確認した。

「砂時計よし!では行ってくる」
「お願いします」

ベルガモット教授の次はガーベラ先輩で、最後は俺。
2時間半で1周するころに自分の魔力が回復できているように、操縦者は寝る…

って、このサイクルだと俺の実況をメモるの誰になるの?

しまった…魔力溜まりに人残しすぎた。
かと言って護衛役を削るわけにもいかないしなあ。

仕方ない、自分で書くか…。
ってことは手でコントローラー握ってらんないのか。
どっから魔力出すかなぁ…

***

「……」
「おい、ルース」
「………」
「おい、ルース、時間だ」
「……駄目ですな」
「どうも深入りしやすいじゃの…ほれ」
「ふわっ!?」

急にコントローラーを取り上げられてひっくり返る俺。

「何故足で操縦しとるんじゃ」
「だって、誰も実況をメモってくれないから」
「何故俺に言わない」
「いやだって、護衛の目の数は確保しとかなきゃでしょ?こっちは完全に無防備なんだし、守って貰わないといけないんだから」

殿下が文句を言うけど、仕方ないじゃん!
実験中になすすべなく死って洒落になんないでしょ。

「やはりソランがおったほうが良かったのう」
「いる前提で順番組んでましたからね…。
 ネリネ教授は予想以上に消耗してますし」
「仕方ない、ネリネは明日からメモ係じゃの。
 それはそうとルース、さっさと寝るんじゃ」
「大丈夫ですか?メモ係がいないですけど」
「足から魔力を流せばいいんじゃろ?」

出来る出来る、といっておじいちゃん先生はコントローラーを俺から奪ってしまった。

「しかし長いのう…」
「ケーブルもまだまだ余裕がありますね」
「あの小さいのが歩くんだからそりゃ遅いだろう…改良の余地がありそうだな」

殿下はそう言いながら、俺の頭をポンポンと叩いた。

「早く寝ないと、また魔力が足りなくなるぞ。
 ここでのは勇気がいると思うがな」

確かにそうだ。
さっさと寝よう…。
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