当て馬にも、ワンチャンあってしかるべき!

紫蘇

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学園5年目

何事も先制攻撃

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結局殿下の言った通り、アレクさんに背負われてみんなに追いつく俺。
ウィン兄とディー兄は先頭まで走っていく…

体力ハンパねぇな。

俺もアレクさんに背負われて中盤の前へ行く。
殿下が言う。

「来るぞ、アロー系の魔法を一気にぶち込む…頼めるか」
「はい」
「カートは水、エルは風、ルースは雷。
 当たらなくても良い。30秒間、とにかく撃て。
 アレク、殿しんがりに伝令。
 中盤の魔法が終わった瞬間にファイヤーアロー30秒、と」
「りょっ!!」

そこは「はっ!」だよ、とウィン兄とディー兄が笑う。
殿下もふふっと不敵に笑い、号令。

「開始!!」

「ウォーターアロー…っ!雨の如く降れっ!!」
「ウィンドアロー!千本の矢と成れ!」
「サンダーアロー、連射、しこたま、30秒…!」

一気にぶっ放す俺とカート君とエルさま。
トレッドさんがみんなは結界を張って隠れてるって言ってたし、もう遠慮なくぶちかます。

「いつの間にそんな事できるようになったの!?」
「当たらなくてもいいなら、余裕です!!」
「先生がいない間に強くなっておきましたよ!!」

確かに魔法総合の今年の研究テーマは「攻撃魔法の応用」だったけど、まさかパクられるとは…!!
しかもカッコイイ!!

「負けてられないですね、俺も!」
「ふふ、勝負ですよ、ルース先生!」

俺たちの30秒の後、後ろからファイヤーアローが降って来る。
それに合わせて俺とエルさまはクレイランスを適度に分散して一面に降らせる!!

これで物理攻撃になる、とカート君とヘザー先輩が教えてくれたんだ、けど…

ねえ、火事になんない!?大丈夫なんこの数!!

「問題ない」
「問題ないぞ!!」

ほんまか!!?

「ウィン、ディー、属性付与は」
「「万端です!」」
「行くぞ!ジョンをミノタウロスの所まで援護しろ!」
「「はっ!!」」
「お祖父様!中盤、殿を頼みます!」
「任せろ!」

おじいちゃん先生は正しくサムズアップして殿下たちを送り出す。

前衛は出てくる魔物や魔獣を蹴散らしながら先へ進む。
ジョンさんとエルさまが「ミノタウロスの亜種を倒したら大発生が収束した」と言っていたので、それに賭ける…
それが駄目なら後ろの魔王が森を灰にする。

こっちは、それが終わるまでこっちに来る魔物や魔獣を倒しまくるだけだ。
最悪の事態を考慮して、トレッドさん達には魔物の大発生が起きたのを砦と宿へ知らせに行くようお願いした。
あっちにはモロー君とイドラ君がいるから、それを聞けばすぐにバックアップ体制に入ってくれるはず。

俺たちは持っている魔生物の知識を総動員しながら近寄って来る敵を倒していくことに専念する。
火魔法はヘヴィさんとベルガモット教授に任せて、それ以外の魔法は俺たちが担当しつつ、魔法が効かない敵はケンタウレア先生とゴード先輩とアレクさんに任せる。
危なくなればクレイウォールと結界でおじいちゃんとヘザー先輩が防御壁を張ってくれる。

「電撃ぶちかましてくぜ!!」
「おう!こっちも気力の限り飛ばすぜ!!」
「魔法は足りてるな!こっちは拳だけで行く!」

アレクさんは電撃拳で敵に立ち向かう。
ケンタウレア先生とゴード先輩は魔法拳を使わず、単純に物理攻撃に徹する。
バゴン!ガコン!ドシュッ!っととんでもない音がこっちまで響いてくる。
金属を纏っているはずの昆虫型魔生物が二つ折になって転がり、もしくは急所を突かれて内臓をぶちまけて死ぬ。

完全に一撃必殺…
ケンタウレア流、めっっっちゃ怖い。

魔物も魔獣もそこら中に倒れている。
魔石も素材も面白いほど取れるだろう。

ジョンさんが言っていた。
大発生は稼げるって。

これは確かに…
生き残れさえすれば儲かる。


…よっしゃ、一山当てたるで!!

「サンダーアロー!!」
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