346 / 586
学園5年目
SOS
しおりを挟む
今日も研究室での一日が終わり、さて今年のクリスマスはどうするか…なんて殿下と話をしていると、急にアレクさんがやってきた。
「ルース様、ゴード先輩から手紙っす」
「えっ…何だろ?」
早速封を開けてみると、そこには…
「タスケテ」
と、たった一言書かれた紙が入っていた。
何か緊急事態が起きたのだろう。
慌ててウィン兄とディー兄に頼んで、最も飛ばせる2人乗りの馬車を出してもらい、殿下と乗り込んで、とるものも取り敢えず急いで王宮へ…
「とにかく飛ばすぞ!しっかり座ってろ!!」
馬車は恐ろしいスピードで走り出す。
このまま行けば半日で着きそう…!
「待ってて、ゴード先輩…!」
とりあえず俺は、ただ祈った。
***
王宮に付いて、そのまま馬車で後宮へ向かう。
「ゴード先輩の部屋は!?」
「3階の一番奥だ」
「了解です!!」
ダッシュで3階に上がって、一番奥の部屋…
「何この鍵!?」
「逃走防止用の部屋だからな」
「これネリネ式鍵罠じゃないですか!?」
「逃走防止用の部屋だからな」
2回言った!?
「なんちゅうとこに!!ゴード先輩!?」
扉を叩く。
叩くけどこれ…聞こえてるか?
分厚過ぎない?ねえ!
「逃走防止用の部屋だから」
「監禁部屋とおっしゃい!!」
なんちゅう扱い!そんなことするから「タスケテ」なんて手紙が来るんですよ!?
殿下とぎゃあぎゃあ言っていると、ウィン兄が解錠係の人を連れて来た。
「今開けますのでお待ちください」
「お願いします!」
まず外側のダイヤルを回し、鍵を挿して右に回してから左。
ぐっと押し込んでまた右…開いた!!
「ゴード先輩!あ、あれ、開かない」
「おや、内側からの鍵が締まっておりますね」
「開けてください!」
「分かりました」
ようやく重い扉が開かれ、薄暗い部屋へ…
「ゴード先輩!?」
そこには…
「誰だ?
私たちの睦時を邪魔するのは…」
「あ!る、ルース!!助け、あっ、あんっ」
部屋のでかいベッドの上でじゃれ合う、スプーラ殿下と、キスマークにまみれたゴード先輩が、居た。
***
婚前交渉も辞さないっていうか、もうガッツリやっちゃってるじゃん。
まあ、どっちもハタチ超えてるし…って、そういう問題じゃねえ!!
「スプーラ殿下、ここで何を?」
いや殿下、聞かなくても分かる…
「ああ、ゴードの閨教育が不十分だったので、詰め込み教育をな」
「閨教育と言えば何でも許されるわけじゃありませんよ!?」
シーツにくるまっているゴード先輩は、全身が性感帯になっているようでちょっと触れない…
こういう時には興奮を抑えるハーブティーだ。
すぐに処方しよう…
現場を殿下にお任せして実家へ行き、ハーブを調合して戻る。
ゴード先輩はバスローブ的なものを着て、何とかかんとかソファに移動していた。
「とりあえずこれを飲んで」
「ふ、うう」ズズっ…
「何か胃にいれたほうがいいと思って、果物とパン粥を頼んでおいた」
「ありがとうございます」
ゴード先輩は温かいものを飲んだからか、目の視点が合い始めた。
「るーす…てがみ、とどいた?」
「ええ、届きましたよ」
よかった、と言って、ゴード先輩は隣に座っている俺の手を握った。
「その、うまれて、はじめての、ことばかりで、おれ」
「怖かったんですか?」
「…うん…」
完全に幼児化しているゴード先輩は、俺の肩におでこをくっつけた。
俺は先輩の短髪をもしゃもしゃするように撫でた。
先輩はおでこをぐりぐり押し付けてくるので、満足するまでなでなでするしかない…。
それを見てお怒り気味の殿下はスプーラ殿下に説教を始めた。
「なぜこんな無茶をなさるのです」
「仕方ないだろう、彼があまりに魅力的で…しかも初物尽くしとくれば、頂かないという選択肢は無い」
うーん完全な俺様タイプだなあ。
ゴード先輩を託して良いもんか悩む…。
「ゴード先輩、カメリア、行きたい?」
「やだ、むり…」
「スプーラ殿下のこと、好き?」
「…きらい」
「!!?」
弾かれたように立ち上がり、先輩に近づくスプーラ殿下。
「な、なぜだ、ゴード!?」
俺の後ろに隠れようとする先輩。
「やめてって、いったのに、する…いや!」
「わ、わかった、もうしないから、こっちにおいで」
「きらい!あっちいって!!」
そう言って俺に抱き着くゴード先輩…
そして真っ赤になって怒る王子様たち。
「ルースから離れろ、ゴード。
お前には別の部屋を用意する、こっちへ来い」
「ゴード!なぜこんなありきたりの男に…!!」
失礼だな!
どうせ「ありきたり」ですよ…と、ところが、その言葉に俺よりもカチンと来た人がいたようで。
「スプーラ殿下、私のルースに今、何と?」
「ふん、何もかもが普通の男だと言っただけだ。
この男のどこが良いのか、全く理解できん!」
「貴様…表へ出ろ」
「望むところだ」
私が勝ったらゴードは攫って行く、とか、
俺が勝ったら頭を垂れて謝罪しろ、とか、
わめきながら2人はドカドカと出て行く…
「…だいりせんそう?」
「なぜそんな言葉だけ出てきた!?」
「う~…」
あ、あかん。泣きそう。
おーよしよし、いい子いい子…
「おれ、がんばった、いっぱいがんばったの」
「そうですね、頑張りましたね」
「うん…」
…そうして先輩のナデナデ要求は、果物とパン粥が来るまで続いたのであった。
「ルース様、ゴード先輩から手紙っす」
「えっ…何だろ?」
早速封を開けてみると、そこには…
「タスケテ」
と、たった一言書かれた紙が入っていた。
何か緊急事態が起きたのだろう。
慌ててウィン兄とディー兄に頼んで、最も飛ばせる2人乗りの馬車を出してもらい、殿下と乗り込んで、とるものも取り敢えず急いで王宮へ…
「とにかく飛ばすぞ!しっかり座ってろ!!」
馬車は恐ろしいスピードで走り出す。
このまま行けば半日で着きそう…!
「待ってて、ゴード先輩…!」
とりあえず俺は、ただ祈った。
***
王宮に付いて、そのまま馬車で後宮へ向かう。
「ゴード先輩の部屋は!?」
「3階の一番奥だ」
「了解です!!」
ダッシュで3階に上がって、一番奥の部屋…
「何この鍵!?」
「逃走防止用の部屋だからな」
「これネリネ式鍵罠じゃないですか!?」
「逃走防止用の部屋だからな」
2回言った!?
「なんちゅうとこに!!ゴード先輩!?」
扉を叩く。
叩くけどこれ…聞こえてるか?
分厚過ぎない?ねえ!
「逃走防止用の部屋だから」
「監禁部屋とおっしゃい!!」
なんちゅう扱い!そんなことするから「タスケテ」なんて手紙が来るんですよ!?
殿下とぎゃあぎゃあ言っていると、ウィン兄が解錠係の人を連れて来た。
「今開けますのでお待ちください」
「お願いします!」
まず外側のダイヤルを回し、鍵を挿して右に回してから左。
ぐっと押し込んでまた右…開いた!!
「ゴード先輩!あ、あれ、開かない」
「おや、内側からの鍵が締まっておりますね」
「開けてください!」
「分かりました」
ようやく重い扉が開かれ、薄暗い部屋へ…
「ゴード先輩!?」
そこには…
「誰だ?
私たちの睦時を邪魔するのは…」
「あ!る、ルース!!助け、あっ、あんっ」
部屋のでかいベッドの上でじゃれ合う、スプーラ殿下と、キスマークにまみれたゴード先輩が、居た。
***
婚前交渉も辞さないっていうか、もうガッツリやっちゃってるじゃん。
まあ、どっちもハタチ超えてるし…って、そういう問題じゃねえ!!
「スプーラ殿下、ここで何を?」
いや殿下、聞かなくても分かる…
「ああ、ゴードの閨教育が不十分だったので、詰め込み教育をな」
「閨教育と言えば何でも許されるわけじゃありませんよ!?」
シーツにくるまっているゴード先輩は、全身が性感帯になっているようでちょっと触れない…
こういう時には興奮を抑えるハーブティーだ。
すぐに処方しよう…
現場を殿下にお任せして実家へ行き、ハーブを調合して戻る。
ゴード先輩はバスローブ的なものを着て、何とかかんとかソファに移動していた。
「とりあえずこれを飲んで」
「ふ、うう」ズズっ…
「何か胃にいれたほうがいいと思って、果物とパン粥を頼んでおいた」
「ありがとうございます」
ゴード先輩は温かいものを飲んだからか、目の視点が合い始めた。
「るーす…てがみ、とどいた?」
「ええ、届きましたよ」
よかった、と言って、ゴード先輩は隣に座っている俺の手を握った。
「その、うまれて、はじめての、ことばかりで、おれ」
「怖かったんですか?」
「…うん…」
完全に幼児化しているゴード先輩は、俺の肩におでこをくっつけた。
俺は先輩の短髪をもしゃもしゃするように撫でた。
先輩はおでこをぐりぐり押し付けてくるので、満足するまでなでなでするしかない…。
それを見てお怒り気味の殿下はスプーラ殿下に説教を始めた。
「なぜこんな無茶をなさるのです」
「仕方ないだろう、彼があまりに魅力的で…しかも初物尽くしとくれば、頂かないという選択肢は無い」
うーん完全な俺様タイプだなあ。
ゴード先輩を託して良いもんか悩む…。
「ゴード先輩、カメリア、行きたい?」
「やだ、むり…」
「スプーラ殿下のこと、好き?」
「…きらい」
「!!?」
弾かれたように立ち上がり、先輩に近づくスプーラ殿下。
「な、なぜだ、ゴード!?」
俺の後ろに隠れようとする先輩。
「やめてって、いったのに、する…いや!」
「わ、わかった、もうしないから、こっちにおいで」
「きらい!あっちいって!!」
そう言って俺に抱き着くゴード先輩…
そして真っ赤になって怒る王子様たち。
「ルースから離れろ、ゴード。
お前には別の部屋を用意する、こっちへ来い」
「ゴード!なぜこんなありきたりの男に…!!」
失礼だな!
どうせ「ありきたり」ですよ…と、ところが、その言葉に俺よりもカチンと来た人がいたようで。
「スプーラ殿下、私のルースに今、何と?」
「ふん、何もかもが普通の男だと言っただけだ。
この男のどこが良いのか、全く理解できん!」
「貴様…表へ出ろ」
「望むところだ」
私が勝ったらゴードは攫って行く、とか、
俺が勝ったら頭を垂れて謝罪しろ、とか、
わめきながら2人はドカドカと出て行く…
「…だいりせんそう?」
「なぜそんな言葉だけ出てきた!?」
「う~…」
あ、あかん。泣きそう。
おーよしよし、いい子いい子…
「おれ、がんばった、いっぱいがんばったの」
「そうですね、頑張りましたね」
「うん…」
…そうして先輩のナデナデ要求は、果物とパン粥が来るまで続いたのであった。
59
あなたにおすすめの小説
お前らの目は節穴か?BLゲーム主人公の従者になりました!
MEIKO
BL
本編完結しています。お直し中。第12回BL大賞奨励賞いただきました。
僕、エリオット・アノーは伯爵家嫡男の身分を隠して公爵家令息のジュリアス・エドモアの従者をしている。事の発端は十歳の時…家族から虐げられていた僕は、我慢の限界で田舎の領地から家を出て来た。もう二度と戻る事はないと己の身分を捨て、心機一転王都へやって来たものの、現実は厳しく死にかける僕。薄汚い格好でフラフラと彷徨っている所を救ってくれたのが完璧貴公子ジュリアスだ。だけど初めて会った時、不思議な感覚を覚える。えっ、このジュリアスって人…会ったことなかったっけ?その瞬間突然閃く!
「ここって…もしかして、BLゲームの世界じゃない?おまけに僕の最愛の推し〜ジュリアス様!」
知らぬ間にBLゲームの中の名も無き登場人物に転生してしまっていた僕は、命の恩人である坊ちゃまを幸せにしようと奔走する。そして大好きなゲームのイベントも近くで楽しんじゃうもんね〜ワックワク!
だけど何で…全然シナリオ通りじゃないんですけど。坊ちゃまってば、僕のこと大好き過ぎない?
※貴族的表現を使っていますが、別の世界です。ですのでそれにのっとっていない事がありますがご了承下さい。
転生したらBLゲームのホスト教師だったのでオネエ様になろうと思う
ラットピア
BL
毎日BLゲームだけが生き甲斐の社畜系腐男子凛時(りんじ)は会社(まっくろ♡)からの帰り、信号を渡る子供に突っ込んでいくトラックから子供を守るため飛び出し、トラックに衝突され、最近ハマっているBLゲームを全クリできていないことを悔やみながら目を閉じる。
次に目を覚ますとハマっていたBLゲームの攻略最低難易度のホスト教員籠目 暁(かごめ あかつき)になっていた。BLは見る派で自分がなる気はない凛時は何をとち狂ったのかオネエになることを決めた
オチ決定しました〜☺️
※印はR18です(際どいやつもつけてます)
毎日20時更新 三十話超えたら長編に移行します
メインストーリー開始時 暁→28歳 教員6年目
凛時転生時 暁→19歳 大学1年生(入学当日)
訂正箇所見つけ次第訂正してます。間違い探しみたいに探してみてね⭐︎
11/24 大変際どかったためR18に移行しました
12/3 書記くんのお名前変更しました。今は戌亥 修馬(いぬい しゅうま)くんです
【完結】実はチートの転生者、無能と言われるのに飽きて実力を解放する
エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング1位獲得作品!!】
最強スキル『適応』を与えられた転生者ジャック・ストロングは16歳。
戦士になり、王国に潜む悪を倒すためのユピテル英才学園に入学して3ヶ月がたっていた。
目立たないために実力を隠していたジャックだが、学園長から次のテストで成績がよくないと退学だと脅され、ついに実力を解放していく。
ジャックのライバルとなる個性豊かな生徒たち、実力ある先生たちにも注目!!
彼らのハチャメチャ学園生活から目が離せない!!
※小説家になろう、カクヨム、エブリスタでも投稿中
虚ろな檻と翡翠の魔石
篠雨
BL
「本来の寿命まで、悪役の身体に入ってやり過ごしてよ」
不慮の事故で死んだ僕は、いい加減な神様の身勝手な都合により、異世界の悪役・レリルの器へ転生させられてしまう。
待っていたのは、一生を塔で過ごし、魔力を搾取され続ける孤独な日々。だが、僕を管理する強面の辺境伯・ヨハンが運んでくる薪や食事、そして不器用な優しさが、凍てついた僕の心を次第に溶かしていく。
しかし、穏やかな時間は長くは続かない。魔力を捧げるたびに脳内に流れ込む本物のレリルの記憶と領地を襲う未曾有の魔物の群れ。
「僕が、この場所と彼を守る方法はこれしかない」
記憶に翻弄され頭は混乱する中、魔石化するという残酷な決断を下そうとするが――。
強制悪役劣等生、レベル99の超人達の激重愛に逃げられない
砂糖犬
BL
悪名高い乙女ゲームの悪役令息に生まれ変わった主人公。
自分の未来は自分で変えると強制力に抗う事に。
ただ平穏に暮らしたい、それだけだった。
とあるきっかけフラグのせいで、友情ルートは崩れ去っていく。
恋愛ルートを認めない弱々キャラにわからせ愛を仕掛ける攻略キャラクター達。
ヒロインは?悪役令嬢は?それどころではない。
落第が掛かっている大事な時に、主人公は及第点を取れるのか!?
最強の力を内に憑依する時、その力は目覚める。
12人の攻略キャラクター×強制力に苦しむ悪役劣等生
当て馬的ライバル役がメインヒーローに喰われる話
屑籠
BL
サルヴァラ王国の公爵家に生まれたギルバート・ロードウィーグ。
彼は、物語のそう、悪役というか、小悪党のような性格をしている。
そんな彼と、彼を溺愛する、物語のヒーローみたいにキラキラ輝いている平民、アルベルト・グラーツのお話。
さらっと読めるようなそんな感じの短編です。
同室のアイツが俺のシャワータイムを侵略してくるんだが
カシナシ
BL
聞いてくれ。
騎士科学年一位のアイツと、二位の俺は同じ部屋。これまでトラブルなく同居人として、良きライバルとして切磋琢磨してきたのに。
最近のアイツ、俺のシャワー中に絶対入ってくるんだ。しかも振り向けば目も合う。それとなく先に用を済ませるよう言ったり対策もしてみたが、何も効かない。
とうとう直接指摘することにしたけど……?
距離の詰め方おかしい攻め × 女の子が好きなはず?の受け
短編ラブコメです。ふわふわにライトです。
頭空っぽにしてお楽しみください。
転生したら乙女ゲームのモブキャラだったのでモブハーレム作ろうとしたら…BLな方向になるのだが
松林 松茸
BL
私は「南 明日香」という平凡な会社員だった。
ありふれた生活と隠していたオタク趣味。それだけで満足な生活だった。
あの日までは。
気が付くと大好きだった乙女ゲーム“ときめき魔法学院”のモブキャラ「レナンジェス=ハックマン子爵家長男」に転生していた。
(無いものがある!これは…モブキャラハーレムを作らなくては!!)
その野望を実現すべく計画を練るが…アーな方向へ向かってしまう。
元日本人女性の異世界生活は如何に?
※カクヨム様、小説家になろう様で同時連載しております。
5月23日から毎日、昼12時更新します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる