当て馬にも、ワンチャンあってしかるべき!

紫蘇

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学園5年目

全部終わり!…だったらいいのに

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説明会が終わって、シャムロック様とコーラス様を監き…逃走防止用の部屋へ入れて全日程終了。
俺と殿下は離れへ連れ立って帰る。

あとは遠慮なく叩き潰すのみ…

「ようやくここまで来たな」
「うん、ありがとうね、アル」

生徒会メンバー全員を救いたい…という俺のめちゃくちゃな我儘を叶えてくれたアル。
本当はあの2人と関わるのも嫌なはずなのに、俺の為にその気持ちを抑えてくれた…

「これで全部終わり、というわけではないが…後は潰して入れ替えるだけだ。
 それは父上たちが引き受けてくれる」
「そうだね…俺たちの仕事はこれで終わり、かな」
「そうなることを願おう。
 最後の1年くらいはお前と学園生活を純粋に楽しみたい」

真剣な顔で歯の浮くような事をいうアル。
俺も何となくそれに乗せられたように言う。

「うん…俺も、アルと純粋なデート…したいな」
「本当か?」
「うん。
 1年の時に、学祭の屋台を一緒に回ったでしょ?
 ああいうデートがしたいな…
 いちいち経済効果とか考えなくていいデート」
「確かに、何もかもが仕事になっているからな」

王都でデートするとすぐに、どこへ行ったか何を買ったかが記事になってみんなに知れ渡る。
そしてそれがブームになる。
そして、ついにはデートコースを提案してくる人も出て来た。
気持ちは分かるけど余計なお世話でもある。

「2人で、お弁当持って、誰もいない草原でゴロゴロしたりとか…
 買い物も楽しいけど、お金使わないデートも…
 今のうちしか出来ないと思うし」
「…そうか」

離れの1階を見る。
そこには王宮カフェがある。

「このカフェも俺の為にアルが作ってくれたのに…
 あんまり使えてなくて、ちょっと悲しい」
「…金の事なら、気にしなくていい」
「お金だけじゃないよ、アルの気持ちが詰まってる」
「…ルース」

そうだ、明日はここでお菓子を作ろう。
アルの大好きなココア味の台湾カステラと、俺が最近凝ってるブリオッシュ。
卵も最近安くなってきたし、ココアはクリスマスに貰った分がまだまだある。

「ねえアル、明日、ここでデートしよ」
「…ここで?」
「うん、カフェデート。
 うふふ…店長さんも1日中貸切りだよ?」
「!!」

アルが真っ赤になる。
そして俺の手をぎゅっと握る…
めっちゃ可愛い。

「…夜には「店長さん」を注文しても?」
「……うん、お待ちしてる、よ」

アルが俺の事を縛ろうとするのは、不安だからだ。
俺のことを独占できる時間が少なくて、それを何とか埋めようとして…あんなこと。

「ねえアル。
 俺はアルの事が好きで、抱かれたいし、子どもも欲しいと思ってるよ」
「…ああ」
「閨の事だって、頑張ろうと思ってる」
「……うん」
「だからね、俺が他の人と寝るだなんて、そんな想像二度として欲しくない」
「…すまん」
「俺、アルの事、愛してる。
 誰よりも愛してる。
 でも嫉妬するっていう感情がどうしても湧かないんだ…だって、アルが俺の事嫌いになるなんて考えられないから」
「…ルース」

暴走してしまうことはあると思う。
だけど俺の気持ちを置いて行って欲しくない。
だから…

「あんな事もうしないで?
 後宮の4階は二度と使わないって、約束して」

もう二度と、俺の事を疑って欲しくない。
確かに俺は色々と欠けてるんだろう、でも…
ちゃんと、アルの事を愛しているから。

「…………」

黙り込むアルに、俺は言葉を重ねる。

「ア・ル? や・く・そ・く」
「………………」

「約束!!」
「……………………………………………」

ちょっと!
返事をなさい!!

「……ルース、」
「なぁに?」

俺に詰め寄られ、アルは意を決したように言った。

「……その、年に1回くらいは」
「何を聞いとんねん」

「……むう……」

何やそのご不満フェイスは!?
さっきから嫌やって言うてるやろ!!

せえへん!

絶対にせえへんからな!
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