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学園6年目
お手紙戦法
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フィーデ君の報告を受けたその日から、俺はお手紙に必死で取り組んでいる。
昨日の晩に文面を考えて清書して魔法で一枚ずつコピーして、魔力が足りなくなったら…アレして。
「手紙の整理しといて良かったですね」
「…っすね」
カリカリ…と無心で宛先を書くアレクさん。
俺は内容にしっかり目を通して貰うために、コピーした注意喚起文に一言添える。
今やりとりしている内容に合わせて「○○先生の△△に関する研究が盗まれては困るので云々」と書いて、サインを入れて…。
「しかし、こんな風に同じ文章を光で焼きつける?みたいなの、すごいっすね」
「光というか、熱ですけどね。
ヘヴィさんが火魔法で名前書くって聞いて、紙の黒い部分にだけ熱を通して紙を焦がす感じ…」
「ってことは、これ火魔法なんすか」
「いや…光、熱を持った光…黒は光と熱を吸収するから、光に乗せて熱を伝える…」
「光と火を持ってないと出来ないんすか?」
「あー…どうだろ、意外と光だけでいけるかも」
もうちょい固まったらまたヒソップ教授に教えよう…
なんて言いながら手を動かしていると、
「ルースさん!スタンプ持って来ましたよ~!」
「あ、ありがとう!」
前世で言う「料金後納郵便」的ハンコを持ってモロー君が現れた。
手紙でも小包でも、運ぶと言えばセリンセ商会。
昨日放課後に学生街にいる商会関係者を念のため闇飛ばししたところ、1人も掛かっている人がいなかったので一安心…といったところだ。
「今日も昨日仕事で来れなかった人員を呼んでますので、放課後宜しくお願いします!」
「うん、こちらこそ…あ、ハンコ押していってくれる?」
「了解です!」
もちろんモロー君も闇魔法の影響は無かった。
ビスカリア教授やマグノリア教授の例からすると、闇魔法を無かった事にすることが闇魔法では出来ないっぽいから、少なくとも去年の夏から掛けられてないはず。
「料金計算も宜しくね!」
「は~い」
そこからはほぼ無言で作業が続く。
ペンの音とハンコを押す音。
手紙を折って封筒に入れる音。
手紙の封はまだしない。
ネリネ教授とマグノリア教授に作ってもらった「お守り」を同封しなきゃ…。
魔法陣のプレートは、古代魔法と魔生物と魔石工学のみんなで必死に量産してくれてる。
お守りに使う魔石は魔法棟のみんなで作ってくれている。
魔法陣を起動させる魔石は属性に拘らなくていいから、魔力の多い人が総出で手伝ってくれてるんだ。
みんなにはまた何か振舞おう…
第一砦でお茶会をしてもいいな。
いっぱいお菓子を焼いて、シャラパール産のコーヒーを淹れて…
ああ、そんなことより、早くこれを済ませてみんなを手伝いに行かなきゃ。
カリカリカリカリ…
ペタペタペタ…
パラ、シュッ、カサカサ…
***
放課後近く、手紙の抜けが無いかチェックをしていると研究室の扉が開いた。
「ルース!お守りできたよ」
「魔石も持って来ましたよ!」
ガーベラ先輩とエルさまが大きな箱を抱えて入って来る。
もちろん後からノースさんとジョンさんもやって来る。
「早い!有難うございます、手伝いに行けなくてすみません」
「このくらいへっちゃらよ!
いつもお世話なってる、国単位で!」
なんて有難いご縁だろう…と感謝していると、4人の後ろからもう1人、箱を持った人が現れて、言った。
「教室の連中は霊験あらたかなユーフォルビアクッキーで手を打ってやるってよ」
「トレッドさん!来てくれたんですか!?」
「そりゃ内戦が起きるかどうかの瀬戸際でココに居ないじゃ話になんねえだろ!」
すごい早さでお守りのプレートが出来た。
真ん中の凹みに魔石をセットする。
あとはこれを、昨日ウィン兄が王宮お針子部隊から預かって来てくれた袋に入れて…
「…よし」
「僕も袋詰め手伝います!」
「じゃあ俺もそれ手伝う」
「じゃあ俺は出来たやつを封筒に入れて封をするわ」
「じゃあ僕は行先毎に箱に分類します」
「じゃあ俺は人手を呼んでくるわ」
一気に作業は加速。
殿下も生徒会終わりに駆け付けてくれて、お手紙は無事に完成。
その日集まってくれたセリンセ商会の皆さんに闇飛ばしをして、ついでに荷物も持って行って貰う。
今回もセリンセ商会内に被害者は無し。
「…不思議だなあ」
「何がです?」
「いや、流通なんていきなり狙われても良さそうなもんなんだけどな…って」
「ふむ…特に王都との行き来をしている者などは標的にされやすいと思っていたが…」
「もしかして馬車には効かないとか?」
もし、あえてセリンセだけ狙われていないとするなら何か意図があるのかも…
と考えていると、モロー君が「そういえば!」と切り出した。
「うちでは馬車を引く馬の為に、御者全員に疲労回復の魔道具を持たせているんです。
あれって何か関係ありますか?」
「…あっ」
絶対それやん!
多分やけど!!
昨日の晩に文面を考えて清書して魔法で一枚ずつコピーして、魔力が足りなくなったら…アレして。
「手紙の整理しといて良かったですね」
「…っすね」
カリカリ…と無心で宛先を書くアレクさん。
俺は内容にしっかり目を通して貰うために、コピーした注意喚起文に一言添える。
今やりとりしている内容に合わせて「○○先生の△△に関する研究が盗まれては困るので云々」と書いて、サインを入れて…。
「しかし、こんな風に同じ文章を光で焼きつける?みたいなの、すごいっすね」
「光というか、熱ですけどね。
ヘヴィさんが火魔法で名前書くって聞いて、紙の黒い部分にだけ熱を通して紙を焦がす感じ…」
「ってことは、これ火魔法なんすか」
「いや…光、熱を持った光…黒は光と熱を吸収するから、光に乗せて熱を伝える…」
「光と火を持ってないと出来ないんすか?」
「あー…どうだろ、意外と光だけでいけるかも」
もうちょい固まったらまたヒソップ教授に教えよう…
なんて言いながら手を動かしていると、
「ルースさん!スタンプ持って来ましたよ~!」
「あ、ありがとう!」
前世で言う「料金後納郵便」的ハンコを持ってモロー君が現れた。
手紙でも小包でも、運ぶと言えばセリンセ商会。
昨日放課後に学生街にいる商会関係者を念のため闇飛ばししたところ、1人も掛かっている人がいなかったので一安心…といったところだ。
「今日も昨日仕事で来れなかった人員を呼んでますので、放課後宜しくお願いします!」
「うん、こちらこそ…あ、ハンコ押していってくれる?」
「了解です!」
もちろんモロー君も闇魔法の影響は無かった。
ビスカリア教授やマグノリア教授の例からすると、闇魔法を無かった事にすることが闇魔法では出来ないっぽいから、少なくとも去年の夏から掛けられてないはず。
「料金計算も宜しくね!」
「は~い」
そこからはほぼ無言で作業が続く。
ペンの音とハンコを押す音。
手紙を折って封筒に入れる音。
手紙の封はまだしない。
ネリネ教授とマグノリア教授に作ってもらった「お守り」を同封しなきゃ…。
魔法陣のプレートは、古代魔法と魔生物と魔石工学のみんなで必死に量産してくれてる。
お守りに使う魔石は魔法棟のみんなで作ってくれている。
魔法陣を起動させる魔石は属性に拘らなくていいから、魔力の多い人が総出で手伝ってくれてるんだ。
みんなにはまた何か振舞おう…
第一砦でお茶会をしてもいいな。
いっぱいお菓子を焼いて、シャラパール産のコーヒーを淹れて…
ああ、そんなことより、早くこれを済ませてみんなを手伝いに行かなきゃ。
カリカリカリカリ…
ペタペタペタ…
パラ、シュッ、カサカサ…
***
放課後近く、手紙の抜けが無いかチェックをしていると研究室の扉が開いた。
「ルース!お守りできたよ」
「魔石も持って来ましたよ!」
ガーベラ先輩とエルさまが大きな箱を抱えて入って来る。
もちろん後からノースさんとジョンさんもやって来る。
「早い!有難うございます、手伝いに行けなくてすみません」
「このくらいへっちゃらよ!
いつもお世話なってる、国単位で!」
なんて有難いご縁だろう…と感謝していると、4人の後ろからもう1人、箱を持った人が現れて、言った。
「教室の連中は霊験あらたかなユーフォルビアクッキーで手を打ってやるってよ」
「トレッドさん!来てくれたんですか!?」
「そりゃ内戦が起きるかどうかの瀬戸際でココに居ないじゃ話になんねえだろ!」
すごい早さでお守りのプレートが出来た。
真ん中の凹みに魔石をセットする。
あとはこれを、昨日ウィン兄が王宮お針子部隊から預かって来てくれた袋に入れて…
「…よし」
「僕も袋詰め手伝います!」
「じゃあ俺もそれ手伝う」
「じゃあ俺は出来たやつを封筒に入れて封をするわ」
「じゃあ僕は行先毎に箱に分類します」
「じゃあ俺は人手を呼んでくるわ」
一気に作業は加速。
殿下も生徒会終わりに駆け付けてくれて、お手紙は無事に完成。
その日集まってくれたセリンセ商会の皆さんに闇飛ばしをして、ついでに荷物も持って行って貰う。
今回もセリンセ商会内に被害者は無し。
「…不思議だなあ」
「何がです?」
「いや、流通なんていきなり狙われても良さそうなもんなんだけどな…って」
「ふむ…特に王都との行き来をしている者などは標的にされやすいと思っていたが…」
「もしかして馬車には効かないとか?」
もし、あえてセリンセだけ狙われていないとするなら何か意図があるのかも…
と考えていると、モロー君が「そういえば!」と切り出した。
「うちでは馬車を引く馬の為に、御者全員に疲労回復の魔道具を持たせているんです。
あれって何か関係ありますか?」
「…あっ」
絶対それやん!
多分やけど!!
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