当て馬にも、ワンチャンあってしかるべき!

紫蘇

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学園6年目

結婚式大作戦 3 ~ウィン兄視点~

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心配だから迎えに行こう…とルーが言うので、俺とディー、アルファードとルーの4人で街道を走った。
ルーは馬に乗れないのでアルファードと一緒だ。
馬の速度が怖いのか、はたまた高さが怖いのか、固くなって地面ばかり見ている…

ただ、そのおかげなのか、街道の異常に最初に気が付いたのもルーだった。

「あっ、あそこ、掘り返されてる!」
「ここで何かあったんだね…校長かな」
「こっちに来てないということは、向こうの道とこっちの道のどっちか…」
「どっちも、かもね。
 あっちにも馬車が進んだ跡があるし」
「では2手に分かれるか。
 こっちは俺とルース、あっちはお前とディーだ」
「了解」

悔しいけど、指揮官としてアルファードはとても優秀だ。
こういう時は奴の指揮に従うのが一番いい。

「さて、じゃあ行きますかね」
「こっちって王都へ戻る方だよね?
 途中から石畳だけど、目印あるかな…」
「敵だけで行ってるならそうだろうけど、うちのが誰か一緒なら何かあるよ」

急いで馬を走らせる。
途中から石畳の道へ…

「あ、ほら…まん丸の泥団子」
「本当だ、ヘザーが魔力操作の練習で作ってたやつ」
「んじゃ、ヘザーは居るんだな…
 ん?これ焼き固められてる」
「じゃあカートもいるんだな」

泥団子から次の泥団子へと移動を続ける俺とディー。
いつの間にか王都を抜けて、石畳の道は終わり、土を踏み固めた道に変わる。

「うーん…これってさ、王都に入る前に泊まった宿屋の方に向かってない?」
「言われてみれば…」

俺もディーも、カメリアには馬に乗って来た。
そのおかげで景色をばっちり覚えていた…

道中、馬車の中でイチャコラしていたアルファードと違ってね。

「って、まさか俺らがこっちへ回されたのってそういう事か?」

確かに来た道だから迷う事もない。
こういうのはクネクネと追手が来ても巻ける様に進むのが定石のはずだけど…

「ってことは、素人か」
「素人相手ならそれほど苦労しなくて良さそう…
 しかし、追いつかないなあ」
「結構飛ばしてるのかもね。
 目的地があの宿だったら結構な距離だし…」
「馬車の人数も減ってる…かも?」
「そうだね、急ごう」

俺たちが馬の速度を上げようとしたその時。

ドォオン!

急な爆発音。
「何!?」
「あ、あっちだ!急げ!」

俺たちは馬を最高速で走らせる。
何があったんだ!?
みんな、無事でいろよ…!!

***

急いだ先には、大きな屋敷。
どうやらこのあたりを治めている領主の屋敷らしい。

「門が壊れてる!そのまま乗り込むぞ!」
「おう!!」

屋敷の中からは「ぎゃあ!」とか「うわあ!」とか悲鳴が聞こえる。
「助けてくれ」という声も…

「屋敷の中か!?」
「行くぞ!!」

馬から飛び降り、剣を抜いて屋敷に侵入する。
玄関ホールには何人か武器を持った人間が転がっている。
一階はすでに制圧済みなのか静かだ。
二階から声が聞こえる。

「サンダー!」
「サンダーアロー!!」
「先生、カート、やりすぎだよう!!」
「いいからヘザー先輩はそいつらをライフグロウで拘束してください!」

…どうやら、校長とカートとヘザーがいるらしい…

「行くか」
「ああ」

階段を上がり、声のするほうへ行く。

「校長!カート!ヘザー!!」

大きな声で3人を探すと、階段から右側の通路にひょっこりと3人が現れる。
俺たちを見て、校長が言う。

「おお、良い所に!
 ちょっと地下牢を探してくれんか」
「地下ですか?」
「おお、そこへ人質が…おい御者殿、あの2人についていけ」
「は、はいっ…」

御者?
まあいい、地下だな…

「儂らこのまま3階を制圧に行くからの~」
「お願いしますね!」
「はいはーい」

俺とディーはその男を連れて、地下室を探しにまた1階へ降りた…。
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