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学園6年目
ネタバラシ
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下手糞なダンスを踊り、皆様の生温かい視線を浴びるという苦行が終わった。
肩で息をする俺に話しかける人もおらず、また殿下に話しかける猛者もおらず…。
なので、俺はあえてこの場であの結婚式で起きたアレコレについて聞くことにした。
「殿下、今回の件…どこまで聞いてたんですか」
「ん、ああ…もしかしたら父親たちが結婚式を反対している裏に、王弟がいるかもしれないとは聞いていた」
どうやら拳で語り合うと相当仲が良くなるものらしい。
いつの間にか腹を割って話せる間柄になっていたとは…まあ、スプーラ殿下が暫くローズに留まっていたのもあるんだろうけど。
「それだけ?」
「まあ、そうだな…
あとはゴードから招待状が届いた人間を見れば、少なくとも戦闘の一つ二つは覚悟していくべきだと思った」
「…つまりゴード先輩は、調子に乗って沢山友達を呼んじゃったテイで援軍を頼んだってことですね」
「そういうことだな。
まあ呼ばれていなくても、お祖父様は勝手に全員を連れてくるのだろうが…」
そういえば、シャラパールでの一件が片付いた後、ノースさんが「次はカメリアだ」みたいな事を言って、それにおじいちゃん先生が「みんなを連れていけるようにする」って言ってたな。
「確実に来てもらわなければ困るって事か…」
ゴード先輩がその事を覚えていたかどうかは分からないけど、敵に悟られず援軍を呼ぶ最適解だよな。
もし何も無くても、全員がゴード先輩と同じ戦場で戦ったぐらい深い関係だし、言い訳はどうとでもなる…
何だ、ゴード先輩もしっかり王族してるじゃん。
これなら安心だな。
うんうん…と俺が頷いていると、殿下が言った。
「お前だって薄々気づいていただろう?」
「まあ…この人数は異常ですからね」
でも問題はご両親だけだと思ってたから…
エルさまからの情報に、王弟の話は無かったし。
「12で国を離れたエルグランと、ずっとカメリアにいたスプーラ殿では情報量が違う。
スプーラ殿も、ぎりぎりまで叔父の事を信じると言っていたしな…
それに、なるべく弟には触れさせたくない話だったようだから」
それはそうだ。
国を出るまでずっと自分を持ち上げてた派閥が、あっさり叔父さんに鞍替えしてるなんてショックだろう。
何か裏切られた感じするもんな…
エルさま、昔は繊細な王子様だったし。
「その為に慣れない嘘もついた、と…。
弟思いなんですね、スプーラ殿下」
「そうだな、あの口の悪さと周囲の人間のせいで、あまり伝わっていなかったようだが」
確かに…2人に仲良くされると派閥の長の立場が薄くなっちゃうもんな。
その辺は今後スプーラ殿下が上手くやっていくんだろう…
多分。
今後こんな面倒が起こらない事を祈りつつ、俺は言った。
「周りから兄弟で争うように仕向けられてるんですもんね…2大派閥が常に競っている状態だし」
「ああ、今までの歴史もあるんだろう。
カメリア王家は、常に2人以上の王子がいるからな」
「え、そうなんですか?」
「ああ、養子を取ってでも2人以上を確保するんだ。
1番目に何かあっても次が必ずいる状態を保つ為だろうが、争いの種でもあるな。
今回のように王の兄弟が我が子を王子にしたいがために暗躍したり…過去には色々あったそうだ」
まあそれは分かる。
うちの高位貴族連中だってそれが嫌で、父さんに1人産ませた上に輿入れ先が決まるまで認知しなかったんだから。
おまけに金払いは悪いし…
今からでも取り立ててやろうか!
特にフリージアの親父の方!!
…と、俺が思い出しギレしていると、殿下がそれをどう捉えたのか…言った。
「…カメリアにはユーフォルビアのような都合の良い家は無いからな。
まあ将来ローズでもそうする予定だが」
「有難う御座います」
「当然の事だ…遅すぎたくらいだ」
殿下は悔やむように言う。
だけどそれは…違う。
「…最初に甘やかしたのはユーフォルビアです、そのツケが…7代前の王の時代に回ってきた」
「ユーフォルビアは何も悪くない、王家が…」
「殿下、もう、良いんです。
殿下も俺も…誰も悪くない、悪い奴は…全員表舞台から消えますから」
「…そう、だな」
誰も悪くない。
そう言える時が来たんだ…きっと。
何とかかんとか、ここまで来たんだ。
俺は、珍しく自分から殿下を誘った。
「ね、もう一曲、踊りませんか。
俺、良い事考えついたんですよ!
それに、次に幸せになるのは俺たちなんですから…
多分」
「…多分?」
うん、ちらっと見えちゃった。
「俺たちより先に幸せになりそうな人たちが…
ほら、あそこ」
「あっ…」
そこには、照れくさそうにクリビアさんをダンスに誘うヘヴィさんの姿が、あった。
肩で息をする俺に話しかける人もおらず、また殿下に話しかける猛者もおらず…。
なので、俺はあえてこの場であの結婚式で起きたアレコレについて聞くことにした。
「殿下、今回の件…どこまで聞いてたんですか」
「ん、ああ…もしかしたら父親たちが結婚式を反対している裏に、王弟がいるかもしれないとは聞いていた」
どうやら拳で語り合うと相当仲が良くなるものらしい。
いつの間にか腹を割って話せる間柄になっていたとは…まあ、スプーラ殿下が暫くローズに留まっていたのもあるんだろうけど。
「それだけ?」
「まあ、そうだな…
あとはゴードから招待状が届いた人間を見れば、少なくとも戦闘の一つ二つは覚悟していくべきだと思った」
「…つまりゴード先輩は、調子に乗って沢山友達を呼んじゃったテイで援軍を頼んだってことですね」
「そういうことだな。
まあ呼ばれていなくても、お祖父様は勝手に全員を連れてくるのだろうが…」
そういえば、シャラパールでの一件が片付いた後、ノースさんが「次はカメリアだ」みたいな事を言って、それにおじいちゃん先生が「みんなを連れていけるようにする」って言ってたな。
「確実に来てもらわなければ困るって事か…」
ゴード先輩がその事を覚えていたかどうかは分からないけど、敵に悟られず援軍を呼ぶ最適解だよな。
もし何も無くても、全員がゴード先輩と同じ戦場で戦ったぐらい深い関係だし、言い訳はどうとでもなる…
何だ、ゴード先輩もしっかり王族してるじゃん。
これなら安心だな。
うんうん…と俺が頷いていると、殿下が言った。
「お前だって薄々気づいていただろう?」
「まあ…この人数は異常ですからね」
でも問題はご両親だけだと思ってたから…
エルさまからの情報に、王弟の話は無かったし。
「12で国を離れたエルグランと、ずっとカメリアにいたスプーラ殿では情報量が違う。
スプーラ殿も、ぎりぎりまで叔父の事を信じると言っていたしな…
それに、なるべく弟には触れさせたくない話だったようだから」
それはそうだ。
国を出るまでずっと自分を持ち上げてた派閥が、あっさり叔父さんに鞍替えしてるなんてショックだろう。
何か裏切られた感じするもんな…
エルさま、昔は繊細な王子様だったし。
「その為に慣れない嘘もついた、と…。
弟思いなんですね、スプーラ殿下」
「そうだな、あの口の悪さと周囲の人間のせいで、あまり伝わっていなかったようだが」
確かに…2人に仲良くされると派閥の長の立場が薄くなっちゃうもんな。
その辺は今後スプーラ殿下が上手くやっていくんだろう…
多分。
今後こんな面倒が起こらない事を祈りつつ、俺は言った。
「周りから兄弟で争うように仕向けられてるんですもんね…2大派閥が常に競っている状態だし」
「ああ、今までの歴史もあるんだろう。
カメリア王家は、常に2人以上の王子がいるからな」
「え、そうなんですか?」
「ああ、養子を取ってでも2人以上を確保するんだ。
1番目に何かあっても次が必ずいる状態を保つ為だろうが、争いの種でもあるな。
今回のように王の兄弟が我が子を王子にしたいがために暗躍したり…過去には色々あったそうだ」
まあそれは分かる。
うちの高位貴族連中だってそれが嫌で、父さんに1人産ませた上に輿入れ先が決まるまで認知しなかったんだから。
おまけに金払いは悪いし…
今からでも取り立ててやろうか!
特にフリージアの親父の方!!
…と、俺が思い出しギレしていると、殿下がそれをどう捉えたのか…言った。
「…カメリアにはユーフォルビアのような都合の良い家は無いからな。
まあ将来ローズでもそうする予定だが」
「有難う御座います」
「当然の事だ…遅すぎたくらいだ」
殿下は悔やむように言う。
だけどそれは…違う。
「…最初に甘やかしたのはユーフォルビアです、そのツケが…7代前の王の時代に回ってきた」
「ユーフォルビアは何も悪くない、王家が…」
「殿下、もう、良いんです。
殿下も俺も…誰も悪くない、悪い奴は…全員表舞台から消えますから」
「…そう、だな」
誰も悪くない。
そう言える時が来たんだ…きっと。
何とかかんとか、ここまで来たんだ。
俺は、珍しく自分から殿下を誘った。
「ね、もう一曲、踊りませんか。
俺、良い事考えついたんですよ!
それに、次に幸せになるのは俺たちなんですから…
多分」
「…多分?」
うん、ちらっと見えちゃった。
「俺たちより先に幸せになりそうな人たちが…
ほら、あそこ」
「あっ…」
そこには、照れくさそうにクリビアさんをダンスに誘うヘヴィさんの姿が、あった。
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