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学園6年目
結婚前夜 1
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「ゼフ父さん、ロイ父さん!お帰り!」
「ただいま、ルース。大きくなったね」
俺と殿下の結婚式に出席するために、父さんたちが一足先に我が家に帰ってきた。
ちなみに兄さんたちは明日帰って来る。
執事リチャードは朝から走り回り、俺は王宮ルームメイク小隊に泣きついて屋敷の体裁を整えた。
先日後宮の名称を「正室補佐局」、側室を「補佐官」へと名称を改めたおかげで、ベルガモット親子と魔法侯爵たちを補佐局(旧後宮)へ移動できたから大急ぎで原状復帰をして…
間に合って良かった。
ロイ父さんは執事リチャードを労う。
「リチャード、留守番ご苦労だったね」
「有難う御座います、旦那様」
「トリエステは辞めたんだって?」
「ええ、転職して今は性の悩みを専門にするクリニックを経営しています」
「そりゃまた随分と出世したね!」
「ルース坊ちゃまのおかげです」
「ああ、色々聞いているよ」
ゼフ父さんがそう言ってにっこり笑う。
そして俺に向かって、言う。
「ルース、父さんたちが旅行に行っている間の事、教えてくれるかい?」
その笑顔は、怒ってるとも頑張ったねとも取れるような…
とても懐かしい笑顔だった。
***
父さんたちが旅行に行っている間の出来事は、何から話していいか分からないくらい沢山あった。
お昼を食べながら話して、それは晩御飯の時間になっても終わらなかった。
日付が変わるころ、ようやく3日後の結婚式の話をして…
そして俺は、ついに、父さんに今後のユーフォルビアをどうしたいかを話した。
ゼフ父さんは言った。
「ユーフォルビアに一旦区切りを付ける、か…」
「ごめんなさい、勝手な事して…。」
「いや、良いんだ。
僕もロイも伯爵という地位に拘りはないしね。
明日から平民だと言われてもやっていく自信はあるし、別に構わないよ。
もう苗床を狙ってくる人も居ないしね」
「……ゼフ父さん」
父さんは続けた。
「ユーフォルビアという家は特殊すぎた。
色んな国へ行って来たけど、うちみたいな家はどこにも無かったよ…
子どもを産んでやる家なんてものはね」
「やっぱりそうなんだ?」
「ああ、うちの子たちが輿入れした先でなくても、そういう家は無いんだよ」
ゼフ父さんはそう言って哀しげに笑って、続けた。
「王家と伯爵家では身分が釣り合わないなんて騒ぐ国も多いけど、王子様と平民が結婚できる国もあった。
世界は本当に広いんだと思ったよ」
「へえ…そうなんだ!
色んな国があるんだね」
「ああ、本当にね。
家を継がせる子が血縁のない養子でも構わないという国も多いよ。
世界を見て回って、分かったんだ…
この国は帝国の悪い部分を継いでいるんだって」
俺は、ゼフ父さんの気持ちを知りたくて聞いた。
「……父さんは、ユーフォルビアをどう思う?」
「捨てられるなら捨てたいと思うこともあったよ。
それでも過去の当主が残した研究やカルテがある限り、守って行かなくちゃいけないとも思った。
だけどユーフォルビア家は上辺の印象からの悪評ばかりが語られるようになって…
もう、どうでも良くなってしまったんだ」
だから次期当主になるであろう俺に、あえて当主教育をしなかった…と父さんは言った。
「もしユーフォルビアとして扱われても辛くならないように、嫉妬と独占欲を持たないようにだけは仕向けた。
そうすれば、もし恋をしても美しい思い出だけが残ると思ったから…
実らない恋をする確率のほうが高いと思ったからね」
ロイ父さんが言った。
「冒険者になりたいと言って、独学で魔法を使えるようになったルースを見て…一人でも生きていける強さがあるなら、好きにさせてやれるんじゃないかって、言ったんだ。
ユーフォルビアでいるのはうんざりだって、ゼフさんはずっとそう言っていたから」
「…そうか」
今まであったことを振り返って思う。
家に縛られる事無く、自由奔放にやらせてもらったなって。
それは殿下や周りの皆のおかげで、父さんたちのおかげだった。
俺は改めて二人に聞いた。
「ゼフ父さん、ロイ父さん。
俺と殿下の結婚に、賛成してくれる?」
ロイ父さんは言った。
「勿論だよ。お互い愛し合っていて、しかもお互い利益があるなら、反対するほうがおかしいだろう?」
ゼフ父さんは言った。
「本当かい?
僕はルースをどこにもやりたくないけどね」
俺はゼフ父さんの言葉に驚いて、聞いた。
「えっ、どうして?」
するとゼフ父さんは俺の頭を撫でて、言った。
「ルースの目と髪は、リードの色だから。
この色を他人に奪われるのは…悔しい」
そう言って、ゼフ父さんは艶然と…
笑った。
「ただいま、ルース。大きくなったね」
俺と殿下の結婚式に出席するために、父さんたちが一足先に我が家に帰ってきた。
ちなみに兄さんたちは明日帰って来る。
執事リチャードは朝から走り回り、俺は王宮ルームメイク小隊に泣きついて屋敷の体裁を整えた。
先日後宮の名称を「正室補佐局」、側室を「補佐官」へと名称を改めたおかげで、ベルガモット親子と魔法侯爵たちを補佐局(旧後宮)へ移動できたから大急ぎで原状復帰をして…
間に合って良かった。
ロイ父さんは執事リチャードを労う。
「リチャード、留守番ご苦労だったね」
「有難う御座います、旦那様」
「トリエステは辞めたんだって?」
「ええ、転職して今は性の悩みを専門にするクリニックを経営しています」
「そりゃまた随分と出世したね!」
「ルース坊ちゃまのおかげです」
「ああ、色々聞いているよ」
ゼフ父さんがそう言ってにっこり笑う。
そして俺に向かって、言う。
「ルース、父さんたちが旅行に行っている間の事、教えてくれるかい?」
その笑顔は、怒ってるとも頑張ったねとも取れるような…
とても懐かしい笑顔だった。
***
父さんたちが旅行に行っている間の出来事は、何から話していいか分からないくらい沢山あった。
お昼を食べながら話して、それは晩御飯の時間になっても終わらなかった。
日付が変わるころ、ようやく3日後の結婚式の話をして…
そして俺は、ついに、父さんに今後のユーフォルビアをどうしたいかを話した。
ゼフ父さんは言った。
「ユーフォルビアに一旦区切りを付ける、か…」
「ごめんなさい、勝手な事して…。」
「いや、良いんだ。
僕もロイも伯爵という地位に拘りはないしね。
明日から平民だと言われてもやっていく自信はあるし、別に構わないよ。
もう苗床を狙ってくる人も居ないしね」
「……ゼフ父さん」
父さんは続けた。
「ユーフォルビアという家は特殊すぎた。
色んな国へ行って来たけど、うちみたいな家はどこにも無かったよ…
子どもを産んでやる家なんてものはね」
「やっぱりそうなんだ?」
「ああ、うちの子たちが輿入れした先でなくても、そういう家は無いんだよ」
ゼフ父さんはそう言って哀しげに笑って、続けた。
「王家と伯爵家では身分が釣り合わないなんて騒ぐ国も多いけど、王子様と平民が結婚できる国もあった。
世界は本当に広いんだと思ったよ」
「へえ…そうなんだ!
色んな国があるんだね」
「ああ、本当にね。
家を継がせる子が血縁のない養子でも構わないという国も多いよ。
世界を見て回って、分かったんだ…
この国は帝国の悪い部分を継いでいるんだって」
俺は、ゼフ父さんの気持ちを知りたくて聞いた。
「……父さんは、ユーフォルビアをどう思う?」
「捨てられるなら捨てたいと思うこともあったよ。
それでも過去の当主が残した研究やカルテがある限り、守って行かなくちゃいけないとも思った。
だけどユーフォルビア家は上辺の印象からの悪評ばかりが語られるようになって…
もう、どうでも良くなってしまったんだ」
だから次期当主になるであろう俺に、あえて当主教育をしなかった…と父さんは言った。
「もしユーフォルビアとして扱われても辛くならないように、嫉妬と独占欲を持たないようにだけは仕向けた。
そうすれば、もし恋をしても美しい思い出だけが残ると思ったから…
実らない恋をする確率のほうが高いと思ったからね」
ロイ父さんが言った。
「冒険者になりたいと言って、独学で魔法を使えるようになったルースを見て…一人でも生きていける強さがあるなら、好きにさせてやれるんじゃないかって、言ったんだ。
ユーフォルビアでいるのはうんざりだって、ゼフさんはずっとそう言っていたから」
「…そうか」
今まであったことを振り返って思う。
家に縛られる事無く、自由奔放にやらせてもらったなって。
それは殿下や周りの皆のおかげで、父さんたちのおかげだった。
俺は改めて二人に聞いた。
「ゼフ父さん、ロイ父さん。
俺と殿下の結婚に、賛成してくれる?」
ロイ父さんは言った。
「勿論だよ。お互い愛し合っていて、しかもお互い利益があるなら、反対するほうがおかしいだろう?」
ゼフ父さんは言った。
「本当かい?
僕はルースをどこにもやりたくないけどね」
俺はゼフ父さんの言葉に驚いて、聞いた。
「えっ、どうして?」
するとゼフ父さんは俺の頭を撫でて、言った。
「ルースの目と髪は、リードの色だから。
この色を他人に奪われるのは…悔しい」
そう言って、ゼフ父さんは艶然と…
笑った。
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