当て馬にも、ワンチャンあってしかるべき!

紫蘇

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新婚旅行

秘密の買い物 ~アルファード視点~ ※

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今日もルースは第一騎士団へ属性開放に行った。
おかげでバザールの視察は俺一人だ…
腹が立ったので、ルースにアレクを付け、俺の護衛にトルセンを引っ張ってきたが…

「…これはこれで、都合が良かったかもしれんな」

俺とトルセンは、とある店の中で立ち止まる。

「本気ですか、殿下…」
「お前だって見たくは無いか?」
「そりゃまあ、見たい…ですけど、でも…」
「欲望に素直になれば、見えてくるものもある」
「えっ…ええ…」
「問題ない。
 向こうにも、こちらの我儘を叶えてやりたいという欲があるものだ」

…ここは広場から伸びるアーケード街を一本入った所にある衣料品の店。
表は普通の服屋だが、奥には普段の着用に向かない服が所狭しと並ぶ…

まあ、簡単に言うと閨着の専門店だ。

そう言えばルースが新しい部屋着が欲しいと言っていたな…と思い、少し覗いてみる事にしたのだが…

そこでまさか、運命の出会いをするとは。
さすがバザール、と言ったところだろうか。

「ルースも新しい部屋着が欲しいと言っていたからな」
「…これを部屋着に…?正気ですか殿下」

正気も何もない。
大体正気で居られるわけがないだろう…
大勢の男と、あんな風に手をつないで、あまつさえ…

「そういえばお前も、ルースに属性開放して貰ったのだったな」
「ええ、そうです。
 俺は強制絶頂しなかったですけ…ど、ね…」

くくく…どうやら何か思い出したらしい。
トルセンは、さっきまで買うのをためらっていた閨着をふんだくるように手に取って、会計場へ行った。

***

夕方になりホテルに帰ってきたルースを風呂へ誘導し、いつもどおりきれいにしてからベッドへ運ぶ。

魔法を使い込んで少々眠気が強まっているらしいルースはされるがままだ。

「…全く、昨日に引き続き…」
「公平にって、言われたら、仕方な…ふわぁ」

ついでに雷魔法のレクチャーも散々してやったというのだから腹立たしい。
第一騎士団め…ルースの平等主義につけ込むとは。

「全く、仕方の無いやつだな」
「うふ…ぬ、ごめん…」

だが、この方が都合が良い。
今にも寝こけてしまいそうなルースに今日買った衣装を着せていく。

「んむ…」

まずは腰にベルトをまく。
前でしっかりと固定し、後ろの垂れた布を前に持ってくる。
その布の両側に開けられた穴を、ベルトに付いた2つのフックへ引っ掛ける。
店でフックの位置を調整したのがぴったりで気分が良い。

「ん、なに…おしり、すーすーする…」

…それはそうだろう。
尻の穴のあたりが丸く空いているからな。

付属品のにクリームをつけ、つるりと尻の少し奥へ入れてやる。
道具から伸びた導線が、ベルトに付けられた長い尻尾の中へと伸びている。

「んっ…?な、ぁに…」
「…何でもないぞ?」
「ほんと…かなぁ…ふにゅ」

ふう、危なかった。
まあ途中で目が覚めても最後まで着せきる自信はある…
ルースが帰るまでに散々イメトレしたからな。

次に、上着のパーカーだ。
袖が長く口は閉じられていて、身ごろ丈は短い。
黒い猫耳のついたフードを被せて、下から上までボタンを留めていく。
首の部分に付いているベルトを顎の下で留める。
金色の鈴がちりんと鳴る…

「ん…あったかい…」

…それはそうだろう。
ルースの部屋着と似た生地で出来ているからな。

最後に、脚だ。
パーカーと同じ生地で出来た膝下の靴下を履かせ、膝上にガーターリングを着ける。
この前赤を試したから、今回は黒にした。

ルースが両手で腹をさすさすと撫でる。

「にゅ…おなかさむい…」

…それはそうだろう。
腹から膝まで、ほぼ何もつけていないのだからな。

「…出来た」

全てを着せ終えて、ルースを眺める。

「ふむ…これは良い買い物をした」

全景を見る為、一旦ベッドから降りて離れる。
ルースが寝がえりを打ち、こちら側を向く。
もぞもぞと動いて尻尾を両手で挟み込む。
尻尾を巻き込んだのが気持ち悪かったらしい。
毛が顔に触れるのが気持ちいいのか、寝ぼけたままそれにじゃれるルース。

「ふふ…いけない黒猫さんだな」

だがその尻尾には仕掛けがある。
先端に尻へ埋めた玩具のスイッチが仕込まれているのだ…だから何かの拍子にそれを押してしまうと、

「んにゃっ!?あ、やぁ!?」

…ふふっ。

「あっ、やん、なんで、ああんっ」

ルースがくねくねと暴れる。
だが指でそこを探ろうにも袖の先は閉じられていて、猫の手を模した形になっているからうまくいかないようだ。

「や、とってぇ、ひゃ!?あん!?」

…暴れているうちにまたスイッチに触れたのか、振動が激しくなったらしい。
黒猫ルースは首の鈴をちりちりと慣らしながら悶える。

「やら、あ、なんれっ、あひっ!!」

俺はその姿をベッド脇から眺めながら…

「『ルース、お前は今から「にゃあ」としか言ってはいけない』」

と、おかしな<命令オーダー>を下していた。

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