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あの人は今
忘れられたあの人
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妊娠が分かってからというもの、殿下はより過保護になった。
何があっても困るので、念の為補佐局のみんなへは妊娠を報告した。
カート君は
「おめでとうございます!」と祝福してくれ、
ヘザー先輩は
「うちの子も後4か月くらいかなって…」とはにかみながら爆弾発言をし、
エルさまは
「うちは今月末…今、おへそマッサージ最後の追い込み中」と大きなおなかをさすり、
ジョンさんは
「まさか子どもを授かれる人生になるとは思わなかった」と幸せそうに笑い、
イドラ君は
「おめでとうルース!ベビー用品なら任せて」とカタログを持ち出し、
ソラン先輩は
「これさ、可愛いのいっぱいでね、こっからここまで買っちゃった」と無駄使いを告白し、
カイト君は
「俺たちはまだ2年あるからなぁ…」と呟き、
デューイ君は
「か、カイトさんが望んでくれるなら、僕…」と真っ赤になり、
ノースさんは
「目出度いね!うちも出来た、今から可愛い」と謎の親馬鹿を発揮し、
ガーベラ先輩は
「ベビーカーにホバー機構を付けたら、ガタガタしなくて赤ちゃん快適かなって」と育児魔導具のアイデアを披露し、
シンカンチョーは
「生誕の祝福は任せろ」と頼もしく胸を叩き、
ダグさんは
「無事に産まれるといいな!」と激励してくれ、
ルディ君は
「きっと可愛いでしょうね、羨ましいです…ね、ワルド先輩」と意味深に隣を見つめ、
ワルド先輩は
「ま、まだ、もうちょっと待て…」と焦り、
ジュリさんは
「俺が閨教育してやるから!」と言い、
ミゼさんは
「気が早すぎるでしょ!」と笑い……
そしておじいちゃん先生は
「そうか…そうか、うん…」とニヤニヤしながらどこかへ行った。
魔法侯爵とベルガモット校長には帰って来てから報告することにして、俺は3ヶ月の視察中の成果や課題をみんなに伝えてそれぞれ取り組んでもらいたい事を振り分けた。
「取り敢えず俺は、1ヶ月後の米食促進会議に合わせて、漁港観光地化計画と、季節の食のトレンド化計画を進めて行こうかな…」
「ルースさん、あまり無理しないで下さいね?」
「うん、体調が悪くなったら殿下に変わってもらうから…ね、アル」
「任せろ」
3ヶ月、馬車の中も宿の中もずっと一緒だった。
散々エッチもしたけど、仕事の話はもっとした。
だから殿下に任せておけば大丈夫!
「頼りになる伴侶殿で良かった」
「そうだろう?
だからルースは離れに戻って休んでいろ」
「うん、ありがと」
殿下の勧めで俺は王宮カフェに戻り、今日担当の神官見習いさんにオレンジジュースをお願いする。
窓際の席に座って補佐局との間にある生垣を眺めながら一息つく。
「何だか実感が無いなぁ」
妊娠してるとは言うものの、あんま体調の変化とか無いんだよな…
悪阻で食べられないとか、
逆に滅茶苦茶食べるとか、
特定の物しか食べられないとか、
血圧に異常が出たりとか、
糖尿の症状が出たりとか、
妊娠したら色々な異常が体に出る人のほうが多いみたいなのに。
こういう個人差ってどこから来るんだろ。
「妊娠中の体調が安定する要因…か…」
これって子爵時代の家業と関係しそうなもんだけど、特に手記には残ってないんだよな。
「まだまだ研究されつくしたとは言えないな」
誰もが産める世界だからこそ、安全な出産と快適な妊娠期間、それから安心できる子育ては大事なはず。
「まあ、誰でもってわけにもいかないか…」
ふと、窓の外を見る。
向こうからカール伯父さんがやって来るのが見える。
「伯父さん…失恋から立ち直ってると良いんだけど」
「あっ、思い出した!」
「ふえっ!!?」
急にカフェにいた1人の近衛騎士さんが声を上げた。
俺がそっちを見ると、彼がささっと近づいてきて跪き、俺に報告した。
「カール様の主治医だった、という男を貴族牢へ保護しております」
「えええええアルファード殿下には!?」
「今すぐ報告して参ります!!」
なんちゅうこと忘れとんねん!!
君ら鬼なんか!?
======
そろそろ書くのも限界になってきたため、週1回程度の更新にして、ちょっとずつ周りの人の話を書いていけたらと思っています。
細々と続く事になりますが、お付き合いの程、宜しくお願い致します。
2023/06/21 紫蘇
何があっても困るので、念の為補佐局のみんなへは妊娠を報告した。
カート君は
「おめでとうございます!」と祝福してくれ、
ヘザー先輩は
「うちの子も後4か月くらいかなって…」とはにかみながら爆弾発言をし、
エルさまは
「うちは今月末…今、おへそマッサージ最後の追い込み中」と大きなおなかをさすり、
ジョンさんは
「まさか子どもを授かれる人生になるとは思わなかった」と幸せそうに笑い、
イドラ君は
「おめでとうルース!ベビー用品なら任せて」とカタログを持ち出し、
ソラン先輩は
「これさ、可愛いのいっぱいでね、こっからここまで買っちゃった」と無駄使いを告白し、
カイト君は
「俺たちはまだ2年あるからなぁ…」と呟き、
デューイ君は
「か、カイトさんが望んでくれるなら、僕…」と真っ赤になり、
ノースさんは
「目出度いね!うちも出来た、今から可愛い」と謎の親馬鹿を発揮し、
ガーベラ先輩は
「ベビーカーにホバー機構を付けたら、ガタガタしなくて赤ちゃん快適かなって」と育児魔導具のアイデアを披露し、
シンカンチョーは
「生誕の祝福は任せろ」と頼もしく胸を叩き、
ダグさんは
「無事に産まれるといいな!」と激励してくれ、
ルディ君は
「きっと可愛いでしょうね、羨ましいです…ね、ワルド先輩」と意味深に隣を見つめ、
ワルド先輩は
「ま、まだ、もうちょっと待て…」と焦り、
ジュリさんは
「俺が閨教育してやるから!」と言い、
ミゼさんは
「気が早すぎるでしょ!」と笑い……
そしておじいちゃん先生は
「そうか…そうか、うん…」とニヤニヤしながらどこかへ行った。
魔法侯爵とベルガモット校長には帰って来てから報告することにして、俺は3ヶ月の視察中の成果や課題をみんなに伝えてそれぞれ取り組んでもらいたい事を振り分けた。
「取り敢えず俺は、1ヶ月後の米食促進会議に合わせて、漁港観光地化計画と、季節の食のトレンド化計画を進めて行こうかな…」
「ルースさん、あまり無理しないで下さいね?」
「うん、体調が悪くなったら殿下に変わってもらうから…ね、アル」
「任せろ」
3ヶ月、馬車の中も宿の中もずっと一緒だった。
散々エッチもしたけど、仕事の話はもっとした。
だから殿下に任せておけば大丈夫!
「頼りになる伴侶殿で良かった」
「そうだろう?
だからルースは離れに戻って休んでいろ」
「うん、ありがと」
殿下の勧めで俺は王宮カフェに戻り、今日担当の神官見習いさんにオレンジジュースをお願いする。
窓際の席に座って補佐局との間にある生垣を眺めながら一息つく。
「何だか実感が無いなぁ」
妊娠してるとは言うものの、あんま体調の変化とか無いんだよな…
悪阻で食べられないとか、
逆に滅茶苦茶食べるとか、
特定の物しか食べられないとか、
血圧に異常が出たりとか、
糖尿の症状が出たりとか、
妊娠したら色々な異常が体に出る人のほうが多いみたいなのに。
こういう個人差ってどこから来るんだろ。
「妊娠中の体調が安定する要因…か…」
これって子爵時代の家業と関係しそうなもんだけど、特に手記には残ってないんだよな。
「まだまだ研究されつくしたとは言えないな」
誰もが産める世界だからこそ、安全な出産と快適な妊娠期間、それから安心できる子育ては大事なはず。
「まあ、誰でもってわけにもいかないか…」
ふと、窓の外を見る。
向こうからカール伯父さんがやって来るのが見える。
「伯父さん…失恋から立ち直ってると良いんだけど」
「あっ、思い出した!」
「ふえっ!!?」
急にカフェにいた1人の近衛騎士さんが声を上げた。
俺がそっちを見ると、彼がささっと近づいてきて跪き、俺に報告した。
「カール様の主治医だった、という男を貴族牢へ保護しております」
「えええええアルファード殿下には!?」
「今すぐ報告して参ります!!」
なんちゅうこと忘れとんねん!!
君ら鬼なんか!?
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そろそろ書くのも限界になってきたため、週1回程度の更新にして、ちょっとずつ周りの人の話を書いていけたらと思っています。
細々と続く事になりますが、お付き合いの程、宜しくお願い致します。
2023/06/21 紫蘇
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