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執事と執事
ウルフレッド君の試練
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ウルフレッド君の修行も順調に進み、いつの間にか2週間が過ぎた。
今日はリチャードが不在なので、ウルフレッド君が一人でこの家の執事を務めるそうだ。
「それでは、失礼致します」
「ああ、ありがとう」
「あっ、はい!っと、失礼致します!」
ちなみに、今日リチャードが居ないのは、色街のトップが集まる会議があるからだ。
年に1度の性病予防講習を受けるついでの相談会に、相談される側として出席するんだって。
リチャードも出世したなぁ。
「…お湯、ちょっと熱いかな」
「まあ、使えない程じゃないから合格にしてあげようよ」
「そうだね、王宮では誰か他の人がお湯の加減を見ているんだろうし…」
うちでは雑事の殆どをリチャードがやってくれている。
掃除・洗濯、朝食の準備、来客対応、手紙の分類、書類整理、蔵書管理…
「こうして考えると、リチャードの仕事って多いよね」
「余裕がありそうに見えるけどね」
ルースが生まれた頃から執事をやっているリチャードは、何の苦も無くこなしてしまう。
実は僕もゼフさんも執事が何かを知らないまま、何となく雰囲気で執事にしたんだよね…。
ほんと申し訳ない。
身支度を整えて朝食を食べに食堂へ行く。
厨房から「わぁー!」という声が聞こえる。
僕とゼフさんは大慌てで厨房へ走る。
「どうしたのウルフ君!?」
「おっ、お湯が吹きこぼれてっ!!」
「すぐに離れなさい、火傷するよ!」
「は、はい!」
「ウォーターっ」ぴしゃっ、ジュッ。
…どうやら火が少し強かった事で予想より早く湧き過ぎたらしい。
ゼフさんが魔法で火を消し止めて事無きを得たけど、ほんと危ないんだから!
「リチャードはもう何年もこれをしているからまだしも、基本的に火の元から目を離すのは駄目だよ?」
「はい…」
朝から泣きそうなウルフレッド君。
仕方ないので朝食を一緒に準備する事に…。
「湯もまともに沸かせないなんて…」
「まあまあ、そんなに自分を責めないでよ」
「でも、旦那様方のお手を煩わせてしまって」
しょんぼりMAXなウルフレッド君を僕らは何とか慰めようと話しかける。
「この程度で煩わしいなんて無いよ!ロイの特技は料理だしね」
「そうそう、リチャードが休みの時は大体2人でやってるし、気にしなくて良いよ」
「えっ、リチャードさんがお休みになる事があるのですか?」
ウルフレッド君が信じられない、という目でこっちを見る。
いや普通王宮の執事にも休みはあるでしょ…あるよね?
「今日だって朝からいないでしょ?
まあそれ以外にも、昔の仲間と会う時とか…」
「なかま?」
「うん、うちで庭師してたトリエステね」
「トリエステ、さん…」
トリエステの名前を出すと、ウルフレッド君がちょっと物憂げな顔になる。
うん?何で?まあいいか。
「ウルフレッド君だって休みはあるでしょ?」
「あ、はい、それはそうですが…ここに代わりの執事はいないのですよね?」
「いないよ?そもそも、ユーフォルビア家に使用人がいる事自体珍しいんだもん…
だよね、ゼフさん?」
「そうだね、長らく雇った形跡は無いね。
使用人の部屋も無かったし…リチャードとトリエステだって、最初は物置小屋で寝てたと思う」
「物置小屋っ!?」
ウルフレッド君は驚いて皿を落としかけた。
危ない危ない…
「そう、取り敢えずの場所がそこしかなくてさ、仕方なく1つのベッドに2人で…」
「ふたりで?同じベッドで?」
「そうだよ?」
「ふ、ふたりで、おなじべっど…」
うん?
僕なんかまずいこと言った…?
あっ!労働環境悪すぎたから引いてる!?
「いや物置で寝てたのは半月も無かったよ?
どっかの部屋片づけて、そこに移動したんだ、別に野ざらしにしてたわけじゃないよ、ね、ゼフさん?」
「そうそう、上の子たちはもう留学したり就職したりで家に居なかったから子ども部屋が空いて、ね!」
慌てて言い訳する僕らに、ウルフレッド君はさらに物憂げな顔になる。
「でもベッドは二人でひとつ…」
「一人ひとつになったから!!」
どうしちゃったのこの子!?
旦那様方に説明してリチャード!!
今日はリチャードが不在なので、ウルフレッド君が一人でこの家の執事を務めるそうだ。
「それでは、失礼致します」
「ああ、ありがとう」
「あっ、はい!っと、失礼致します!」
ちなみに、今日リチャードが居ないのは、色街のトップが集まる会議があるからだ。
年に1度の性病予防講習を受けるついでの相談会に、相談される側として出席するんだって。
リチャードも出世したなぁ。
「…お湯、ちょっと熱いかな」
「まあ、使えない程じゃないから合格にしてあげようよ」
「そうだね、王宮では誰か他の人がお湯の加減を見ているんだろうし…」
うちでは雑事の殆どをリチャードがやってくれている。
掃除・洗濯、朝食の準備、来客対応、手紙の分類、書類整理、蔵書管理…
「こうして考えると、リチャードの仕事って多いよね」
「余裕がありそうに見えるけどね」
ルースが生まれた頃から執事をやっているリチャードは、何の苦も無くこなしてしまう。
実は僕もゼフさんも執事が何かを知らないまま、何となく雰囲気で執事にしたんだよね…。
ほんと申し訳ない。
身支度を整えて朝食を食べに食堂へ行く。
厨房から「わぁー!」という声が聞こえる。
僕とゼフさんは大慌てで厨房へ走る。
「どうしたのウルフ君!?」
「おっ、お湯が吹きこぼれてっ!!」
「すぐに離れなさい、火傷するよ!」
「は、はい!」
「ウォーターっ」ぴしゃっ、ジュッ。
…どうやら火が少し強かった事で予想より早く湧き過ぎたらしい。
ゼフさんが魔法で火を消し止めて事無きを得たけど、ほんと危ないんだから!
「リチャードはもう何年もこれをしているからまだしも、基本的に火の元から目を離すのは駄目だよ?」
「はい…」
朝から泣きそうなウルフレッド君。
仕方ないので朝食を一緒に準備する事に…。
「湯もまともに沸かせないなんて…」
「まあまあ、そんなに自分を責めないでよ」
「でも、旦那様方のお手を煩わせてしまって」
しょんぼりMAXなウルフレッド君を僕らは何とか慰めようと話しかける。
「この程度で煩わしいなんて無いよ!ロイの特技は料理だしね」
「そうそう、リチャードが休みの時は大体2人でやってるし、気にしなくて良いよ」
「えっ、リチャードさんがお休みになる事があるのですか?」
ウルフレッド君が信じられない、という目でこっちを見る。
いや普通王宮の執事にも休みはあるでしょ…あるよね?
「今日だって朝からいないでしょ?
まあそれ以外にも、昔の仲間と会う時とか…」
「なかま?」
「うん、うちで庭師してたトリエステね」
「トリエステ、さん…」
トリエステの名前を出すと、ウルフレッド君がちょっと物憂げな顔になる。
うん?何で?まあいいか。
「ウルフレッド君だって休みはあるでしょ?」
「あ、はい、それはそうですが…ここに代わりの執事はいないのですよね?」
「いないよ?そもそも、ユーフォルビア家に使用人がいる事自体珍しいんだもん…
だよね、ゼフさん?」
「そうだね、長らく雇った形跡は無いね。
使用人の部屋も無かったし…リチャードとトリエステだって、最初は物置小屋で寝てたと思う」
「物置小屋っ!?」
ウルフレッド君は驚いて皿を落としかけた。
危ない危ない…
「そう、取り敢えずの場所がそこしかなくてさ、仕方なく1つのベッドに2人で…」
「ふたりで?同じベッドで?」
「そうだよ?」
「ふ、ふたりで、おなじべっど…」
うん?
僕なんかまずいこと言った…?
あっ!労働環境悪すぎたから引いてる!?
「いや物置で寝てたのは半月も無かったよ?
どっかの部屋片づけて、そこに移動したんだ、別に野ざらしにしてたわけじゃないよ、ね、ゼフさん?」
「そうそう、上の子たちはもう留学したり就職したりで家に居なかったから子ども部屋が空いて、ね!」
慌てて言い訳する僕らに、ウルフレッド君はさらに物憂げな顔になる。
「でもベッドは二人でひとつ…」
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どうしちゃったのこの子!?
旦那様方に説明してリチャード!!
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