580 / 586
執事と執事
今言う!? ~ルース視点~
しおりを挟む
補佐局付きの産科医さんは優秀だ。
その優秀さをもってしても、俺の予定日は測りかねる…
というわけで、明日早めに帰省…って言っても、徒歩10、…!
「っ…た、い、っ、あ」
「ルース!?
ちょっと待ってろ、美容部から担架を…」
アルが離れの執事さんを呼ぶベルを激しく振る。
「だいじょぶ、そんな、あわてっ…!」
やばい。
前駆陣痛来た。
まだでも余裕が…っ、い、った、あっ…!
「こ、れ、あ、か、ん、や、つ、や…」
「ルース!大丈夫か、しっかりしろ」
「だ、い、じょぶ、まだ、出ない、から、多分」
その時、部屋の扉が開いて、執事さんと、ウルフレッド君と、王宮カフェに偶然居合わせたおじいちゃんが駆け込んできた。
「早く!美容部から、担架を!」
「かしこまりましてございます!!」
「ユーフォルビア家と医者にも!」
「行ってまいります!!」
殿下の執事さんが美容部へ走る。
ウルフレッド君も実家へ走る。
そしておじいちゃんもどこかへ走る。
「大変じゃ!ルースが、産気づいた!
モーフィス!モーーフーーィス!!」
おじいちゃん…陛下呼んで、どうするんですか…っ!
産医さんの名前は、モーゼス、でしょっ…!
***
そんなこんなで、一回目より大騒ぎしながら実家へ戻り、分娩台に乗って何とか出産に漕ぎ着け…
「…お疲れ様だったな、ルース」
「うん…ありがと、アル…」
無事に双子が出てきて、初乳をあげて寝かせて、次は一人でおねがい…、と神様に祈る。
でも次産んだら5人か…
何人産んだら正解なのか、もう分かんなくなって来たな。
「自分の部屋へ移るかい?ルース」
「うん…そうする」
とにかく今はゆっくり寝たい。
今回は、安定期に入ってからほぼ毎日オーラルセックスして胎児に魔力をあげ続ける事で、2ヶ月程度妊娠期間を短くできた。
「何かの役に立てば良いんだけど…」
「ルースは元々の魔力量が普通じゃないからな」
「そうだよね…」
「だが、毎日ちゃんとそうした触れ合いがあるのは嬉しい」
「そっか……なら、良いや」
ま、今すぐでなくてもそのうち…
何でも記録しておくのが大事だからね。
そうこうしてるうちに分娩室の扉がノックされ、リチャードさんの声がした。
「殿下、坊ちゃま、お部屋のご用意が出来ました」
「ああ、分かった」
アルが返事を返して、俺を抱き上げる。
リチャードさんが計ったように扉を開ける。
「お子様のベッドもすでに運び入れております。
身体測定と検査の後、すぐにお連れ致します」
「うん…助かるよ」
そうしてアルに運ばれて俺の部屋まで行くと、扉の前にはウルフレッド君がいた。
「両殿下、お待ちしておりました」
「うむ」
今度はウルフレッド君が扉を開けてくれる。
アルが俺をベッドの上に降ろすと、リチャードさんが薄手の掛け布団を持って来て掛けてくれる。
「お茶はこちらに…常温で御座います」
「ありがと…助かる」
「他にご希望が御座いましたら、こちらから選んで頂いて」
「あれ、いつの間にメニュー表が…」
「産院としてご活用頂く上では、サービスの向上も必要かと」
「なるほど」
いつの間にかうちの実家、恋愛相談から出産まで承ります!みたいな恐ろしい家になってきたな。
元々の家業が大規模になって還ってきてる感じ…
「こちら、朝食のメニューでございます」
「あら、胃に優しそう…これ、リチャードさんが作ってくれるの?」
「いえ、今回は…サンセベリア様が」
「えっ?」
ウルフレッド君が?なにゆえ?
俺は妙な予感とともに2人の顔を見比べる。
リチャードさんは微妙な引きつり笑顔。
ウルフレッド君はハニカミ笑顔。
えっ何どういう事……?
するとウルフレッド君が、モジモジしながら言う。
「もっとリチャードのお手伝いが出来るように、最近料理を習っているんです」
「へえ…」
「もっと学んで、もっと料理が上手くなって、ゆくゆくはユーフォルビア家のシェフになろうかと」
「……は?」
俺の動揺をよそに、ウルフレッド君はさらに言う。
「3年後を目処に、王宮執事の職を辞してこの家でリチャードと共にユーフォルビア家を守りたいと…」
「待って待って待って」
何ちゅうタイミングで退職を切り出しとんねん!?
出産直後に聞く話じゃねー!!
その優秀さをもってしても、俺の予定日は測りかねる…
というわけで、明日早めに帰省…って言っても、徒歩10、…!
「っ…た、い、っ、あ」
「ルース!?
ちょっと待ってろ、美容部から担架を…」
アルが離れの執事さんを呼ぶベルを激しく振る。
「だいじょぶ、そんな、あわてっ…!」
やばい。
前駆陣痛来た。
まだでも余裕が…っ、い、った、あっ…!
「こ、れ、あ、か、ん、や、つ、や…」
「ルース!大丈夫か、しっかりしろ」
「だ、い、じょぶ、まだ、出ない、から、多分」
その時、部屋の扉が開いて、執事さんと、ウルフレッド君と、王宮カフェに偶然居合わせたおじいちゃんが駆け込んできた。
「早く!美容部から、担架を!」
「かしこまりましてございます!!」
「ユーフォルビア家と医者にも!」
「行ってまいります!!」
殿下の執事さんが美容部へ走る。
ウルフレッド君も実家へ走る。
そしておじいちゃんもどこかへ走る。
「大変じゃ!ルースが、産気づいた!
モーフィス!モーーフーーィス!!」
おじいちゃん…陛下呼んで、どうするんですか…っ!
産医さんの名前は、モーゼス、でしょっ…!
***
そんなこんなで、一回目より大騒ぎしながら実家へ戻り、分娩台に乗って何とか出産に漕ぎ着け…
「…お疲れ様だったな、ルース」
「うん…ありがと、アル…」
無事に双子が出てきて、初乳をあげて寝かせて、次は一人でおねがい…、と神様に祈る。
でも次産んだら5人か…
何人産んだら正解なのか、もう分かんなくなって来たな。
「自分の部屋へ移るかい?ルース」
「うん…そうする」
とにかく今はゆっくり寝たい。
今回は、安定期に入ってからほぼ毎日オーラルセックスして胎児に魔力をあげ続ける事で、2ヶ月程度妊娠期間を短くできた。
「何かの役に立てば良いんだけど…」
「ルースは元々の魔力量が普通じゃないからな」
「そうだよね…」
「だが、毎日ちゃんとそうした触れ合いがあるのは嬉しい」
「そっか……なら、良いや」
ま、今すぐでなくてもそのうち…
何でも記録しておくのが大事だからね。
そうこうしてるうちに分娩室の扉がノックされ、リチャードさんの声がした。
「殿下、坊ちゃま、お部屋のご用意が出来ました」
「ああ、分かった」
アルが返事を返して、俺を抱き上げる。
リチャードさんが計ったように扉を開ける。
「お子様のベッドもすでに運び入れております。
身体測定と検査の後、すぐにお連れ致します」
「うん…助かるよ」
そうしてアルに運ばれて俺の部屋まで行くと、扉の前にはウルフレッド君がいた。
「両殿下、お待ちしておりました」
「うむ」
今度はウルフレッド君が扉を開けてくれる。
アルが俺をベッドの上に降ろすと、リチャードさんが薄手の掛け布団を持って来て掛けてくれる。
「お茶はこちらに…常温で御座います」
「ありがと…助かる」
「他にご希望が御座いましたら、こちらから選んで頂いて」
「あれ、いつの間にメニュー表が…」
「産院としてご活用頂く上では、サービスの向上も必要かと」
「なるほど」
いつの間にかうちの実家、恋愛相談から出産まで承ります!みたいな恐ろしい家になってきたな。
元々の家業が大規模になって還ってきてる感じ…
「こちら、朝食のメニューでございます」
「あら、胃に優しそう…これ、リチャードさんが作ってくれるの?」
「いえ、今回は…サンセベリア様が」
「えっ?」
ウルフレッド君が?なにゆえ?
俺は妙な予感とともに2人の顔を見比べる。
リチャードさんは微妙な引きつり笑顔。
ウルフレッド君はハニカミ笑顔。
えっ何どういう事……?
するとウルフレッド君が、モジモジしながら言う。
「もっとリチャードのお手伝いが出来るように、最近料理を習っているんです」
「へえ…」
「もっと学んで、もっと料理が上手くなって、ゆくゆくはユーフォルビア家のシェフになろうかと」
「……は?」
俺の動揺をよそに、ウルフレッド君はさらに言う。
「3年後を目処に、王宮執事の職を辞してこの家でリチャードと共にユーフォルビア家を守りたいと…」
「待って待って待って」
何ちゅうタイミングで退職を切り出しとんねん!?
出産直後に聞く話じゃねー!!
32
あなたにおすすめの小説
お前らの目は節穴か?BLゲーム主人公の従者になりました!
MEIKO
BL
本編完結しています。お直し中。第12回BL大賞奨励賞いただきました。
僕、エリオット・アノーは伯爵家嫡男の身分を隠して公爵家令息のジュリアス・エドモアの従者をしている。事の発端は十歳の時…家族から虐げられていた僕は、我慢の限界で田舎の領地から家を出て来た。もう二度と戻る事はないと己の身分を捨て、心機一転王都へやって来たものの、現実は厳しく死にかける僕。薄汚い格好でフラフラと彷徨っている所を救ってくれたのが完璧貴公子ジュリアスだ。だけど初めて会った時、不思議な感覚を覚える。えっ、このジュリアスって人…会ったことなかったっけ?その瞬間突然閃く!
「ここって…もしかして、BLゲームの世界じゃない?おまけに僕の最愛の推し〜ジュリアス様!」
知らぬ間にBLゲームの中の名も無き登場人物に転生してしまっていた僕は、命の恩人である坊ちゃまを幸せにしようと奔走する。そして大好きなゲームのイベントも近くで楽しんじゃうもんね〜ワックワク!
だけど何で…全然シナリオ通りじゃないんですけど。坊ちゃまってば、僕のこと大好き過ぎない?
※貴族的表現を使っていますが、別の世界です。ですのでそれにのっとっていない事がありますがご了承下さい。
転生したらBLゲームのホスト教師だったのでオネエ様になろうと思う
ラットピア
BL
毎日BLゲームだけが生き甲斐の社畜系腐男子凛時(りんじ)は会社(まっくろ♡)からの帰り、信号を渡る子供に突っ込んでいくトラックから子供を守るため飛び出し、トラックに衝突され、最近ハマっているBLゲームを全クリできていないことを悔やみながら目を閉じる。
次に目を覚ますとハマっていたBLゲームの攻略最低難易度のホスト教員籠目 暁(かごめ あかつき)になっていた。BLは見る派で自分がなる気はない凛時は何をとち狂ったのかオネエになることを決めた
オチ決定しました〜☺️
※印はR18です(際どいやつもつけてます)
毎日20時更新 三十話超えたら長編に移行します
メインストーリー開始時 暁→28歳 教員6年目
凛時転生時 暁→19歳 大学1年生(入学当日)
訂正箇所見つけ次第訂正してます。間違い探しみたいに探してみてね⭐︎
11/24 大変際どかったためR18に移行しました
12/3 書記くんのお名前変更しました。今は戌亥 修馬(いぬい しゅうま)くんです
主人公のライバルポジにいるようなので、主人公のカッコ可愛さを特等席で愛でたいと思います。
小鷹けい
BL
以前、なろうサイトさまに途中まであげて、結局書きかけのまま放置していたものになります(アカウントごと削除済み)タイトルさえもうろ覚え。
そのうち続きを書くぞ、の意気込みついでに数話分投稿させていただきます。
先輩×後輩
攻略キャラ×当て馬キャラ
総受けではありません。
嫌われ→からの溺愛。こちらも面倒くさい拗らせ攻めです。
ある日、目が覚めたら大好きだったBLゲームの当て馬キャラになっていた。死んだ覚えはないが、そのキャラクターとして生きてきた期間の記憶もある。
だけど、ここでひとつ問題が……。『おれ』の推し、『僕』が今まで嫌がらせし続けてきた、このゲームの主人公キャラなんだよね……。
え、イジめなきゃダメなの??死ぬほど嫌なんだけど。絶対嫌でしょ……。
でも、主人公が攻略キャラとBLしてるところはなんとしても見たい!!ひっそりと。なんなら近くで見たい!!
……って、なったライバルポジとして生きることになった『おれ(僕)』が、主人公と仲良くしつつ、攻略キャラを巻き込んでひっそり推し活する……みたいな話です。
本来なら当て馬キャラとして冷たくあしらわれ、手酷くフラれるはずの『ハルカ先輩』から、バグなのかなんなのか徐々に距離を詰めてこられて戸惑いまくる当て馬の話。
こちらは、ゆるゆる不定期更新になります。
とある金持ち学園に通う脇役の日常~フラグより飯をくれ~
無月陸兎
BL
山奥にある全寮制男子校、桜白峰学園。食べ物目当てで入学した主人公は、学園の権力者『REGAL4』の一人、一条貴春の不興を買い、学園中からハブられることに。美味しい食事さえ楽しめれば問題ないと気にせず過ごしてたが、転入生の扇谷時雨がやってきたことで、彼の日常は波乱に満ちたものとなる──。
自分の親友となった時雨が学園の人気者たちに迫られるのを横目で見つつ、主人公は巻き込まれて恋人のフリをしたり、ゆるく立ちそうな恋愛フラグを避けようと奮闘する物語です。
王道学園のモブ
四季織
BL
王道学園に転生した俺が出会ったのは、寡黙書記の先輩だった。
私立白鳳学園。山の上のこの学園は、政財界、文化界を担う子息達が通う超名門校で、特に、有名なのは生徒会だった。
そう、俺、小坂威(おさかたける)は王道学園BLゲームの世界に転生してしまったんだ。もちろんゲームに登場しない、名前も見た目も平凡なモブとして。
乙女ゲームのサポートメガネキャラに転生しました
西楓
BL
乙女ゲームのサポートキャラとして転生した俺は、ヒロインと攻略対象を無事くっつけることが出来るだろうか。どうやらヒロインの様子が違うような。距離の近いヒロインに徐々に不信感を抱く攻略対象。何故か攻略対象が接近してきて…
ほのほのです。
※有難いことに別サイトでその後の話をご希望されました(嬉しい😆)ので追加いたしました。
発情薬
寺蔵
BL
【完結!漫画もUPしてます】攻めの匂いをかぐだけで発情して動けなくなってしまう受けの話です。
製薬会社で開発された、通称『発情薬』。
業務として治験に選ばれ、投薬を受けた新人社員が、先輩の匂いをかぐだけで発情して動けなくなったりします。
社会人。腹黒30歳×寂しがりわんこ系23歳。
転生したら乙女ゲームのモブキャラだったのでモブハーレム作ろうとしたら…BLな方向になるのだが
松林 松茸
BL
私は「南 明日香」という平凡な会社員だった。
ありふれた生活と隠していたオタク趣味。それだけで満足な生活だった。
あの日までは。
気が付くと大好きだった乙女ゲーム“ときめき魔法学院”のモブキャラ「レナンジェス=ハックマン子爵家長男」に転生していた。
(無いものがある!これは…モブキャラハーレムを作らなくては!!)
その野望を実現すべく計画を練るが…アーな方向へ向かってしまう。
元日本人女性の異世界生活は如何に?
※カクヨム様、小説家になろう様で同時連載しております。
5月23日から毎日、昼12時更新します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる