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ゲームの世界
最強村人・パッセルの養子縁組
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家の再建を村の人たちに頼んで隣の村へ行ってみると、そこもいくつか家が潰れていた。
相当の怪我人が出ていたので、魔法を使って全員を五体満足の状況まで戻す。
話を聞けば、数人の死者が出たらしい。
よく考えれば地震だもんな…
被害はそこら中に散らばっているはずだ。
先に村人を助けた方が良いと判断した俺は、方針を変えて近隣の村を回った。
農地開拓も農地経営も、とにかく人がいなければ始まらない。
その人をまずは大事にしなければ…。
「…災害でも、人は死ぬんだったな」
前世の俺の国でも、地震や津波や台風や火山の噴火のせいで人が沢山死んだ。
それは分かっていたつもりだった。
だがそれを忘れるぐらい、銃弾は沢山の人を殺した。
俺の家族も、友だちも、近所のおじさん・おばさんも、お向かいの小学生も。
戦争のせいで、人が沢山死んだ。
あの日の災害よりも、ずっと多く…。
「戦争から人を守る方法は分からない。
だが災害から人を守る方法はあるはずだ」
そうだ、まずは地震対策からだ。
俺は壁に筋交いを入れる事を村人に布教して回った。
見本の家を建て、壁の見本を建て…。
「有難う御座います、パッセル様」
「後は自分たちで何とかしてみせます!」
「次の村のやつらも待ってます、行ってやってください」
「パッセル様、せめてものお礼に、馬を」
そうしていくつかの村を回るうちに、馬を手に入れて…そう言えば街道整備のチュートリアルがあったなと思いだしつつ、ちゃちゃっと整備出来そうな部分は平らにならして…
石畳は土を整えるのの10倍日数がかかるから、それはまた追々やるとして。
「最近、モンタルヌス様の領地は運が悪くてねぇ。
ここらの地震を皮切りに、西の方じゃ洪水が出たりさ、北や東には魔物が増えて村人がみ~~んな逃げちまった村もあるって聞くよ」
「そうなんですか…」
もしかして俺のチュートリアルの為に、この領地の人たち全員がそんな目に合ってるのかもしれない…と思うと気が気じゃなくなる。
だから急いで洪水の村に行って、今度は治水や農地整備のチュートリアルに励んで、
魔物に占拠された村へ行って、魔物との戦闘チュートリアルに励んで。
そうして何度も繰り返し練習したおかげで、ゲーム内における「コマンド」に該当する魔法はスピードアップを図れるようになってきた。
それに、コマンドに該当しなくても、魔法の使いようでかなりストレスが軽減できる事も分かった。
一番時間のかかる部分を魔法で短縮するのだ。
大きな土木工事だって、魔法でざっくり作業を進めて、仕上げは村の人に頼んだりすればいい。
それに、途中から旅に加わってくれた仲間もいる。
彼らも色々な土地へ行って復旧を手伝う度にスキルが上がっていくから、家一軒3日間の目標も夢じゃない。
「それにしても、色んな場所へ行きましたね」
「パッセル様のおかげで来年も麦が作れるって、みなさんが言ってましたよ」
「それは何よりです!
麦はどうしても半年かかりますからね」
「ですが、果樹などは早かったですね!」
「ええ、木にも魔法が効くとは思わなかったです」
ゲーム内に於いては、植えた果物にもよるが「桃・栗・柿」以外のものなら大抵植えて3ヶ月で花が咲き、実がなる。
だから現実においてもそこまでの過程を魔法でぶっ飛ばす事が可能なのではないかと試してみたのだ。
結果、しっかり大きくなって実をつけるんだよ~と手を合わせればニョキニョキと伸び…。
「とはいえ、花が咲いただけです。
まだまだ大変な事に変わりはありません」
とはいえ、花が咲いたら大体の人は「実がなる」事を想像してくれるからな。
そうなりゃやる気の値も上昇するってこと。
「次の場所は、何に困っている所かなぁ」
「行ってみましょう、パッセル様」
……そうして2年間、親元を離れてチュートリアルという名の武者修行をしていたら…
「あなたが…ココ村のパッセル様でしたか」
「えっ、ああ、はい」
「我が領民を救って頂き、誠に有難う御座います」
初めてやってきた地方都市っぽい街で、立派な服装のイケオジに声を掛けられた。
きっとこの人は貴族だな、と思ったので、丁寧な言葉遣いを心掛けつつ返した。
「救いきれなかった方々の事、申し訳なく存じます。
その上でお願い申し上げます、生きている方をどうか無駄にされませぬよう。
人は大事な財産で御座いますから」
…余計な事を言ったかな。
でも、戦争は起こして欲しくないし、遠回しにでも戦争反対って言っておかないと。
俺は多分貴族だろうイケオジをただ真っ直ぐ見た。
するとイケオジも俺の目を真っ直ぐ見返したまま、また言った。
「畑や果樹を治して頂いた上に、治水まで…」
「水を治める事は農業の基本ですから」
「…来年の分も、無事に収穫できそうだと」
「今はまだ、ただの希望です。
ですが希望あればこそ、人は前を向ける」
「…家を、揺れに強くしたと」
「家は財産を守るものであると共に、心休まる場所でなくてはなりませぬ故」
「街道については?」
「馬車が通れるようになれば、もしもの時でも村同士の融通が出来るようになりましょう。
それに路面が悪ければ、魔物から逃げられぬ者も出て参ります」
「…左様で御座いますな」
まるで何かの問答…の、ような?
領主じゃないのに領主みたいな事言ったのはまずかったかな。
でもまあ、問答無用で処刑って事はないだろう…
前世と違って、基本平和なゲームだし。
イケオジは俺の前にしゃがみ、俺と目の高さを合わせた。
街の人たちが俺を取り囲む…
いや、街の人だけじゃないな。
訓練された人間が何人か混じっている。
「ココ村のパッセル様。
どうか私を、あなたの後ろ盾にして頂きたい」
「……?」
「ああ、まだ名を名乗っておりませんでしたな。
私はこの領を治めるエーライ・モンタルヌス…
分かりやすく申し上げますと、ここいらの領地を治める貴族で、伯爵位を賜っております」
「えっ」
「不埒な貴族があなたを搾取しない様、どうか我が家の庇護をお受け下さいませ」
「は?」
「分かりやすく申しますと、モンタルヌス家の養子になられませぬか…という話で御座います」
「ええっ!?」
「故に、ココ村におられたパッセル様のご両親をこちらにお呼びしております」
「手回しが良すぎませんか!?」
…どうしよう、俺。
いつの間にか貴族の一員に組み込まれそうなんですけど…!!
相当の怪我人が出ていたので、魔法を使って全員を五体満足の状況まで戻す。
話を聞けば、数人の死者が出たらしい。
よく考えれば地震だもんな…
被害はそこら中に散らばっているはずだ。
先に村人を助けた方が良いと判断した俺は、方針を変えて近隣の村を回った。
農地開拓も農地経営も、とにかく人がいなければ始まらない。
その人をまずは大事にしなければ…。
「…災害でも、人は死ぬんだったな」
前世の俺の国でも、地震や津波や台風や火山の噴火のせいで人が沢山死んだ。
それは分かっていたつもりだった。
だがそれを忘れるぐらい、銃弾は沢山の人を殺した。
俺の家族も、友だちも、近所のおじさん・おばさんも、お向かいの小学生も。
戦争のせいで、人が沢山死んだ。
あの日の災害よりも、ずっと多く…。
「戦争から人を守る方法は分からない。
だが災害から人を守る方法はあるはずだ」
そうだ、まずは地震対策からだ。
俺は壁に筋交いを入れる事を村人に布教して回った。
見本の家を建て、壁の見本を建て…。
「有難う御座います、パッセル様」
「後は自分たちで何とかしてみせます!」
「次の村のやつらも待ってます、行ってやってください」
「パッセル様、せめてものお礼に、馬を」
そうしていくつかの村を回るうちに、馬を手に入れて…そう言えば街道整備のチュートリアルがあったなと思いだしつつ、ちゃちゃっと整備出来そうな部分は平らにならして…
石畳は土を整えるのの10倍日数がかかるから、それはまた追々やるとして。
「最近、モンタルヌス様の領地は運が悪くてねぇ。
ここらの地震を皮切りに、西の方じゃ洪水が出たりさ、北や東には魔物が増えて村人がみ~~んな逃げちまった村もあるって聞くよ」
「そうなんですか…」
もしかして俺のチュートリアルの為に、この領地の人たち全員がそんな目に合ってるのかもしれない…と思うと気が気じゃなくなる。
だから急いで洪水の村に行って、今度は治水や農地整備のチュートリアルに励んで、
魔物に占拠された村へ行って、魔物との戦闘チュートリアルに励んで。
そうして何度も繰り返し練習したおかげで、ゲーム内における「コマンド」に該当する魔法はスピードアップを図れるようになってきた。
それに、コマンドに該当しなくても、魔法の使いようでかなりストレスが軽減できる事も分かった。
一番時間のかかる部分を魔法で短縮するのだ。
大きな土木工事だって、魔法でざっくり作業を進めて、仕上げは村の人に頼んだりすればいい。
それに、途中から旅に加わってくれた仲間もいる。
彼らも色々な土地へ行って復旧を手伝う度にスキルが上がっていくから、家一軒3日間の目標も夢じゃない。
「それにしても、色んな場所へ行きましたね」
「パッセル様のおかげで来年も麦が作れるって、みなさんが言ってましたよ」
「それは何よりです!
麦はどうしても半年かかりますからね」
「ですが、果樹などは早かったですね!」
「ええ、木にも魔法が効くとは思わなかったです」
ゲーム内に於いては、植えた果物にもよるが「桃・栗・柿」以外のものなら大抵植えて3ヶ月で花が咲き、実がなる。
だから現実においてもそこまでの過程を魔法でぶっ飛ばす事が可能なのではないかと試してみたのだ。
結果、しっかり大きくなって実をつけるんだよ~と手を合わせればニョキニョキと伸び…。
「とはいえ、花が咲いただけです。
まだまだ大変な事に変わりはありません」
とはいえ、花が咲いたら大体の人は「実がなる」事を想像してくれるからな。
そうなりゃやる気の値も上昇するってこと。
「次の場所は、何に困っている所かなぁ」
「行ってみましょう、パッセル様」
……そうして2年間、親元を離れてチュートリアルという名の武者修行をしていたら…
「あなたが…ココ村のパッセル様でしたか」
「えっ、ああ、はい」
「我が領民を救って頂き、誠に有難う御座います」
初めてやってきた地方都市っぽい街で、立派な服装のイケオジに声を掛けられた。
きっとこの人は貴族だな、と思ったので、丁寧な言葉遣いを心掛けつつ返した。
「救いきれなかった方々の事、申し訳なく存じます。
その上でお願い申し上げます、生きている方をどうか無駄にされませぬよう。
人は大事な財産で御座いますから」
…余計な事を言ったかな。
でも、戦争は起こして欲しくないし、遠回しにでも戦争反対って言っておかないと。
俺は多分貴族だろうイケオジをただ真っ直ぐ見た。
するとイケオジも俺の目を真っ直ぐ見返したまま、また言った。
「畑や果樹を治して頂いた上に、治水まで…」
「水を治める事は農業の基本ですから」
「…来年の分も、無事に収穫できそうだと」
「今はまだ、ただの希望です。
ですが希望あればこそ、人は前を向ける」
「…家を、揺れに強くしたと」
「家は財産を守るものであると共に、心休まる場所でなくてはなりませぬ故」
「街道については?」
「馬車が通れるようになれば、もしもの時でも村同士の融通が出来るようになりましょう。
それに路面が悪ければ、魔物から逃げられぬ者も出て参ります」
「…左様で御座いますな」
まるで何かの問答…の、ような?
領主じゃないのに領主みたいな事言ったのはまずかったかな。
でもまあ、問答無用で処刑って事はないだろう…
前世と違って、基本平和なゲームだし。
イケオジは俺の前にしゃがみ、俺と目の高さを合わせた。
街の人たちが俺を取り囲む…
いや、街の人だけじゃないな。
訓練された人間が何人か混じっている。
「ココ村のパッセル様。
どうか私を、あなたの後ろ盾にして頂きたい」
「……?」
「ああ、まだ名を名乗っておりませんでしたな。
私はこの領を治めるエーライ・モンタルヌス…
分かりやすく申し上げますと、ここいらの領地を治める貴族で、伯爵位を賜っております」
「えっ」
「不埒な貴族があなたを搾取しない様、どうか我が家の庇護をお受け下さいませ」
「は?」
「分かりやすく申しますと、モンタルヌス家の養子になられませぬか…という話で御座います」
「ええっ!?」
「故に、ココ村におられたパッセル様のご両親をこちらにお呼びしております」
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